米株価は米国成長率がマイナスになることを示唆
経済情報
株価は経済変動に対する先行性があると言われる。
米国では、株価の前年同期比上昇率は、実質GDP前年同期比成長率に半年先行する傾向がある。
下図で見るように実質GDP前年同期比成長率はマイナスになることが示唆されている。
ところで、これが投資家に使いにくいところは、・・・
投資家が知りたいのは株価の予想であって、景気の予想ではない。
景気が株価に先行するなら、景気を見て株価を予想できるが、そうではない。
株価が景気に6カ月先行するなら、6カ月先の株価を予想するには1年先の景気を予想しなければならない。これは、なかなか大変だ。
それでも全く無意味かというと、株価がファンダメンタルズで動いているのを確認するという意味で重要ではある。なお、両者が乖離するときは海外要因が影響することが多い。例えば、アジア通貨危機の時のようにだ。
実質GDP前年同期比成長率の代わりに、経済成長率の代理変数としてISM指数を見てみると、
株価の前年同期比上昇率とISM指数はほぼ一致(先行、後行性がない)だ。
下図によれば、ISM指数は46まで低下することが示唆されている。これは驚きだが、本当にそうなるかもしれない。
なお、この関係はよく知られており、ISM指数を予想して株価を予想することは、時々なされている。
最後に、実質GDP前年同期比成長率とISM指数の関係を見ておく。
ISM指数が経済成長率の代理変数であることがよくわかる。
なお、ISM指数は実質GDP前年同期比成長率に6か月先行するが、実質GDP前期比成長率とは一致である。
なお、工業原材料価格も世界や米国景気を反映するが、代表的な工業原材料価格指数であるLME(London Metal Exchange、ロンドン金属取引所)で取引されるLMEX非鉄金属指数(銅,アルミニウム,鉛,亜鉛,ニッケル。1984年=1,000)は、ISM指数が53程度であることを示しており、足元の米株価の下落は行き過ぎに思える。そうは言っても、足元では落ち過ぎであっても、結局はもっと下がることになりそうだが。
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