トランプ大統領「香港人権・民主主義法案」署名が各市場に影響。米国感謝祭明けの市場に注目
投資サロン「江守哲のリアルトレーディング・ストラテジー」では、配信されるメルマガで株式・債券・為替をはじめとした多くのマーケットを分析した情報を一度に確認できます。これにより江守哲氏の推奨するグローバルマクロ戦略を有効に活用することができるのです。
◇グローバルマクロ戦略について
本メルマガでご紹介する投資戦略は、ヘッジファンド業界では「グローバルマクロ戦略」のカテゴリーに属します。これは、世界のヘッジファンドのもっとも得意とする手法で、いわゆるヘッジファンド運用の「王道」です。
この戦略では、あらゆる市場に目を配り、投資機会を探しながら収益の獲得を狙います。市場価格の上昇・下落に関係なく、価格の変動が見込まれれば、それにベットする(賭ける)戦略です。ボラティリティが高いほど収益が見込まれますので、投資機会があれば果敢に攻めます。
世界情勢が不透明な中、為替や株式、金利、コモディティなど主要市場の価格変動は一段と大きくなっています。そのため、それぞれの市場の予測がきわめて困難になっています。このような市場環境では、マクロ的な見地からより幅広い市場で運用を行う「グローバルマクロ戦略」が有利です。
(江守哲のリアルトレーディング・ストラテジーより引用)
今回は2019年11月29日配信のメルマガから一部をご紹介します。
〔EQUITY & BOND MARKET〕
米国株式市場および債券市場は感謝祭のため休場。
ロンドン株は下落。配当落ち銘柄に売りが出たほか、米中通商協議の進展を巡る懸念が重石となった。FTSE100は4日続騰していたが、この日は0.18%安で終了。トランプ大統領は27日、香港の反政府デモを支援する「香港人権・民主主義法案」に署名。これを受けて、中国政府は28日、「断固とした報復措置」を取ると表明し、香港に干渉しようとする試みは失敗すると警告したことで、米中協議の進展を巡る懸念が高まった。
この日は米国株式市場が感謝祭の祝日で休場となっていることで商いは薄かったが、トランプ大統領の香港法案署名を受けて、アジア事業に注力するHBSCホールディングスや鉱山関連株に売りが出た。
欧州株は下落。米中通商協議への懸念が再燃した。STOXX600は0.14%安と5日ぶりに反落。通商政策に左右されやすいSTOXX600自動車・部品株指数が下げを主導し、0.8%安と下落率は1週間超ぶりの大きさとなった。
【日本株式・債券市場の市況解説・分析】
日経平均株価は前日比28円63銭安の23409円14銭、TOPIXは2.92ポイント安の1708.06と、ともに5日ぶりに反落。銘柄の66%が下落、29%が上昇。出来高は9億2501万株、売買代金は1兆5982億円。
27日の米国の主要株価指数は上昇したが、日本時間の朝方にトランプ米大統領が「香港人権・民主主義法案」に署名して同法が成立したと報じられ、中国による報復措置への警戒感が出て、日経平均株価は前日の終値近辺で上下する展開だった。
28日の米国株式市場が感謝祭で休場のため、海外投資家が休暇体制に入り、積極的な売買が見られなかった。取引時間中には、香港人権法案に対して中国政府から「極度の遺憾の意」とする抗議声明が出たものの、具体的な報復措置は示されなかった。海外勢が本格的に取引に市場に戻るのは12月に入ってからであり、中国が貿易協議を停滞させるような動きを見せるかがポイントになる。〔CURRENCY MARKET〕
ドル円は下落。トランプ大統領は27日、香港の反政府デモを支援する「香港人権・民主主義法案」に署名。これを受けて、中国政府は28日、「断固とした報復措置」を取ると表明し、香港に干渉しようとする試みは失敗すると警告したことで、米中協議の進展を巡る懸念が高まり、一時109.32円まで下落する場面があった。その後は徐々に値を戻し、109.50円で引けた。この日は米国市場が感謝祭の祝日で休場となっていることで商いは薄かった。
12月12日に総選挙を控える英国でジョンソン首相率いる与党・保守党が単独過半数を獲得するとの見通しが示されたことを受けて、ポンドが対ユーロで約7カ月ぶりの高値を付けた。ただし、その後は軟化し、小幅安で取引を終えた。調査会社ユーガブの予測モデルによると、総選挙で保守党は定数650のうち359議席を獲得して単独過半数を獲得する見通し。17年の前回選挙で保守党の獲得議席は317だった。ポンドは対ドルでは一時1.2953ドルと、1週間ぶりの高値を更新。ただし、その後は軟化し、1.2907ドルで引けた。
【通貨トレード戦略】
ドル円はショートを維持します。下げに転じれば、かなり下げる可能性がありますので、そこを狙っておきます。逆に一段高になれば、さらに上げる可能性もあります。下値が切り上がってきていますので、109.65円にある重要なレジスタンスを超えると節目の110円、さらに111.80円あたりまで上昇しそうです。そうなると、ショートはいったん手仕舞いします。場合によってはロングを検討することになります。いまの市場では、米金利が重要なポイントになっています。債券市場の動きを注視しておきたいところです。〔COMMODITY MARKET〕
【貴金属市場の市況解説・分析】
金相場は小幅上昇。銀は続落し、プラチナは反発、パラジウムは続伸して過去最高値を更新した。
【貴金属のトレード戦略】
金のロングを維持します。戦略は変わりません。下値がかなり堅くなってきた印象です。そのため、いったん上向けば、かなりの上昇になる可能性を秘めています。もっとも、それもすべては米国株次第といえます。
米国を中心に世界の株価が高くなっており、投資家の金離れがみられます。しかし、いまは金を手放してはいけない時期です。1440ドルで下げ止まれば、きれいなサポートとなり、反発に向かうと考えます。リスクを限定するためには、金を保有するのが一番です。いずれ株価も一度は調整するでしょう。その際に金への関心は大きくなると考えています。短期志向になる必要は全くないでしょう。
米実質金利から見た理論値が1440ドルであることも再度認識しておきたいところです。ここまで下げた場合には買い増しで対処したいところです。繰り返すように、11月から2月は金を売ってはいけない期間です。目先の変動に振り回されず、まずはしっかりと保有しておくことを優先します。そのうえで、株価の調整に伴うリスクオフの動きを待ちます。銀とプラチナは見送りとし、いまは金に集中します。
『江守哲のリアルトレーディング・ストラテジー』(江守哲)より引用。
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