ユーロの急伸に注目 江守哲氏
配信日:2020/06/05 08:33
〔GLOBAL EQUITY & BOND MARKET〕
【米国株式・債券市場の市況解説・分析】
ダウ平均:26281.82(+11.93)<+0.05%>
S&P500:3112.35(-10.52)<-0.34%>
ナスダック総合指数:9615.813(-67.1)<-0.69%>
ナスダック100:9629.664(-75.02)<-0.77%>
FANG指数:3870.54(-62.16)<-1.58%>
ラッセル2000:26281.82(+11.93)<+0.05%>
VIX:25.81(+0.15)<+0.58%>
SOX:1953.47(+16)<+0.83%>
米国株は欧米で続く経済活動再開の動きを好感し、ダウ平均は小幅続伸。ただし、S&P500とナスダック指数は反落した。また、主力ハイテク株のFANG指数が大きく値を下げている。新型コロナウイルスの感染拡大で停滞していた経済活動を再開する動きが欧米で続き、投資家のリスク選好の回復が続く一方、ECBは追加の景気刺激策を打ち出したが上値は重かった。7月から国内の減便を縮小する計画を発表したアメリカン航空グループは41.1%高と大幅上昇。デルタ航空が13.7%高、ユナイテッド航空が16.2%高、ボーイングが6.4%高と航空関連株が買われている。一方、バンク・オブ・アメリカが3.8%高、ウェルズ・ファーゴが4.8%高と金融株も高かった。
米新規失業保険申請件数は187万件となり、外出規制が始まった3月以降で初めて200万件を下回った。ただし、市場予想を上回ったことで、雇用への懸念が広がった。このところ株価が大きく上昇していた反動で、利益確定の売りが出やすく、マイナス圏で取引される場面も多かった。マイクロソフトは1.3%安、アップルは0.9%安、ツイッターは3.3%安、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズは6.0%安と、IT関連株には売りが先行した。5日発表の5月の米雇用統計では失業率が19.7%に悪化すると予想されている。
5月30日までの週の新規失業保険申請件数は187万7000件と、前週比24万9000件減少した。新型コロナウイルス感染予防策が緩和され、ほぼ全米で経済活動が再開したことで、外出規制が始まった3月以来、11週間ぶりに200万件を下回った。外出規制開始後11週間の累計では4264万7000件だった。一方、失業保険受給者総数は5月23日までの週で2148万7000人と、64万9000人増加した。
1-3月期の非農業部門の労働生産性は年換算で前期比0.9%低下した。速報値の2.5%低下から上方修正された。前年同期比では0.7%の上昇。インフレ指標の一つである単位労働コストは前期比5.1%上昇、前年同期比1.9%上昇だった。
4月の米貿易統計(国際収支ベース)によると、モノとサービスを合わせた貿易赤字は前月比16.7%増の494億0800万ドルとなった。赤字拡大は2カ月連続。新型コロナウイルス流行に伴う企業活動の自粛を受け、世界的な景気減速を背景に外需が落ち込んだ。輸出は20.5%減、輸入も13.7%減。減少幅はいずれも集計開始以来で最大。製造業を支える自動車関連、輸送や旅行サービスが不振だった。一方、4月のモノの対中貿易赤字は前月比89.8%増の224億6600万ドル。国別の赤字幅は中国が首位。輸出は7.9%増、輸入は56.9%増。中国は経済の再開で先行しており、取引が急増した。日本に対するモノの赤字は前月比24.6%減の41億9600万ドル。このうち自動車関連が約8割を占めた。輸出は17.1%減、輸入は20.5%減
国際航空運送協会(IATA)は3日、各国で移動規制の緩和が進み航空便が再開する中、航空各社が利用者を増やすために航空運賃を引き下げているとし、今後各社の収益を一段と圧迫するとの見方を示した。IATAによると、5月の国内旅客輸送は、新型コロナ感染拡大に伴う渡航規制でほぼ全ての便が停止していた4月の水準から約30%回復した。その後の運航再開に伴い、各社は5月に航空運賃を平均23%値下げした。航空各社はコロナ危機で手元資金を必要としており、安い航空運賃を提供することで利用者を増やそうとしているもよう。新型コロナ対策などで各社のユニットコスト(座席キロあたりのコスト)は既に膨らんでおり、運航が再開される中、各社にとり厳しい時期になるとみられている。
