FXトレーダーのための「大人の経済」基礎講座|第3回 金利のきほん~後編[雨夜恒一郎]
ファンダメンタルズ(分析)を体系的に学ぶことができる当企画。前回に引き続き、今回も「金利のきほん」について、雨夜恒一郎さんに分かりやすく解説してもらいます。為替相場と密接な関係にある金利について、分かっているつもりになっているトレーダーも多いはず。ここでしっかりと学習し、確かな知識を身に付けておきましょう。
第3回目次
1. 市場金利と政策金利
2. 公定歩合とは?
3. 短期金利と長期金利
4. イールドカーブを見れば将来の金利動向が分かる
5. スティープニングとフラットニング
6. 米国債のイールドカーブ
7. 期待インフレ率=BEI
8. インフレ時代とデフレ時代
9. 第3回まとめ
※この記事は、FX攻略.com2017年8月号の記事を転載・再編集したものです
雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)プロフィール
20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。
twitter:https://twitter.com/geh02066
市場金利と政策金利
前回述べた金利とは、景気やインフレ率といった経済状況、信用リスク、需給要因などによって決まる金利でした。市場で決まる金利ということで、これを「市場金利」といいます。
これに対して、中央銀行が金融政策として決める金利のことを「政策金利」と呼びます。中央銀行は基本的に景気を抑制したいときに利上げ(金融引き締め)を行い、景気を刺激したいときに利下げ(金融緩和)を行います。「景気」を「物価上昇」(インフレ)に置き換えていただいても結構です。
中央銀行は市場金利が政策金利に近くなるように金融調節(=公開市場操作。資金を市中に供給したり、市中から吸収したりすること)を行います。また政策金利を変更すると宣言する「アナウンスメント効果」により、市場心理や金利の価格形成に影響を与えることもできます。
政策金利は、短期金利の誘導目標とすることが多く、米国では「FF金利」、日本では「無担保コール」という銀行間市場の金利を対象としています。
為替市場では米国の金利動向が最も重要視されており、米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)が今後どう動くかに、市場は常に注意を払っています。FRBが現在の経済をどう評価していて、今後どのように金融政策を運営していきたいのかが分かれば、金利動向、ひいては為替相場の見通しもつけやすくなります。
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