外為オンライン・佐藤正和の実戦取引術|3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析【今月のテーマ|急落後のリバウンド相場の狙い方。役立つテクニカルは?】
株価上昇にも反応薄で膠着状態だったドル円ですが、2月に大きく急落しました。「悪い金利上昇」や「インフレ加速」がテーマになりそうな2018年は、今後も思わぬ急落が起こりそうです。そこで今回は、過去のさまざまな通貨ペアの暴落後のリバウンド相場を徹底検証。急落後に必ず起こるリバウンド上昇を狙う上で、活用度の高いテクニカル指標や売買シグナルを紹介します。
※この記事は、FX攻略.com2018年5月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
佐藤正和さんプロフィール
さとう・まさかず。邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。その後、年間取引高No.1を誇る外為オンライン・シニアアナリストに。通算20年以上、為替の世界に携わっている。ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」、ストックボイス「マーケットワイド・外国為替情報」に出演する他、Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
米国の景気が良すぎてドル円が急落する奇妙な展開。ドル円の下値メドは100円?
2018年2月になり、1月まで史上最高値を更新していた米国株は大きな下げに見舞われました。これまで株価の上昇に反応薄だったドル円相場も、さすがに株価暴落、長期金利上昇などを嫌気して急落に転じました。きっかけになったのは2月2日に発表された1月の米国雇用統計でした。サプライズは、平均時給が前年比2.9%増と9年ぶりの高水準まで上昇し、あまりにも良い数字だったことです。
平均時給上昇→インフレ加速→米連邦準備制度理事会(FRB)の2018年利上げ回数増加といった思惑で、長期金利が2.9%を上回る水準まで上昇。金利上昇を嫌う株式市場に売りが広がり、その影響はついに為替相場にも及びました。
「あまりに景気が良すぎて株やドル円が急落する」というのは不思議な現象です。本来なら米国金利上昇はドル高要因ですが、「好景気に悪影響を及ぼしかねない悪い金利上昇」と見なされることで、米国金利上昇→ドル安、その副作用としての円高、ユーロ高が進行しました。2月中旬には株式相場が落ち着きを取り戻したにもかかわらず、ドル円は1ドル105円50銭台まで下落。まだ、どこまで下がるか分からない状況です。
2016年以降、ここ2年間の週足チャートでドル円の下値メドを探したのがチャート①です。週足のドル円は2018年に入って、Aの52週移動平均線割れや一目均衡表の雲入り、Bの三角保ち合い下放れ、Cの雲割れ、MACDの0ライン割れ、さらにDの2017年レンジ相場の下限割れを起こし、下落シグナルを連発しています。個人的にはそろそろ下げ止まるだろうと思っていますが、当然、今後も下落が続く可能性もあります。
そこで下値にある過去の高値や安値からサポート帯を割り出してみると、まずはトランプ大統領選出が決定した2016年11月9日の始値や、それ以前の高値が位置する104円台が第一関門になりそうです。そこを下抜けると次はトランプ相場前の下降トレンドの最安値99円~100円台が目標下値になります。このラインには月足の一目均衡表の雲の下限も位置しており、強力なサポート帯になっています。
1ドル100円を割り込むような事態は、米国で利上げが進み、日本では続投が決定した黒田総裁率いる日銀の大規模量的緩和が続いている以上、少し考えにくいところです。おそらく、米国経済がピークアウトしたり、長年続いた米国株バブルが何らかの理由で崩壊したりしない限り、90円台突入はないと思っていますが、為替相場に絶対はなく、米国株が再暴落すれば1ドル100円割れのオーバーシュートもあり得るかも知れません。
とはいえ、急落が続いた後には必ずリバウンド上昇が起こるのも為替相場の常です。そこで、今回は過去の急落や暴落からのリバウンド上昇の局面をさまざまな通貨ペアで見て、通用するテクニカル指標や投資法を検証してみましょう。
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