IATAは、多くの航空会社が黒字化するのはかなり先になると予想している。一方、アジア地域の状況は着実に改善しており、中国、韓国、ベトナムの国内便は前年の25%程度まで回復した。北半球では通常3月から夏休みの予約が増え始めるが、先月回復が始まったに過ぎないとし、グーグルを使った航空便の検索は1月の水準を60%下回っている。
米2年債利回り:0.198%(-0.0021)
米10年債利回り:0.825%(+0.0641)
米30年債利回り:1.635%(+0.0843)
米2-10年債利回りスプレッド:-0.627%(-0.0660)
米10年債先物:138.156(-0.41)<-0.29%>
米ハイイールド債:83.67(-0.26)<-0.31%>
米国債は長期債利回りが上昇。ECBが新型コロナウイルス対策である緊急債券購入策の拡充を決めたほか、米国の新規失業保険申請件数が予想ほど増加しなかったことで、市場心理が好転した。10年債利回りは一時0.822%と、3月27日以来の高水準を付けた。ECBは4日の理事会で政策金利を据え置く一方、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い入れ規模を6000億ユーロ増額したほか、買い入れ期間を当初計画より6カ月延長して21年6月末までとした。
【米国株のトレード戦略】
米国株はやや上値が重くなっている。今日の雇用統計を前に手仕舞いが出ているのだろうか。これまで経済指標を無視してきているだけに、それはないだろう。安値から2カ月半も上げ続ければ、さすがに一服ほしいというところであろうか。しかし、トレンドは続いている。上昇基調が続けている間は、空売りを入れずについていくことが肝要である。下げに転じた時点で手仕舞い売りを行い、さらに下げればショートを検討するほうが賢明である。いまのような相場展開では、買っていれば利益が出ると勘違いする投資家がかなり入ってきている可能性がある。しかし、そのような投資もまた最後は報われない。調整に入ったときにメンテナンスをしない投資家による運用は、安値で投げることになる。最後はそのような下げが来るだろう。
一方で苦しいのは空売り筋である。なかなか下がらない中で、「なぜまだ上がるのか」といらだっていることだろう。明日発表のS&P500やナスダック100の先物の投機筋のポジションで売り残が減っているかを確認したい。そのうえで、まだショートの解消が進んでいないようであれば、この相場はまだ終わらないと判断することになるだろう。繰り返すように、「相場は苦しむ市場参加者の反対方向に進む」のである。市場の動きに逆らってはいけないということである。「Trend is Friend」という相場格言があるが、いまはまさにその通りの状況である。経済指標は悪化を続け、企業業績見通しもかなり悪化している。しかし株価は上げている。違和感があっても、それを批判し始めれば、収益機会を失うだけである。
ファンダメンタルズを重視したマクロ運用者から見れば、全く納得がいかない相場展開ではあるが、市場の動きに逆らえば失うものは少なくない。いまのような相場では、上昇の理由を探すのではなく、投資マネーのフローという要因を重視すべきであろう。これもある意味ではファンダメンタルズといえる。割高とみた向きの空売りポジションも、株価形成の一員と考えれば、立派なファンダメンタルズ材料である。先物やETFに空売り筋の売りのフローが入り続ける限り、相場は上がることになる。株式市場ではこれを需給と呼ぶようだが、正式には「ポジション需給」である。経済の需給とは切り離し、言葉は正しく使わないといけばいけない。
アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏は、中央銀行の市場支援策を当て込んで強気の投資を続ける投資家のスタンスに疑問を呈し、「自分はやらない」としている。エラリアン氏は、ファンダメンタルズに従った投資を行いたいとしているようである。過去には、グリーンスパン氏など、市場が崩れそうになるたびに金融緩和を行って株価を支えてきた議長もいる。これを市場は「グリーンスパン・プット」という言葉を作って敬意を表した。その後もこの政策スタイルはバーナンキ・プット、イエレン・プットと受け継がれている。いまでは「パウエル・プット」なる言葉もできている。
