中国GDPの見方
中国の2021年7~9月の実質GDPは前年同期比4.9%増だった。前期比は0.2%増(年率0.8%増)だった。前期(4~6月)と比べると殆ど横ばいに近い。
かつて、中国では国民の雇用を確保するには8%の成長が必用で、8%成長が習近平国家主席への国民の信頼を得るために必要だとされてきた。
しかし、もうその必要はない。習近平氏は毛沢東と同列になり、中国を終身支配する権威を持った。
そうなると、習近平国家主席は自分のイデオロギー(社会主義思想)から、経済格差を是正する「共同富裕」が政治目標となり、富の集まる華やかなエンターテインメント業界への締め付け、教育の負担軽減、インターネット規制、不動産市場の規制強化などが 集中的に行われている。さらに、世界に中国を誇示するため、脱炭素政策も進めらている。
こうしたことで、住宅販売、建設活動や、消費、投資が抑制されている。また、脱炭素政策の影響もあり、9月には電力が不足し、製造業は生産抑制や操業停止を余儀なくされている。
たぶん、もう高成長には戻らないだろう。どの程度の成長をよしとするのか、今のところ不明である。
次のグラフは、中国のGDPの2年前に比べてどれだけ成長しているかを見たものである。
昨年の成長が歪んでいるので、歪んだ昨年と比べてもしようがないので、2年前と比べている。
実質GDP(生産量の概念)はこれまでのトレンドより下方シフトしている。文革を集中的に実施し始めた影響だろう。と同時に、物価上昇で(購買金額が変わらなくても)購買量が減っているということもいえよう。
確かに、中国経済は軟化しているが、海外から見ると特に心配はない。(中国の消費を相手にしている企業には影響はあるだろうが)
というのは、輸出・輸入が堅調だからだ。
中国への資源輸出が重要な資源国にとって、中国はしっかり輸入を増やしている。中国からの輸入品に頼っているところところに対し、中国はしっかり輸出を増やしている。
中国の経済軟化は中国自身の問題だ。中国恒大集団の信用問題も基本的には中国国内の問題だ。
中国経済の軟化は、日本の株式相場にとって決していい話ではないが、そんなに悲観的になる必要もない。
よろしいですか?