日本株売買累計2 クジラ買い出動なし 井上哲男氏
潮流1008 テクニカルグラフ15(日本株売買累計2)配信日:2020/03/27 08:18
昨日の3枚のグラフに、もう1枚追加して再送する。
これを見ると、週末日(通常は金曜日)ベースで述べると、2/14-3/13の5週間に亘り、外国人投資家は日本株について、現物、先物の両方で売り越しを続けたことが分かる。
2/7の日経平均終値が2万3827.98円、3/13の終値が1万7431.05円なので、指数は累計で6396.93円、率にして26.8%の大きな下落となったのだが、この間、外国人はそれぞれの累計で、現物を1兆2834億円、先物についてはさらに大きな2兆9779億円、合計で4兆2613億円もの売りを浴びせたことが分かる。
ここで、週次の日経平均下落幅と外国人の現物、先物合計の週次の売り越し金額を列挙すると、2/14:-140.39円:993億円、2/21:-300.85円:2845億円、2/28:-2243.76円:1兆7696億円、3/6:-393.21円:1兆1262億円、3/13:-3318.70円:9817億円となっている。
一見すると、外国人の売りサイズが大きい方が、当然、指数の下落幅が大きいような気がするが、よく見てみるとそうではない。3/6の週は1兆1262億円と、1兆円を超える売りが出たのに、日経平均は393.21円しか下げておらず、翌週は、外国人の売り越し金額が9817億円と、(非常に大きいが)少し減額されたが、指数は3318.70円も下落しているのである。
この3/13の週の大きな下落の需給的な要因には、実は、信用取引の買い残の減少、つまり、買いポジションの損切りの投げが含まれている。
同週、信用買い残は、週次で4040億円減少し、2兆円を割り込んでいる。そして、結果的に買い残はアベノミクス相場が始まってまだ3ヶ月の、2013年2月の水準にまで落ち込んだのである。これが、上記の外国人の売りに加わったということだ。
それでは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と3共済のいわゆる“クジラ”が、その日本株(時価換算ベース)の落ち込みをこの時期に埋めるべく、買ってくれていたのかというと、1月、2月には合計で4876億円と約5000億円の売り越しを行ったうえ、“肝心の” 3/6、3/13の2週間の(手口が表れる)「信託銀行」の買いは、それぞれ、236億円、286億円と、買い出動してくれなかったことが分かる。極めてガッカリな結果、というか、行為であったといえる。
この結果、グラフ4で示した散布図の計算式にあてはめると、再度、外国人の先物売りは5.5兆円の過去最大の売り越しにツラ合わせしたものの、計算上は全て買い戻されても、2万0477円と、2万1000円にも届かないこととなっている。
Written by Hayakawa
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