ゴールド上昇 1500ドルも視野に[佐藤りゅうじ]
佐藤りゅうじさんプロフィール
さとう・りゅうじ。1968年生まれ。1993年米大卒業後、マーケティング会社を経て、金融・投資全般の情報ベンダー、株式会社ゼネックス(後の株式会社オーバルネクスト)入社。マクロ経済分析をはじめ、為替、商品、株式市場のアナリストリポートの執筆、トレードに携わる。2010年より「エイチスクエア株式会社」を起業、アナリストレポート等を執筆、「FOREX NOTE 為替手帳」等の企画・出版を行う傍ら、投資関係のラジオ番組キャスターを務める。個人トレーダー。国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト。ラジオ日経「ザ・マネー ドイサトの相場予測」(月曜15:00〜)メインキャスター。
公式サイト:佐藤りゅうじブログ
※この記事は、FX攻略.com2019年9月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
底入れから上昇局面へ
ゴールドが騰勢を強めています。ゴールドは、6月21日、2013年9月以来の高値となる1410.74ドルまで上昇しました。本誌5月号(2月執筆)では、「1400ドル台も視野に」と述べましたが、既に同水準を突破しました。2013年4月以来となる1500ドルも視野に入ってきそうです。今回は、6年ぶりの高値をつけ、節目の1500ドルを目指した上昇局面に入りつつあるゴールドについて、みていきましょう。
まずは、ここ半年ほどのゴールドの値動きを確認します(チャート①参照)。昨年末辺りから地合いを引き締め、2019年序盤は1300ドル手前でもみ合ったのち、1月25日に1300ドルの節目を上抜くと、2月20日には1346.58ドルまで水準を引き上げました。この値動きの背景として、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、年初の講演で「金融当局は辛抱強く、必要に応じて迅速に金融政策を調整する用意がある」と述べ、これまでの金融引き締めを休止することを示唆したことが挙げられます。
ただ、その後は米中貿易摩擦に対し楽観的な見方が広がり、投資資金が株式市場に流れると、ゴールドは徐々に上値を削り、4月23日には1266ドル台まで水準を引き下げました。5月は1266~1300ドル前後でのレンジ取引が中心となりましたが、異変が起きたのは5月末です。ゴールドは、一気に1300ドルを上抜きます。
このころ、米3か月物と10年物国債の逆イールドが発生、またトランプ大統領がメキシコに対する関税を突然発表、そして中国への報復関税も発動された時期です。株式市場が動揺し、安全資産への逃避ということでゴールドに資金が集まります。そして、6月19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが示唆されると、買いが一気に加速し、1410ドル台まで上昇しました。
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