MACDを使ってみよう
はじめに
GogoJungle / Skijan を運営しております、株式会社ゴゴジャンです。
今回は、EAつくーるの基本的な操作について理解した方向けに、MACD(Moving Average Convergence Divergence)とその指標を用いたEAの作成方法について紹介していきます。
EAつくーるに初めて触れる方は、ぜひ下記リンクから過去の記事をご覧ください。
・EAつくーるの基本操作と使い方
・取引条件について徹底解説
・オプションについて知ろう
・ゴールデンクロスを用いた簡単なEAを作ろう
目次
・MACDとは
・MACDの分析方法
・MACDの設定項目
・MACDを用いたロジック
・MACDを用いたサンプルEA
・おわりに
MACDとは
まず、今回のトピックとなるMACDというテクニカル指標について紹介していきます。
MACDは「Moving Average Convergence Divergence」の略になります。名前の通り、移動平均線の収束と拡散に関わるテクニカル指標です。
MACDはオシレーター系指標の1つであり、複数の時系列データから生成されるチャートによって、相場の過熱感からトレンドの方向性まで様々な場面における分析に役立ちます。
MT4においてMACD(インジケーター)は、短期EMAと長期EMAの差分を表すヒストグラム、そしてそのヒストグラムで表されるMACDの移動平均をとったシグナル線(上図における赤い点線)により構成されています。
MACDは新しいデータを重視するという考え方のもとで、SMA(単純移動平均線)ではなくEMA(指数平滑移動平均線)を用いて算出します。これにより、値動きに柔軟に反応することからトレンドの予測に役立ちます。
MACDにはいくつかバリエーションがあり、MT4以外のツールでMACDを表示すると、上記の画像とは異なるものが表示されることがあるので注意しましょう。
他の表示として代表的なものとしては、MACDとシグナル線を2本の線で表示し、その差分をヒストグラムとして算出するという3つの要素で構成されたインジケーターなどがあります。
MACDの分析方法
ヒストグラムで表されるMACDはその計算方法からわかる通り、値動きの勢いを示しています。ヒストグラムの振れ幅が大きい時には短期的な値動きの勢いが増していることを意味し、ヒストグラムの振れ幅が小さいときは短期的な値動きの勢いが衰えているということを示します。
これらの情報から、必ずしもこのデータのみで判断することはできませんが、レンジ相場なのかトレンド相場なのかといった事柄について予測することができます。
また、MACDが0になった状態は、短期線と長期線がクロスしていることを意味します。これは、移動平均線(特にEMA)によるゴールデンクロスやデッドクロスの発生と同義であり、トレンド発生のサインと考えることができます。
そしてシグナル線はMACDの移動平均であることからMACDよりもなだらかな推移であり、大きなトレンドを推測するのに役立ちます。
このシグナル線とMACDを比較して、それらが交差する点などを基準にエントリーの根拠とするといった使い方をします。
以上の通り、相場を分析する上で非常に有用なインジケーターではありますが、その一方でダマしが発生することも多いのでEA・裁量問わず使用する際には注意しましょう。
MACDの設定項目
MACDは上記の通り、短期EMAと長期EMA、そしてその差分の移動平均によって構成されています。よってMACDの利用にあたり、それらの移動平均をとる期間などについて考慮する余地があります。
各指標の期間は、短期EMAを「12」、長期EMAを「26」、シグナルを「9」とするのが一般的であり、MT4の標準設定もそれに準じています。
MT4上でインジケータとして表示する際には以下のように設定項目が用意されています。
EAつくーるの取引条件においても基本的にはこれと同様であり、移動平均の計算期間を中心に値を設定することにより条件として使用することができます。
モードについては、計算するMACDの種類を「MACD」と「シグナル」の二種類から設定することができます。
MACDを用いたロジック
それでは、実際にEAつくーるでこのMACDの計算を用いたロジックを作成してみましょう。
MACDはいくつかの要素を内包しているため、使い方によって様々なロジックを実装することが可能です。
ゴールデンクロス・デッドクロスの代替
例として、MACDが0に触れてプラスからマイナス、もしくはマイナスからプラスに抜けた際にエントリーの根拠になると判断して取引を行う手法があります。
ただ、そうしたロジックについては実質的に長期・短期移動平均線を用いたゴールデンクロス・デッドクロスのプログラムと同じなので今回は省略します。
ゴールデンクロス・デッドクロスを用いたロジックの実装については、「ゴールデンクロスを用いた簡単なEAを作ろう」の記事からご覧ください。
EMAを用いたい場合も、取引条件から移動平均線の種類を変更することが可能です。
MACDとシグナル線のクロス
今回は、MACDとシグナル線のクロスによってエントリーするロジックを作成してみましょう。
このクロスは。通常の移動平均線を用いたゴールデンクロスと区別して「MACDのゴールデンクロス・MACDのデッドクロス」などと表現する場合があります。
シグナル線の値がMACDより小さい時に買い局面、シグナル線がMACDより大きな値を持つ時に売り局面と考えて、それらが転換する際にエントリーを行うという戦略で考えていきます。
条件を設定する上で、先ほど紹介した「ゴールデンクロスを用いた簡単なEAを作ろう」の記事と同じように、1,2本目のローソク足におけるMACDとシグナル線の比較によって判断をします。
買いエントリー用の条件について、以下になります。
売りエントリーは、比較演算子をそれぞれ逆にしたものを使用しています。
このままだとポジションの決済を行わないため、ご自身で決済用の条件を設定するか、もしくはオプションの「ドテン機能」を設定することにより、運用することができるようになります。
MACDを用いたサンプルEA
上記のロジックで実際にドテン機能を用いてEAを作成し、USDJPY・10年間・4時間足でのバックテストを行ってみました。
なかなかダマしが多く、また1,2本前における時系列のデータを用いるロジックであるという点でトレンドの判断に遅れてしまう場面が見られ、望むような利益を得ることはできませんでした。
成功トレード例
うまくトレンドをキャッチしてドテンを活かしたトレードができています。
失敗トレード例
MACDによるサインがダマシであり、その後もレンジ相場に突入し方向性が定まらない状態でトレードを続けて連敗しています。
おわりに
MACDとその使い方についての解説は以上になります。
移動平均線の計算期間の変更や、OSCIなど他のテクニカル指標をAND条件として加えることによってエントリーの精度を高めたり、損切りや利食いといったものを含めて様々な要素を検討することによってEAを最適化することができます。
是非、このテクニカル指標を用いて本日紹介したものより精度の高いロジックを実装してみてください。
EAつくーるで作成したEAは、条件の組み合わせ、条件指定の誤りなど、様々な理由で意図したとおりに稼働しない場合もございます。
バックテストおよびデモ口座にて、稼働確認ができてから、リアル口座にて稼働開始をお願いいたします。
今後とも「EAつくーる」をよろしくお願い申し上げます。
よろしいですか?