パウエル議長はこの流れを断ち切るとの見通しも一時出ていたが、結局は市場の圧力に負け、これまでのやり方を踏襲せざるを得なかった。その結果、「FEDプット」というより包括的な呼び方が定着しつつある。確かにFEDプットは市場に直接的に効きやすい政策であろう。特に米国ではその傾向がある。しかし、この政策がバブルの主因になってきたこともまた事実である。つまり、経済実態との乖離である。しかし、これはもはや麻薬と一緒で、一度味を占めるとやめられない。やめてしまえば、市場が崩壊し、投資家からクレームを受ける。そして、ドルの信認が揺らぎ、ドルの暴落を招くという懸念が高まることになる。
エラリアン氏の投資スタンスはかなりきれいごとに聞こえるが、実際にそのようなスタンスでいれば、いまの米国市場では利益を上げることはできなくなる。残念なことではあるが、FRBの政策を批判しても、相場の動きを批判してはならない。そのような態度を見せれば、市場から嫌われ、収益機会を逃すだけである。バリュエーションは高く、経済実態との乖離が大きいように見えるが、市場を使って何をしたいのか、何のために市場に参加しているのかを理解しなければ、市場にやり込められるだけである。要は割り切りが必要ということである。自分の都合で市場の動きを解釈しようとしてはダメなのである。
短期トレード戦略は不変である。主要株価指数はロングの指示である。FANG指数は下げたが、まだロング指示である。ただし、一段安になれば、一転手仕舞いとなるだろう。今日の動きを見て判断したい。指数全体の基調は上向きであり、ロングが有効な状況は変わっていない。警戒すべき水準に来ているのだろうが、トレンドが続いている以上、手仕舞い売りや空売りを仕掛けることはしない。手仕舞いすべきとの判断が出るまでは、少なくともロングを保有しながら相場の流れについていき、収益拡大を狙うというスタンスが重要である。
繰り返すように、いまの相場はその背景や中身を気にしているとついていけない。買い戻しが終わるまでは、いまの相場は続くと考え、割り切ってみていくことが肝要である。割高だと感じていても、上がる相場は上がり続ける。いつか調整する時が来るだろうが、対応はその兆候が出てきてからである。それまでは、上昇についていくだけである。ただし、下げに転じたときには、迷うことなくショートにする。この身代わりの速さも必要である。こだわりを持たないことが肝要である。
これも繰り返しだが、S&P500が50日間に20%以上上昇した場合、翌月には4.63%上昇、3カ月後には7.60%上昇、半年後には10.08%上昇している。上昇確率はそれぞれ100%、85.7%、100%である。下がらないということになる。強い相場はそれだけ強さが維持されるということである。一方で、今回のように、大きく戻す前に下げていたケースについても見てみると、50日間で20%以上下落したケースでは、1カ月後は4.24%上昇、3カ月後は7.77%上昇、半年後は13.71%上昇している。上昇確率はそれぞれ62.5%、71.4%、85.7%である。このケースでも、やはり株価は戻しており、その確率も高い。
このように、今回のように大きく下げた後に大きく値を戻すと、そのまま戻り続けるということになる。この過去のデータも十分に頭に入れておくべきであろう。
長期的なポートフォリオ戦略については、考え方は短期トレード戦略とは違う。これは資産としての運用戦略である。したがって、大きく下げたときに買い増す方針である。2月高値から30%、35%、40%、45%、50%と買い下がれるように資金を残しておくことが肝要である。さらに、リスクを考慮して、55%以下から最大75%の下げまで考慮しておけば、リーマン・ショック級の下げになっても買い下がることができる。資金分散・時間分散を行えば、大きな下落の波にのまれることはない。現金がなければ投資はできない。常に現金を残し、下げ相場で買うことができるようにしておくことが、長期投資で生き残るうえで最大のポイントである。
長期投資の場合には、ETFなどを利用して「現物」で買うことが肝要である。現物であれば、下げても耐えられる。また、現物は先物やCFDなどの取引の担保に使用することはしてはいけない。リスクを二重に取ることになるため、リスクが大きくなりすぎるためである。最終的には株価は戻すだろう。しかし、世界の成長力が低下している。株式投資も以前のようなリターンは見込みにくくなっている。この20年の米国株のリターンは過去と比較すると半分以下に低下している。成長率が低下し、金利も低いのだから仕方がないだろう。ここは甘んじて受け入れるしかないのである。
