江守哲氏 米国株は安値から大きく切り返し
配信日:2020/06/16 08:22
〔GLOBAL EQUITY & BOND MARKET〕
【米国株式・債券市場の市況解説・分析】
ダウ平均:25763.16(+157.62)<+0.62%>
S&P500:3066.59(+25.28)<+0.83%>
ナスダック総合指数:9726.023(+137.21)<+1.43%>
ナスダック100:9776.891(+113.12)<+1.17%>
FANG指数:4040.94(+71.71)<+1.81%>
ラッセル2000:25763.16(+157.62)<+0.62%>
VIX:34.4(-1.69)<-4.68%>
SOX:1931.01(+27.16)<+1.43%>
米国株は上昇。FRBの社債購入プログラムに関する発表を受け、新型コロナウイルスの感染第2波への懸念で落ち込んでいた投資家心理が改善した。FRBは新型コロナウイルス感染拡大への対応の一環として、セカンダリーマーケット・コーポレート・クレジット・ファシリティー(SMCCF)を通じた社債の買い入れを16日に開始すると発表。SMCCFの条件を満たす全ての米企業発行の社債を網羅するインデックスに基づき買い入れを実施する。これを受け、主要3指数は午後の取引で上昇に転じた。S&P500金融株指数が最も大きく上昇し、S&P銀行株指数は1.6%高だった。またFRBはこの日、中小企業向けの「メインストリート融資制度(MSLP)」利用の受付を開始したことも明らかにした。
NY連銀が15日発表した6月のNY州製造業景況指数はマイナス0.2となり、前月のマイナス48.5から大幅に改善。6カ月先の見通しも56.5と、前月の29.1から大幅に改善した。NY州では、新型コロナウイルスの感染拡大で停滞していた経済活動を再開する動きが広がっており、6カ月先の見通しが大幅に改善した。雇用が大きく上昇し、設備投資もプラスに転じた。NY連銀は、「企業は先行きにより楽観的になっている」と評価している。6月は、業況が「改善した」と回答した割合が36.1%と前月から倍増。「悪化した」は36.3%と大幅に減少した。
新規受注がマイナス0.6(前月マイナス42.4)、出荷が3.3(同マイナス39.0)、在庫はマイナス0.6(同マイナス3.4)といずれも前月から上昇した。雇用関連では、雇用の現状がマイナス3.5(同マイナス6.1)、週平均の労働時間がマイナス12.0(同マイナス21.6)、支払価格が16.9(同4.1)。6カ月先の見通しは、新規受注が52.9(同35.0)、出荷が53.1(同33.3)、設備投資が3.1(同マイナス8.1)、雇用が19.0(同10.4)だった。
米2年債利回り:0.193%(+0.002)
米5年債利回り:0.342%(+0.0163)
米10年債利回り:0.72%(+0.0209)
米30年債利回り:1.462%(+0.0151)
米2-10年債利回りスプレッド:-0.527%(-0.0189)
米10年債先物:139.109(±0)<±0%>
米ハイイールド債:83.24(+0.8)<+0.97%>
米国債は利回りが上昇。株式市場が序盤の下落から持ち直したことや、FRBが社債買い入れを拡大すると発表したことで市場心理が改善した。FRBは15日、新型コロナウイルス危機に対応する緊急措置の一つである社債買い入れプログラム「セカンダリーマーケット・コーポレート・クレジット・ファシリティー(SMCCF)」を通じ、流通市場での社債買い入れを開始すると発表。条件を満たす全ての米企業発行の社債を網羅するインデックスに基づき買い入れを実施する方針。これにより、FRBが引き続き経済成長のためにバランスシートを拡大する意向であることが示された。
10年債利回りは、新型コロナ感染第2波への懸念を受けた株安で序盤は低下したが、その後は上昇に転じた。ただし、米雇用統計発表を受け今月5日に付けた11週ぶりの水準からは低下している。2年債と10年債の利回りスプレッドは拡大した。FRBは先週のFOMCで、異例の経済下支えが数年続くとの見解を示した。16・17日にはパウエルFRB議長が議会証言を行うが、同様の考えを示すとみられている。
