豪ドル下落の背景と今後の注目点について! ~2月RBA理事会まとめ~
RBA金融政策・声明文発表でオージードルが買われました。 一旦上昇したところで、ロウRBA総裁の発言で大きく下落、オージードルは大きく売られました。
最近は、リピート系やスワップ狙いのようなトレードで人気のオセアニア通貨ですが、大きく下落したことで刈られた人も多いのではないかと思います。
オージードル下落の背景、まとめてみました。
◎オージードル下落チャート
AUD/JPY 時間足チャート
◎ロウ総裁の発言
ロウRBA総裁
「現在の政策金利見通しは一段と均衡している」
「労働市場の進展を注意深く監視する」
「政策金利を近く変更する強い根拠は見当たらない」
「驚くほど弱かった第3四半期のものより、第4四半期のGDPは
「2019年の経済成長は3%程度、2020年は2.75%を超
「これからの2年は失業率は4.75%近辺と予測」
「これからの2年は家計支出は2.75%を超えると予測」
「貸付の引き締めは行き過ぎ」
「住宅価格の調整は対応可能、ある程度の調整は適当」
「世界的なリスクは上昇している」
「雇用改善と賃金が上昇すれば、いつか利上げするのは適切」
「世界経済と中国が豪州にとって最大のリスク」
「低い金利が豪ドル安を導く」
「必要ならば、より低い金利が経済を刺激する」
「国民はより低い住宅金利を求めている」
「金融規制局は悪い銀行の行動には罰を与えるべきだ、必要ならよ
「次は利上げも利下げもありえる」
◎経緯と背景
RBA理事会、金融政策発表までの状況と経緯は、こちらをご覧ください。
元々あった利下げ観測が、後退したことで買われていたオージードルだったのですが、ロウ総裁の発言で下落する可能性は十分ありました。 結果、発言はハト派内容になってしまい、再度利下げ観測からオージードルが売られてしまいました。
上記の発言の中にも、景気の弱さや低金利発言が出ています。 今後も、ハト派発言や弱い結果の経済指標が出てくるようであれば、再度オージードルは売られていくと思います。
◎対中関係
現在のオーストラリアの問題の多くは、対中関係が大きいと思います。
オーストラリアの主要産業に、石炭・鉄鉱石の輸出があります。 輸出先のほとんどは中国です。 中国が景気減速してきたことで、オーストラリア経済にも影響が出始めました。
また、オーストラリアの抱える問題に、不動産価格の高騰とローン問題があります。 主要都市部の不動産価格が高騰したことで、家賃や購入のための住宅ローンが負担となっています。 不動産価格の高騰の要因の一つに外国人による不動産取得が挙げられています。 外国人のほとんどは中国人です。 中国人は、中国国内で共産党管理下の中、財産を持つことより、海外で財産を確保しておきたいと思う人が多いようです。 そのため、オーストラリアやニュージーランドの不動産を購入しているようです。
中国は、経済的に影響力を高めただけではなく、内政干渉までしてきているようです。 そして、現在オーストラリアでは中国依存の脱却を図っています。 ただ、中国依存派と対立して政治不安にもなっています。
◎ RBA vs 大手銀行
上記の通り、多額の住宅ローンを抱えているということは、多額の金利を支払っているということになります。 多額の金利を支払っている中、住宅ローンの金利が上昇すると支払金利も増えて、さらに負担が増してしまいます。 これが、オーストラリア経済の重しと、中銀の利上げが出来ない要因と思われます。
住宅ローンの原因は中国の影響かもしれませんが、ローン金利はオーストラリアの問題かもしれません。 RBAは、景気回復のため低金利政策を続けてきました。 そのため、銀行の収益は低くなってしまい、苦しくなってしまいました。 そこで、ウェストパック銀行(WBC)やナショナル オーストラリア銀行(NAB)などの大手銀行は住宅ローン金利の引き上げに動きました。 中小の銀行も続くのではないかと言われています。
上記のロウ総裁の発言でも、住宅ローンについて触れられています。 今後、政策金利をさらに下げて低金利政策があるかも!? と思ってしまうのは、このあたりなのかもしれません。 オージードルの注目は、物価や失業率よりも、当面は住宅ローンや、大手銀行なのかもしれません。
◎今後の見通しと戦略
オセアニア通貨の人気の一つは高金利なのですが、今は米ドルや加ドルのほうが金利は高いです。 また、欧州がテーパリングから利上げに向かうとなってくると、さらにオセアニア通貨売りが進むかもしれません。 なので、短期から中期では売り目線かと考えています。 長期から超長期では、買い目線もありかなぁと思います。
個人的なトレードでは、2年前からオージードルのLongポジションを持っています。 いわゆるリピート系というやつです。 くるくるリピートさせながら、買いポジションだけ持って、含み損の時はスワップ金利が入るように戦略を考えています。 ただ、資金管理だけは注意しています。 当面は含み損を抱えるポジションになりそうです。
AUD/CHF 日足チャート
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