日本株と米国株
随分以前だが、日経と日本証券新聞に『今後、日本株のパフォーマンスは外国株と遜色なくなるだろう。理由は、①リーマンショック後、日本株のバリュエーションが調整し、海外株と比べて割高感がなくなったこと、②日本企業の海外進出が進み、企業収益は国内経済への依存度が低下し、海外経済の影響を受けるようになっていること。』と書いたことがある。
結果は、間違いだった。それからの米国株のパフォーマンスは素晴らしい。
何が違ったのか? 理由ははっきりしている。米国にGAFAM等Mega-Cap Tech Stocks(大規模時価総額のテクノロジー企業)があったが、日本になかったことである。
では、米国にMega-Cap Tech Stocksがなければ、どうなのだろう? Mega-Cap Tech Stocksは全てNasadaq上場である。そこで、NY証券取引所上場のトップ100企業の指数(NYSE100)を見てみる。
(注)NYSE100:NY証券取引所に上場する米国籍の銘柄で時価総額の大きな100銘柄。GAFAMなどのNasdaq銘柄を含まない。往年のブルーチップが殆どある。具体的には、IBM、AT&T、デュポン、JPモーガン、アクセンチュア、AIG、ウェルズ・ファーゴ、ウォルト・ディズニー、ウォルマート、エクソン・モービル、キャタピラー、コカ・コーラ、シティグループ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、スリーエム、GE、GM、ナイキ、バークシャー・ハサウェイ、バンク・オブ・アメリカ、ヒューレット・パッカード、VISA、ファイザー、フィリップモリス、フォード、プルデンシャル、P&G、ホーム・デポ、ボーイング、マクドナルド、メットライフ、メルク、モルガン・スタンレー、ユナイテッドヘルスなどである。
NYSE100に対し、日本株(Topix)は遜色がない。多少、負けているが、2019年の消費税増税の影響だろう。いくら、日本企業の収益の海外依存が高まっているとはいえ、消費税増税の影響は大きすぎた。
Mega-Cap Tech Stocksは米国にしかない。では、日本株とドイツ株を比べたらどうなのだろう? TOPIXはDAXに勝っている。
(注)普段見る独のDAX指数は配当込指数だ。非常に珍しい。世界でもDAXだけだ。
そこで、上図では、TOPIXやNYSE100などと条件を合わせるためDAX price指数(DAX Kursindex 配当なし)を使っている。
結局、米国株のパフォーマンスが優れているのは、Mega-Cap Tech Stocksがあるということだ。
しかし、Mega-Cap Tech Stocksの多くはファブレス経営だ。株価は強くても、米国経済成長への貢献度はそこまで高くない。ファブレス経営では製造を他社に委託するが、委託先の多くは台湾、中国、東南アジアだ。日本もその恩恵を受けている。そうして、中国経済が成長した。
この構図(いわゆるサプライチェーン)は簡単に変えられない。アメリカのおかげで中国は本当に強くなった。今ではある意味中国の方が強い。バイデン大統領が何を言おうと米国企業は必ずしも従わないが、習近平国家主席は簡単に中国企業を動かすことができる。
余談だが、Mega-Cap Tech Stocksは米国にしかないが、デンマークの株式市場はバイオ・ヘルスケア関連企業が50%以上を占めている。グローバル分散投資をするうえで、デンマークは外せない。
今回の話は特に結論はない。かつて私が主張していたことのレビューまで。
よろしいですか?