ナンピン・ピラミッディングを使ってみよう
はじめに
GogoJungle / Skijan を運営しております、株式会社ゴゴジャンです。
今回は、EAつくーるの基本的な操作について理解した方向けに、オプションとして用意されている「ナンピン」「ピラミッディング」の機能を用いて簡単なEAを作成する手順、そしてバックテストの手法と結果までを紹介していきます。
EAつくーるに初めて触れる方は、ぜひ下記リンクから過去の記事をご覧ください。
・EAつくーるの基本操作と使い方
・取引条件について徹底解説
・オプションについて知ろう
・ゴールデンクロスを用いた簡単なEAを作ろう
・MACDを使ってみよう
目次
・ナンピンとは
・ピラミッディングとは
・ナンピン・ピラミッディングの設定
・ナンピンを用いたサンプルEA
・ピラミッディングを用いたサンプルEA
・おわりに
ナンピンとは
ナンピンは、伝統的なトレードの手法の一つです。
持っているポジションに対して含み損が出る方向に相場が動いた際、損益分岐点を下げることを目的にポジションを追加するというものです。
ポジション全体の平均コストを引き下げることで、利益が出る方向に相場が動いた際により効率的に利益を得ることができます。
しかし、ナンピンした時点からさらに相場が悪化した際は損失が拡大してしまうという危険性を伴うため、初心者は特に注意が必要とされる手法になります。
ピラミッディングとは
ピラミッディングは、ナンピンと同じくポジションを追加していく手法になります。
最初に保有したポジションに対して含み益が出る方向に相場が動いた際、その流れに乗じてポジションを追加していくというトレード手法です。
トレンドに乗ることができれば効率的に利益を出すことが可能であり、複数回に分けてエントリーするためリスクの分散にもつながります。
その一方で、ポジション全体の平均コストが上がることから、相場が逆行した際には利益が食いつぶされて損失が拡大する危険性もあります。
ピラミッディングは、そのポジションの追加手法によっていくつかに分類されています。
順ピラミッディング
順ピラミッディング(スケールダウンピラミッディング)は、追加で注文するポジションのロットをだんだん減らしていく取引手法です。リスク分散として効果的です。
逆ピラミッディング
逆ピラミッディングは、追加注文するポジションのロットを徐々に増やしていく取引手法です。相対的に最初に保有するポジションを少なくします。様子を見ながらポジションを追加できる一方、トレンド後半で大きなポジションを持つことから相応のリスクが伴います。
長方形ピラミッディング
長方形ピラミッディング(イコールポジションピラミッディング)は、最初に保有したポジションと同じ数量で買い増していく取引手法です。順ピラミッディングと逆ピラミッディングの中間に位置します。
ナンピン・ピラミッディングの設定
それでは、実際にこれらの設定方法について確認していきましょう。
オプションの設定は以下の通りになります。
開発する -> EAつくーる -> オプション
「オプションを選択」からナンピンのオプションを選択しましょう。
チェックボックスにチェックを入れます。
※ナンピン・ピラミッディングはロジックの特性上、複数のポジションを保有するため、変更注文があるオプション「トレーリングストップ」「建値ストップ」は組み合わせができないので注意しましょう
※基本項目の「損切り」「利食い」についても、初回エントリーのみ適用となるため注意しましょう
ナンピンの設定
実際にオプションの数値設定について確認していきます。
EAつくーるでは、「ナンピン回数」「エントリー間隔(pips)」「ロット数の計算方法(一定・可変)」「最大ロット数」「利食い」「損切り」について設定することができます。
ナンピンでは「エントリー間隔(pips)」分だけレートが逆行するごとにポジションを追加していきます。
ポジションの追加は「ナンピン回数」で指定した回数まで実行され、各ポジションの損益(単位はpips)合計が、「利食い」か「損切り」の設定を超えると決済となります。
ロット数の計算方法は2種類あり、一定(ロット倍率・追加を使用)と可変(カスタムロット設定を使用)から選択します。
追加するロットを指数関数的に増加・減少させたい場合は「ロット倍率」に値を設定することで実装することが可能です。ロット数をナンピンごとに減少させていきたい場合は、小数(0.9など)を記入しましょう。
