外為オンライン・佐藤正和の実戦取引術|3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析【今月のテーマ|年末相場に向けた短期売買。トレンドフォローのテクニック】
2018年の為替相場はトランプ大統領に振り回された1年でしたが、あと2か月強で終わろうとしています。過去のアノマリー(値動きグセ)でいうと、年末相場は秋口に出たトレンドが比較的穏やかに続く傾向が強く、トレンドフォローに向いています。11月6日に迫った米国中間選挙の結果次第の面もありますが、現状のドル高相場に順張りで乗る手法について考えてみましょう。
※この記事は、FX攻略.com2018年12月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
佐藤正和さんプロフィール
さとう・まさかず。邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。その後、年間取引高No.1を誇る外為オンライン・シニアアナリストに。通算20年以上、為替の世界に携わっている。ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」、ストックボイス「マーケットワイド・外国為替情報」に出演する他、Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
膠着感の強いドル円だが中間選挙後は買いの仕掛け時といえるかも!?
為替市場では年末相場が近づいてきました。FXの主役といえる海外の機関投資家たちにとって、11月末はヘッジファンドの決算期、12月末は大手金融機関の決算期にあたり、2018年1年間の総仕上げの季節です。
自分たちのクビがかかった決算期が目前ということもあるのか、11月~12月というのは経験則上、夏から秋口にかけて生まれたトレンドがそのまま続くことが多いように思われます。8月~9月に鮮明になったトレンドがとりあえず続く前提で見た場合、どんな短期売買の戦略が有効か、各通貨の今年の値動きをもとに考えてみましょう。
チャート①はドル円の2018年に入ってからの日足チャートに、一目均衡表とMACDを表示したものです。ドル円は1月に1ドル113円台の高値をつけたあと、米国長期金利の上昇による株価の調整やトランプ大統領の保護主義政策発動を嫌気して、3月には104円台まで下落しました。一時は「100円割れも」という流れでもありましたが、その後、上昇に転じ、今も4月から続く上昇トレンドの途上にあるといえます。
ドル高の原動力になっているのは、トランプ減税の追い風もあって“一人勝ち”の絶好調が続く米国の経済状況です。米連邦準備制度理事会(FRB)の相次ぐ利上げによって、2.25%に広がった日米金利差が非常に大きな魅力になっています。
直近のドル円は、1ドル111円台に位置していた一目均衡表の雲の上限を何度目かのトライで9月半ばに上抜け。今後は2017年11月につけた高値114円後半の突破が目標となっており、年末には115円台まで上昇してもおかしくはありません。
むろん、対中国だけでなく、日本にも貿易戦争の圧力を強めてきたトランプ大統領の「口撃」が次第にエスカレートする中、好調な米景気という材料だけでドルの一段高を望むのは簡単ではないかもしれません。しかし、最近の為替市場を見ていると「脱トランプ」「卒トランプ」が進みつつあるようにも見えます。チャート①を見ても、トランプ氏の過激な言動はすでに織り込み済みで、ドル円は上昇トレンドをキープし、さらなる上値を試す展開にあります。
注目は、来たる11月6日に迫った米国議会の中間選挙でしょう。現状、全議席が改選となる下院は民主党の優勢が報じられています。ただ、共和党の完全敗北や選挙後、ロシア疑惑によってトランプ大統領が弾劾される、といった波乱がないまま無事通過すれば、ひょっとするとトランプ大統領就任以降の最高値118円台に到達するような一時的な短期急騰も期待できそうです。
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