パウエル議長のタカ派への転換
経済情報
FRBはインフレ抑制の対応に楽観的過ぎる、FRBのインフレ対応は後手に回っている と、FRBはサマーズ元米財務長官などから激しく責められている。
つまり、パウエル議長が「インフレは一時的」と頑なに言い張ったことを責められている。
しかし、パウエル議長はそうせざるを得なかったのだ。当時、民主党上院議員の一部がハト派で、パウエル議長はハト派政策を訴えなければ再任を拒否された可能性があったからだ。このことについて、詳細は省略するが、再任の決定が延び延びになったように、いろいろあった。
なので、パウエル議長は再任が決まると、直ちにタカ派に転じた。
この過程で、前FRB議長のイエレン財務長官も「インフレは一時的」とパウエル議長を支持していたが、イエレン氏はパウエル議長を支持しているというより、パウエル議長の再任を支持していたのだ。
パウエル議長が再任されなければ、2代にわたってFRB議長は1期で交代、大統領が代わるたびに交代という、FRBにとっては好ましくないことが起きてしまうのを防ぎたかったのだ。イエレン長官は、今もFRBのことを思っている。
それでも、パウエル議長が一時的と言っていたのに根拠がなかったわけではない。3点ある。
しかし、その3点とも今や、インフレが進む可能性を示している。
(1)原油価格
FRBがターゲットにしているインフレ指標はPCE価格指数である。この指数は、原油価格との連動性が高い。何しろ、米国は自動車と輸送の国である。エネルギー価格が物価に与える影響は大きい。
パウエル議長がインフレは一時的と考えたのは、2020年に原油価格は一時マイナスに落ち込むほど低下したので、2021年の原油価格の前年比がとんでもなく高くなってしまったということだ。なので、原油価格の上昇率が低下してくれば、物価高も沈静化してくると考えていたようだ。それが11月ごろから、その図式通りになっていないことが判明した。これはヤバイだろう。
次からは、一般にはあまり取り上げられない指標だ。
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