【無料全文公開】元為替ブローカーから学ぶFXの売買プランの作り方|第8回 三波動の考え方を取り入れたドル円相場分析①[浅野敏郎]
浅野敏郎さんが、自身の経験と知識に裏打ちされた売買手法や相場観構築のノウハウを余すところなく教えてくれる本企画。今回も前回に引き続き、三波動の考え方を軸とした分析方法で直近と今後のドル円相場を読み解いていただきます。
※この記事は、FX攻略.com2017年12月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
浅野敏郎さんプロフィール
あさの・としろう。東短グループの外国為替売買仲介業者である、トウキョウ フォレックス株式会社、さらには、為替取引の世界シェア80%以上を誇るEBS社(現ICAP)等での勤務経験を持ち、1985年のプラザ合意、その後の超円高時代、バブル崩壊、2000年のユーロ統合などの歴史的相場を第一線で経験し、相場観を養う。その後、2社のFX取引会社の創業、プライベートFXファンドのディーラーも経験。現在、投資の学校グループの日刊ブログで執筆を担当。特技の映像編集を活かした分りやすい映像作品の支持者も多い。
ここ最近のドル円はとても難しい局面
9月上旬にドル円相場は一波乱ありました。チャート①を見ていただくと分かるように、トランプラリー(2016年11月に米トランプ政権が誕生しドルが急騰したこと)で高値Jをつけて以降、上値が重かったドル円相場は先月9月8日に③の安値を割り込んで押し目を更新し、107円台で大引けしました。この変動を受けて、目先の相場観を下落へと切り替えざるを得なかった矢先、週末を挟んだ翌週から一転強い反発を見せ、日足・週足共に一目均衡表の先行スパンを上に抜ける展開となりました。
振り返っていうのは簡単ですが、週足先行スパンの値幅はそれでも3〜4円ある状況の中で、ここ数か月の上下動はこの先行スパンを越えたり割り込んだりと方向性がなく、かなり難しい局面であるのは事実です。
それでも、今回の値動きでいくつかいえることが出てきました。Jからの下落を意識した場合、今回の安値更新でいえることは、④の高値を⑥で更新した後に、③の安値を割り込んできたことで、J−③を第一波動、③−⑥を第二波動とする下落を考える必要が出てきたことです。
この下落を考慮する期間は、今後も相当な時間が必要になり、方向感が出にくい相場は延長されたと考える他ない状況ですが、下落の延長を値幅で否定するためには最低でも⑥の高値を越える必要があり、さらにはJを越えないことには本格的な上昇は理論上からも無理ということになります。また、①を割り込んで以降の相場はアベノミクス相場の最高値HからIまで下落した半値の水準より下で多くの時間を推移しており、下落の影響を引きずっているようにも見えます。
上昇材料はあるもののいまだ方向性は乏しい
一方、トランプラリーによる上昇が直近の相場に影響を及ぼしていると考えた場合、J以降の調整相場はI−Jの半値水準以上で大半を推移できており、整合性はとれている状況が続いています。これを踏まえ、9月下旬の現時点で日足・週足共に先行スパンの上に位置しているのは上昇目線にとっては明るい材料です。
⑥の高値からの下落が、なぜ⑦で下げ止まったのか、自分の中での根拠は乏しいのですが、前号でも簡単に触れたように、振り幅が大きなもみ合いは直近の高値安値に至るまでにかなりの勢いを失うため、高値越えや安値割れに至っても大きく伸びにくいとした点は、今回も証明された格好です。もし今回の⑦に至る下げでドルを買えていたとすれば、そのくらいの根拠しか見当たりません。
残念ながら、③を割り込んだタイミングを新規ドル売りの入口としたプランは、結果的に失敗したと言わざるを得ませんが、もしJ以降にロングポジションを取っていたとしても、最終的な損切りどころはこのタイミングしかなかったと思います。
確かに今回もドル・ロングを耐えていれば、結果的に今のところは一息つける状況ではあります。しかし、ここで耐えた理由をもし明確にできなければ、逆にこの先の利益確定もできない可能性がありますから、この例に当てはまるような場合は、ぜひこの点を再確認してみてください。
ドル円相場は方向性に欠ける期間が先に延びたことで、取引すべき対象ではないように見えます。銘柄組み換え的に前向きな発想で、しかもFXにこだわるのであれば、ポンドやユーロに関連した通貨ペアにシフトすべきですが、せっかく数か月にわたって観察してきましたので、もう少し続けてみたいと思います。
今後は直近の高値を超えられるかに注目
おしまいに、今後の目先についていくつか変更点があります。まず、H−Iの半値水準をご覧の適正位置へ修正しました。また、安値が③から⑦へと更新されたことで、J以降の半値をJ−⑦に変更し、J以降の下落基調を理解しやすくするためにJ−⑥のレジスタンスラインを新たに加えて推移を見守っていきます。
繰り返しになりますが、J以降のもみ合い相場が問題なのは結局ここまで明確な押し目や戻りが見当たらないことです。もみ合いの値幅がもう少し狭まってくれば、恐らく何かが見えてくるとは思いますが、現状は少なくとも直近の高値安値となる⑥か⑦のどちらかを、どのように越えていくかしか大きな手掛かりは無い状況です。現時点は、⑦から反発した直後でありますので、この流れでいえば次号までに⑥を越えられるかどうかでプランの立て方も変わってくると考えています。
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