基本的にS&P500のポジションだけで十分であろう。様々な資産に幅広く投資するのが安定運用につながる。VIXはヘッジの意味合いもあるため、トレードのアイテムに入れるとより幅広い運用ができるだろう。S&P500とVIXの組み合わせは非常に重要である。
<米国株式市場の短期トレード戦略>
ダウ平均:ロング
S&P500:ロング
ナスダック総合指数:ロング
ナスダック100:ロング
FANG指数:ロング
ラッセル2000:ロング
VIX:ショート
【米債券トレード戦略】
米10年債先物はショートである。債券売りとなっており、まさにリスクオンである。ハイイールド債はロング継続である。いまはリスク資産に資金が入っている状況である。ハイイールド債のETFであるHYGの動きをみることで、投資家のリスク許容度が図ることができる。特に10年債先物は値動きが煮詰まっている。大きな動きに発展する可能性をはらんでいる。
長期的なポートフォリオ戦略では、常に米国債を保有しておくとよいだろう。ただし、徐々に減らしたほうが良いだろう。これからは金と現金が優位になるとみている。株式4割、金3割、現金3割が理想的である。
<債券市場の短期トレード戦略>
米10年債先物:ショート
米ハイイールド債:ロング
【欧州&その他の株式・債券市場の市況解説・分析】
FTSE:6341.44(-40.97)<-0.64%>
DAX:12430.56(-56.8)<-0.45%>
ユーロストックス:366.25(-2.67)<-0.72%>
上海株価指数:2919.251(-4.12)<-0.14%>
ハンセン指数:24366.3(+40.68)<+0.17%>
H株:9967.93(+0.4)<±0%>
NIFTY:10029.1(-32.45)<-0.32%>
ボベスパ指数:93828.61(+826.47)<+0.89%>
ロシア株:1257.31(-44.57)<-3.42%>
ロンドン株は反落。新型コロナウイルスの封鎖措置が終わり、経済活動が復活するとの期待から3カ月近くぶりの高値を付けたものの、銀行や資源株が売られ、終盤にかけてマイナス圏に転じた。英国の封鎖措置が徐々に解除される中、FTSE100と中型株で構成するFTSE250はここ数週間で大幅に値上がりしている。BOEは、新型ウイルスの感染拡大の影響による貸し倒れについて、銀行から追加で情報を求める方針を明らかにした。
欧州株も反落。利益確定売りが出ている。ただし、ECBが新型コロナウイルスの打撃を受けた経済を下支えするための景気刺激策を拡大したことで、ユーロ圏の銀行株は買われた。STOXXユーロ圏銀行株指数は1.12%上昇。ECBは資産買い入れ計画を、予想を超える6000億ユーロ増額し、1兆3500億ユーロに拡充した。実施期間は21年6月末までと、当初の予定から6カ月延長した。一方、STOXX600自動車・部品株指数や公益事業株指数、ヘルスケア株指数は下落した。
ドイツの連立政権は3日、景気回復を後押しするための1300億ユーロの景気刺激策で合意。ただし、電気自動車への支援を重視している内容から、ドイツ自動車大手のダイムラーは2.5%、フォルクスワーゲンは1.0%それぞれ下落した。ドイツのスポーツ用品大手アディダスは1.8%高。中華圏での新型ウイルスの封鎖措置終了後、想定より早く売り上げがプラス成長に戻ったとしたことが買い材料視された。
イギリス10年債利回り:0.307%(+0.034)
ドイツ10年債利回り:-0.324%(+0.025)
フランス10年債利回り:-0.012%(-0.023)
イタリア10年債利回り:1.42%(-0.132)
ギリシャ10年債利回り:1.383%(-0.122)
ユーロ圏債券はイタリア国債利回りが低下。ECBによる新型コロナウイルス対策の緊急債券購入策拡充が材料視された。イタリア10年債利回りは3月下旬以来の低水準を付けた。1日の低下幅としては5月18日以降で最大だった。スペインやポルトガル、ギリシャなど南欧の国債利回りも低下した。一方、追加刺激策が投資家心理の改善につながり、安全資産であるドイツ国債の利回りは上昇している。ユーロ圏の期待インフレ率の目安となる5年先5年物インフレスワップは1.07%を超え、3カ月ぶりの高水準となった。ドイツ20年債利回りは一時0.017%と、1月下旬以降初めてプラス圏に転じた。
