《東洋経済ONLINEでコラム掲載中》一回りしないと何も分かりません。
おはようございます、松下です。
世の中のどんな仕事にも、
周期というものがあります。
私が大学を卒業して、
製薬会社の出張所に正式配属されたのは、
6月中旬から下旬にかけてのことでした。
それからは、現場で先輩に同行し、
現地研修という形で業務が進行し、
確か9月の人事異動で事務所の先輩が
転勤になり、その後を引き継ぐような
形で正式担当を持ちました。
営業地区と数字を持ち、
いよいよ一人での仕事が始まります。
それは10月の下期のスタートのことです。
そこから年末が過ぎ、
年度末が過ぎ、新年度に入り、
新しい営業計画が出て、それを追います。
季節は夏になり、事務所に赴任して1年が過ぎ、
9月末の中間期末を迎えて、やっと自分の仕事の
1年一回りが終了します。
これで、やっと一年間のリズムが分かります。
普通の仕事は大抵一年間のリズムが
毎年繰り返されていきます。
その中に大きなプロジェクトや数字が
入ってくるようなイメージですが、
基本的なリズムは同じだと思います。
一年経たないと、何が起こるのか、
何をすればいいのかは分からない。
これが一般の仕事の基本周期です。
さて、金融市場でも当然一年の
周期はあります。
なぜなら上記で書いたように、
世界中のほぼ全ての人が、
太陽暦のカレンダーに従って活動していますので、
それは当たり前のことです。
太陽暦のカレンダーの一年とは、
地球が太陽の周りを一周する公転周期です。
さらに金融市場には、一年の周期だけではなく、
それよりも大きい周期が存在します。
代表的な周期としては、
約3~5年の周期、約5~8年の周期。
これらは各市場に存在します。
つまり、金融市場では一年経っても、
一回りしない周期があるので、
一年経ってもまだ何も経験していないことになります。
前に書いた私の仕事の例で考えると、
まだ新人ですね。
なぜ金融市場に3年や5年、8年といった
大きい周期が存在するかと言えば、
私たちが取引対象とする株式とは、
会社の収益変化を投資対象としており、
通貨は国を投資対象としているようなものです。
会社の収益の変化や、
国の変化は、当然長く大きい力に
よってコントロールされており、
より長い周期が存在するのです。
投資を始めて1年が過ぎても、
まだまだ何も始まっていません。
投資を始めて3年が過ぎ、
やっと1年間利益を上げても、
まだまだやっと一回りしたかどうかです。
そうやって考えると、
5年、10年経ってやっと一回りと
考えるくらいでちょうどいいです。
市場にはもっと大きい周期があります。
16年間市場と投資家を見続けてくると、
1、2年大きな利益を上げたくらいで
全てを理解したような顔をして、
その後居なくなった投資家をたくさん見てきました。
私たちがいる市場とは、
そんな大きな流れ、
一回りするのに、とても長い時間が
かかるフィールドなのです。
そのことを忘れずに、
いつも初心で市場から学んでください。
よろしいですか?