依然、ドルの押し目は「買い」のスタンスで臨みたい(2021.09.10更新)
日本で唯一のFX専門誌『FX攻略.com』で130回を超える人気連載だった「これからの外国為替相場の行方」。Webでも変わらず経済アナリスト・田嶋智太郎さんに、日々動き続けている相場が今後どのように動いていくと予測しているのかを教えていただきます。
田嶋智太郎氏プロフィール
たじま・ともたろう。経済アナリスト。アルフィナンツ代表取締役。1964年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJ証券勤務を経て転身。主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、ひいては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究する。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ150回前後。週刊現代「ネットトレードの掟」、イグザミナ「マネーマエストロ養成講座」など、活字メディアの連載執筆、コメント掲載多数。また、数多のWEBサイトで株式、外国為替等のコラム執筆を担当し、株式・外為ストラテジストとしても高い評価を得ている。自由国民社「現代用語の基礎知識」のホームエコノミー欄も執筆担当。テレビ(テレビ朝日「やじうまプラス」、BS朝日「サンデーオンライン」)やラジオ(毎日放送「鋭ちゃんのあさいちラジオ」)などのレギュラー出演を経て、現在は日経CNBC「マーケットラップ」、ダイワ・証券情報TV「エコノミ☆マルシェ」などのレギュラーコメンテータを務める。主なDVDは「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX入門」「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX実践テクニカル分析編」。主な著書は『財産見直しマニュアル』(ぱる出版)、『FXチャート「儲け」の方程式』(アルケミックス)、『なぜFXで資産リッチになれるのか?』(テクスト)など多数。最新刊は『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)。
目次
- ECB定例理事会と総裁記者会見通過後、市場はユーロ売りで反応
- PEPPの購入ペース縮小について
- ユーロドル、ドル円見通し
記事本文:1486文字(有料部分:821文字)
ECB定例理事会と総裁記者会見通過後、市場はユーロ売りで反応
昨日(9日)、市場が大いに注目していた欧州中央銀行(ECB)の定例理事会とラガルド総裁の記者会見を通過し、最終的に市場はユーロ売りで反応した。
理事会では、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の元での債券購入ペースを緩やかに縮小する方針が打ち出されたが、全体としては「かなり慎重な姿勢」との印象が強いものであったことから、全体にユーロの反応はネガティブということになった。
ラガルド総裁が発した「PEPP購入ペースの減速はテーパリングではなくて微調整」との一言に市場が反応したところもあろう。しかし、それ以上に大きかったのは「8月下旬から9月初旬にかけて複数のECBメンバーからPEPP縮小に前向きな発言が相次いだこと」と今回の理事会の決定や総裁発言との間に感じられた「ギャップ」だったと思われる。
PEPPの購入ペース縮小について
むろん、PEPPの購入ペース縮小については、ユーロ/ドルが9月3日にかけて1.19ドル台を回復する動きとなったところで、すでに織り込み済みとなっていたところもあろう。まして、言うまでもなくPEPPは「あくまでも『緊急』の対応措置」であり、いずれ段階的に規模が縮小されるのは自明のことでもある。そもそも、今年3月以降の購入ペースがかなり速かったということもある。ラガルド総裁が「今回は微調整」と述べたのは、そのペースを元に戻しただけという意味である。
もちろん、今はデルタ変異株の感染拡大の行方が見通しづらいということも大きい。それはユーロ圏に関わらず、米国や豪州などでも同様。その実、今週7日に——
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