FOMCの“ニュー・ニュートラル”をリードする、3人の共通点[安田佐和子]
安田佐和子さんプロフィール
やすだ・さわこ。三井物産戦略研究所北米担当研究員。世界各国の中銀政策およびマクロ経済担当の為替ライターの経験を経て、2005年からニューヨークに拠点を移す。金融・経済の最前線、ウォール街で取材活動に従事する傍ら、ストリート・ウォッチャーの視点からニューヨークの不動産動向、商業活動、都市開発、カルチャーなど現地ならではの情報も配信中。2011年からは総合情報サイト「My Big Apple NY」を立ち上げ、ニューヨークからみたアメリカの現状をリポートしている。
総合情報サイト:My Big Apple NY
※この記事は、FX攻略.com2018年12月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
固まりつつある空席ポストの人事
世界は年初から、トランプ政権が主導する追加関税措置に端を発した通商摩擦に注目しています。その間に、米連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げを継続し、年内の利上げも当初の3回から4回へ引き上げました。米大統領選当時から「私は低金利派」と発言してきたトランプ大統領が、たまりかねて「利上げは望ましくない」と非難の矛先を向けるほどです。
トランプ氏による米連邦準備制度理事会(FRB)への口撃が真意かどうかは別として、FOMCの欠員を補充してきたという意味で、同氏はFOMCに助け舟を出してきたといえます。2017年10月に退任したFRB副議長のスタンレー・フィッシャー氏の代わりに、運用会社PIMCOでグローバル戦略アドバイザーなどを務めてきたリチャード・クラリダ氏が2018年9月17日に着任しました。
FRB理事は年初から4人分が空席だったものの、2017年11月にはカーネギーメロン大学のマービン・グッドフレンド教授を、クラリダ氏と同時に2018年4月にはカンザス州銀行監督官のミシェル・ボウマン氏を指名。さらに同年9月には、FRBでエコノミストとしての職歴を持ち、現在はブルッキングス研究所でシニアフェローであるネリー・リャン氏にFRB理事として白羽の矢を立てる方針と伝えられています。トランプ氏が何といおうが、FRBの役割を重視している証左といえるでしょう。
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