また、追加するロットの数量を固定値によって変動させたい場合は、「ロット倍率」を1に設定した上で「ロット追加」に値を入力します。
※「ロット倍率」が1以外かつ「ロット追加」ありの場合は、[ ロット倍率+ロット追加 ] の取引数量となります。
上記のように一定ではなく、ナンピン回数に応じてロット数を指定したい場合は、下記のように「ロット数の計算方法」で「可変」を選択し、カスタムロット設定を行います。
カスタムロット設定はカンマ区切りで行い、例えば0.1,0.1,0.2,0.3,0.5とした場合は、ナンピン5ポジション目までは設定したロット数となり、6ポジション目以降はすべて最後の設定(0.5)が適用されます。
※「最大ロット数」が設定済みの場合(0でない場合)は最大ロット数が上限となります。
ピラミッディングの設定
次に、ピラミッディングの数値設定について確認します。
ピラミッディングの設定項目はナンピンと概ね同じであり、「ピラミッディング回数」「エントリー間隔(pips)」「エントリー間隔(時間)」「ロット数の計算方法(一定・可変)」「最大ロット数」「利食い」「損切り」について設定することができます。
ナンピンの設定項目と異なる点として、エントリー間隔を値動き(pips)のみでなく時間(分)に応じて決めることができます。
このポジションの追加は、「ピラミッディング回数」で指定した回数まで実行されます。
「ロット数の計算方法」や「利食い」「損切り」についての考え方は上記のナンピンと同じになります。
ナンピンを用いたサンプルEA
実際に、ナンピンやピラミッディングのオプションを組み込んだEAの取引結果を確認してみましょう。
ロジックとしては、以前の記事「ゴールデンクロスを用いた簡単なEAを作ろう」で作成したゴールデンクロスのEAを使用しています。
※ナンピン・ピラミッディングのオプションだけでは取引しないため、取引条件の画面でエントリー条件を必ず設定しましょう
オプションの設定
ナンピンオプションは以下の通りに設定しました。25pipsごとに最大10回までナンピンをしていきます。利食いと損切りは簡略化のため設定していません。
バックテスト結果
10年間、USDJPY、1時間足でバックテストを行った結果、以下の通りになりました。
取引例
トレンドに乗り遅れて望ましくないエントリーを行っていましたが、ナンピンによって損失を和らげることができています。
不用意なナンピンによって損失が拡大するトレードも見られます。
ピラミッディングを用いたサンプルEA
同じく、ゴールデンクロスEAにピラミッディングオプションを追加してバックテストを行いました。
オプションの設定
ピラミッディングオプションは以下の通りに設定しました。
順ピラミッディングを採用し、ナンピンと同じく利食いと損切りは簡略化のために設定していません。
バックテスト結果
10年間、USDJPY、1時間足でバックテストを行った結果、以下の通りになりました。
取引例
ピラミッディングの結果として効率的に利益を重ねることができています。
ピラミッディングにより損失が拡大している取引もみられます。
以上の結果から、利益が増えているように見えますが、勝率・平均利得・平均損失・プロフィットファクターなどを確認すると、以前の記事「ゴールデンクロスを用いた簡単なEAを作ろう」で作成したオプション未使用のEAより結果が改善したとも言えません。
また、一回のエントリーに対して所持しているポジションのロット数合計も変動しているため、同じ水準での比較が難しい事にも注意が必要です。
しかし、少なからず一つ一つのトレーディングの性質が変化しているのは「取引例」から見て取れるため、エントリー・エグジットの精度を高め、オプション設定を最適化していくことにより、より良い働きをするEAを作成することができます。
おわりに
ナンピン・ピラミッディングの紹介については以上になります。
あくまで基本的な使い方の紹介であり、実運用するにあたってはより細かい設定などが必要になりますのでご留意ください。
EAつくーるで作成したEAは、条件の組み合わせ、条件指定の誤りなど、様々な理由で意図したとおりに稼働しない場合もございます。
バックテストおよびデモ口座にて、稼働確認ができてから、リアル口座にて稼働開始をお願いいたします。
今後とも「EAつくーる」をよろしくお願い申し上げます。
よろしいですか?