ECBは4日の定例理事会で政策金利を予想通り据え置く一方、新型コロナウイルスのパンデミックへの緊急対策として打ち出した債券購入プログラムを拡充した。パンデミックにより、戦後最大のリセッションに陥りかねない域内経済を支援する方針。パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い入れ規模を6000億ユーロ増額し、1兆3500億ユーロとしたほか、買い入れ期間を当初計画より6カ月伸ばし、21年6月末までとした。また、PEPPの下で満期を迎えた債券の再投資を少なくとも22年末まで実施するとした。
ECBは声明で「理事会はインフレ率が上下対称的なコミットメントに沿って、持続的な方法で目標に向かうことを確保するために、必要に応じてあらゆる政策を調整する用意ができている」とした。主要政策金利は0%、中銀預金金利はマイナス0.5%にそれぞれ据え置いた。
ラガルド総裁はベースシナリオとして、域内経済が今年8.7%縮小すると想定。新型コロナの感染拡大を抑制する制限措置が欧州の大部分で2カ月超にわたって実施されたためとしている。その後、21年には5.2%、22年には3.3%の経済成長を見込んだが、ラガルド総裁はベースシナリオに対するリスクは下向きに傾いているとした。ラガルド総裁は、「経済収縮と回復の度合いは、封じ込め措置の期間や効果、所得と雇用への悪影響を緩和する政策の成果、供給能力と内需への恒久的な影響の程度によって決まる」とした。また、ロックダウン措置や原油価格の急落を受け、インフレ見通しを大幅に下方修正。今年のインフレ率予想は0.3%と、従来の1.1%から引き下げ、ECB目標の2%近傍を大きく下回る水準に設定した。また、21年は0.8%(前回1.4%)、21年は1.3%(同1.6%)にそれぞれ引き下げた。
4月のユーロ圏小売売上高は前月比11.7%減、前年比19.6%減となった。前月比での落ち込みは前月の11.1%減を上回り、1999年の統計開始以降で最大となった。前年比でもデータが存在する2000年以降で最大となり、金融危機時の09年2月に記録したマイナス幅のほぼ4倍となった。EU全体では11.1%減。新型コロナウイルス感染拡大を受けて各国が導入した外出規制や店舗休業などの制限措置が大きく影響した。ユーロ圏は、自動車燃料が27.7%減、非食品(自動車燃料除く)が17.0%減、食料・飲料・たばこが5.5%減。国別では、フランスが20.0%減、スペインが19.4%減、ドイツが5.3%減。一方、フィンランドは0.3%増、スウェーデンは横ばいだった。
英自動車工業会(SMMT)が4日発表した5月の新車販売台数は前年同月比89%減と、4月の97%減に続いて大幅な落ち込みとなった。ロックダウンが自動車ディーラーを直撃した。5月の販売台数は2万0247台と、同月としては1952年以来の低水準だった。1─5月は前年同期比51.4%減少した。
ドイツ自動車工業会(VDA)が4日発表した乗用車統計によると、5月の生産台数は前年同月比66%減の15万1500台となった。落ち込み幅は4月の97%から縮小したものの、打撃は引き続き甚大である。この結果、1-5月累計の生産台数は前年同期比44%減の118万2200台となり、1975年並みの低水準に低下した。輸出も振るわず、5月は67%減の10万5100台、累計でも43%減の90万4300台と低迷。また、5月は国内で販売店が営業を再開したが、国内の販売台数(新車登録台数)は50%減の16万8100台にとどまり、新車需要は回復していない。今年の累計では35%減の99万0300台。また、今後の業況を左右する受注台数を見ると、5月は国内向けが46%、輸出向けが32%それぞれ落ち込み、早期の回復は見込めない状況にある。
【主要株式指数トレード戦略】
FTSE、DAX、ハンセン指数、NIFTY、ボベスパ指数、ロシア株の戦略は下記を参考にしてほしい。様々な株式指数にも分散してトレードすると、他の銘柄の収益がポートフォリオ全体を助けてくれるだろう。世界の株式市場全体のトレンドを確認するために利用していただければ幸いである。資金的に余裕があれば、トレード対象に入れておくとよいだろう。
<主要株式市場の短期トレード戦略>
FTSE:ロング
DAX:ロング
ユーロストックス:ロング
上海株価指数:ロング
ハンセン指数:
H株:ロング
NIFTY:ロング
ボベスパ指数:ロング
ロシア株:ロング
【日本株式・債券市場の市況解説・分析】
日経平均株価:22695.74(+81.98)<+0.36%>
TOPIX:1603.82(+4.74)<+0.3%>
マザーズ指数:990.74(-12.57)<-1.25%>
日経VI:27.76(+0.38)<+1.39%>
東証リート指数:1703.06(-31.89)<-1.84%>
日本2年債利回り:-0.172%(-0.01)
日本10年債利回り:0.026%(+0.017)
日本株は4日続伸。経済活動の再開による景気回復への期待感から買い戻しが広がった。ただし、最近の急速な株価上昇への警戒感も強く、上値は重かった。出来高15億1632万株。日本を含め世界の主要株価指数は3月に急落した後、大きな下落局面がないまま上がり続け、スピード違反と言える状態にある。そのため、この日は取引開始直後に大きく値を上げた後は、伸び悩んだ。前日から利益確定の売りが上昇を妨げたといえる。ただし、日経平均がいったんマイナス圏に沈んだ後はプラスに転じて終わるなど、底堅さも見られた。これまでの株価上昇に乗り損ねた投資家や、空売りで苦しんでいる投資家が買い戻したものと思われる。とはいえ、過熱感を冷ますには下げ足りないといえる。そのため、当面は利益確定売りと買い戻しや押し目買いが交錯し、不安定な相場状況になりやすいとみられている。
内閣府は4日、新型コロナウイルス感染拡大に対する一連の政府の経済財政政策の効果について、実質GDPを最大6.4%程度押し上げるとの試算を公表した。従来は4.4%程度の押し上げ効果を見込んでいた。雇用調整助成金の拡充などを盛り込んだ20年度第2次補正予算案分を加え上方修正した。実際に支出が見込まれるものに限定して経済を下支えする効果を試算しており、新たに積み増す予備費の10兆円は含んでいない。一方、民間エコノミストは、2次補正分も含めて押し上げ効果は2%台にとどまるとの見方が出ている。内閣府の見通しは、これまでの景気見通しでもわかるように、政府の意向が強いとみられる。
【日本株のトレード戦略】
日経平均先物は夜間取引で小動きだった。昨日の寄り付きでは23000円の節目に到達しそうだったが、わずかに届かなかった。さすがに23000円は高いと感じている投資家も多いのだろう。また、買い手にとっても、利益確定を行うのにきりのよい水準だったといえる。完全な窓埋めにはなっていないが、ここからは上値での売りと下値での買い戻しが交錯しそうである。その意味では、レンジ相場に入る可能性もあるだろう。そのような見方も少なくないようである。市場のコンセンサスが常に正しいわけではないが、市場がそのように考えていることは念頭に置いておきたい。一方、海外勢が5月最終週は現物株を売り越していたのにはやや驚いた。もっとも、先物は引き続き買い戻している。想定通りである。
コロナ危機の中、23000円を超えれば「なぜコロナ前の水準に戻るのか」という素朴な疑問もあるだろう。しかし、いまの相場はそのように考えた市場参加者の空売りが作った相場である。結果としてその見方が間違っていたわけであり、彼らがその誤りを認め、買い戻しを完了するまでは下げないだろう。しかし、それが終われば、いまの株価を維持できる材料はない。期待や希望だけで上げることはできない。いずれ実態悪、実勢悪に目を向けざるを得ない時が来るだろう。それを二番底という軽い言葉で表現するつもりはない。そこは淡々と市場を見ていくだけである。
外資系大手の空売りの買い戻しと日経ダブルインバース(1357)の買い手の投げが終わらないと、この相場は終わらないのであれば、これらを見ておけばよい。両者とも徐々にポジション調整しているようだが、まだまだである。これが解消されない限り、相場は下げないだろうし、売りを仕掛ける必要もない。繰り返すように、いまはバリュエーションなどでいろいろ複雑な説明をしても仕方がない相場である。下がるまではついていくべきであり、上昇や下落の理由は後から考えればよい。それが、いまのような「踏み上げ相場」で利益を上げるコツである。
一つ注意しておきたいのは、マザーズ指数であろう。いつ息切れしてもおかしくはない。975ポイントあたりを割り込んで引けるようであれば、これまで続いた上昇基調もいったんお休みになるだろう。急落するかはわからないが、少なくともそのような水準になった場合には、機械的に利益を確定すべきであろう。それが市場で生き残るうえで重要なポイントである
繰り返しだが、相場は苦しい立場の投資家のポジションの逆方向に行く。したがって、現在の市場は空売り筋の逆方向、つまり上昇することになる。彼らが「この相場はおかしい」と言い続け、空売りを積み上げる以上、上げ続けるだろう。それが相場である。もう一つ重要な点がある。それは、乗り遅れた投資家の行動である。ここまで上げても、いまだに参加できずに指をくわえてみている投資家が少なくない。そして、最後の最後に乗り遅れたバスに飛び乗ってくるだろう。上り坂を走るバスにようやく追いつき、飛び乗った瞬間にそこはピークであり、その後バスは坂を転がり落ちるように急坂を下っていくことになる。
このような「最後の買い手」が入ってきたときもまた相場のピークになる。日経レバレッジETF(1570)の残高をよく見ておくと、それらの投資家行動が見えてくるだろう。また、信用評価損率が15%台にまで低下してきた。これも投資家が回復してきていることを示唆している。これが30%を超えると株価は底打ちし、10%台になればピークである。買い手が多い個人投資家の損失が少なくなれば、そこが株価のピークになる。このまま株価が上昇し、信用評価損率10%台に入った時には、株式の売り時になるだろう。
短期トレード戦略では、日経平均株価、TOPIX、マザーズ指数にロングの指示が出ている。手仕舞いが必要な下げが来るまでは、いまの上昇についていくとのスタンスは変わらない。下げに転じ、手仕舞いすべき水準になるまでは、ポジションを維持してついていくべきであろう。現時点での日経平均株価の手仕舞いの水準は21850円割れである。かなり下の水準だが、それだけ相場が強いということである。いつ急落が来てもおかしくないのだろうが、それをあらかじめ予測することは不可能である。したがって、そのような動きが出るまでは、ロングポジションを維持してついていくのが賢明である。このスタンスが収益を拡大させるのである。
長期ポートフォリオ戦略の考え方は変わらない。長期ベースの積み増しは、いまの水準では実施しない。大きく下げたときだけ買い増す方針である。すでに保有している長期ポジションは利が乗っているため、そのまま保有しておけばよいだろう。次の押し目買いのターゲットは16800円、15600円、14400円、13200円、12000円である。さらに10800円、9600円といった形で買い下がれるように、資金を分割して準備しておきたい。ここまでの下げは想定しづらいが、相場は何があるかわからない。常に資産全体の3割は現金で残しながら、長期ベースの買いに備えたいところである。
株式投資で大底を買うことはできないため、長期投資では徐々に買い下がるために資金を十分に分割して行うことを優先するようにしたい。ETFなど現物で投資すれば、下げても耐えることができる。安値で買い下がることができれば、最終的には株式投資で資産を増やすことができるだろう。
<テクニカル指標>
騰落レシオ:25日平均145%/6日平均131%(超過熱状態が継続)
PER:20.79倍/EPS:1091円(参考値)
PBR:1.10倍/BPS:20632円(BPSはやや回復)
空売り比率:38.4%(上昇)
新高値銘柄数:79/新安値銘柄数:2(強気のパターンは維持だが、高値更新数は減少)
日経VI:27.76(小幅上昇、下がらない)
ドル建て日経平均:208.10ドル(小幅下落、節目の200ドル乗せ)
NT倍率:14.15倍(日経平均はTOPIXに対して超割高)
信用倍率(5月29日時点):2.30倍(2.46倍から低下、売り残金額増/買い残金額減)
信用評価損率(5月29日時点):15.51%(前回17.70%からさらに改善傾向)
投投資主体別売買動向(5月29日時点)
海外投資家:216億7600万円の売り越し
個人投資家:3315億9800万円の買い越し(現物3059億9200万円の買い越し、信用256億0600万円の買い越し)
投資信託:548億0500円の買い越し
信託銀行:184億8500円の買い越し
<日本株の短期トレード戦略>
日経平均株価:ロング
TOPIX:ロング
マザーズ指数:ロング
日経VI:
東証リート指数:ロング
日経レバレッジ(1570):ロング
日経ダブルインバース(1357):
TOPIXレバレッジ(1367):ロング
TOPIXダブルインバース(1368):
マザーズETF(2516):ロング
日経VI(2035):
VIX短先物(1552):
リートETF(1343):ロング
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