ダラス連銀のカプラン総裁は15日、「米経済は第2四半期に歴史的な規模で縮小し、失業率は年末まで高止まりする」との見方を示した。カプラン総裁は、「第2四半期のGDPは年率換算で35─40%減少する」と予想。ただし、「経済は下半期には回復し始める」とし、個人と企業の双方が新型コロナウイルス感染拡大の抑制に努めれば、経済は一段と速く回復するとの見方を示した。失業率については、「すでにピークを付け、夏にかけて低下すると予想される」としながらも、「年末時点でも8%近辺と高止まりする恐れがある」と指摘。そのうえで、「インフレ率は一部食品価格の上昇にもかかわらず、向こう数年間は低迷する」との見方を示した。
また、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作=YCC)については、「FRB内で引き続き討議する必要がある」とする一方、「YCCについては個人的には一定の懸念を持っているが、排除はしない」として、FRBが金融市場を一段と歪めることがないよう留意する必要があるとした。
【米国株のトレード戦略】
米国株は大幅安から持ち直した。FRBの社債買い入れが材料視されたようだが、いずれにしてもまだまだボラティリティの高い相場であるといえる。この日の動きを見る限り、株価の上昇は結局のところ、FRB頼みであるということが明確になったといえる。まさに「FEDプット」の面目躍如である。このような、人為的な株価操作が今後どのような影響を与えるかは不明ではあるが、日銀の政策の結果を見れば、少なくとも下値を支える効果はありそうである。米国株と日本株の大きな違いは、米国の株式市場には世界のマネーがいの一番に入ってくるということである。それも大きな規模で入ってくる。その結果、株価は高値で維持されやすいといえる。この点では、FRBの政策は聞きやすいといえるだろう。
さて、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、トランプ大統領が看板に掲げてきた「高成長」「低失業率」「株高」が総崩れになりつつある。最近のトランプ大統領の発言を聞いていると、弱気な言葉も聞かれる。再選への意欲を失ったかのようである。また、健康・体調問題もささやかれている。これまでのような強気な姿勢が弱まっている点には注意が必要であろう。また、近年の景気後退時は現職大統領が再選に失敗している。トランプ大統領は早期回復へ経済再開を急いでいるが、感染第2波のリスクも浮上しつつあり、拙速な対応はむしろ逆効果になる可能性もある。
トランプ大統領は、5月の失業率が13.3%と、戦後最悪の4月の14.7%から改善したことを受け、「史上最大の復活劇だ」と豪語し、経済再開の戦略を自画自賛した。しかし、最近は全米50州のうち半数近い州で新型コロナの感染者が再び増加し、一部で外出規制の緩和にブレーキがかかり始めているもようである。全米経済研究所は景気が2月に後退局面に入ったと認定したが、トランプ大統領は11月の大統領選を見据え、今年後半以降の「V字回復」に望みをつなごうとしている。新たな現金給付、大型減税、インフラ整備をぶち上げ、「来年はかつてない最高の年になる」と楽観的な見方を示している。
しかし、パウエルFRB議長は「雇用の本格回復は数年先」とするなど、先行きにかなり慎重である。トランプ大統領が追加策に繰り返し言及するのは、感染初期対応や黒人差別抗議デモへの強硬姿勢が招いた支持率の急降下に対する焦りである。第2次大戦後の大統領選で2期目を目指して失敗した現職は3人いるが、いずれも任期中に景気後退に陥っている。当然、トランプ大統領もこの事実を認識しているだろう。
ブッシュ氏(父)が湾岸戦争不況で1992年に敗北した。第2次石油危機の最中だった1980年にはカーター氏が再選を逃した。米ギャラップ社の調査で両氏の支持率は選挙前に30%台と低迷。トランプ大統領も最新で39%と「危険水域」にある。ただし、トランプ大統領に挑む民主党のバイデン前副大統領も現職を圧倒するほどの勢いはないのが実情である。この点では、両者の戦いは現時点では互角といえるだろう。とはいえ、米中関係の悪化など、国外の問題も山積である。すでに繰り返すように、2020年は世界の枠組みの大きな転換点になる。どちらが大統領になっても、中国の覇権国へ移行の大きな流れを止めることはできないだろう。
投資家行動に関してだが、米経済が新型コロナウイルス危機による急激な落ち込みから浮上し始める中で、ファンドマネージャーの一部は、直近の株式相場上昇で出遅れていたバリュー株への投資に興味を持ち始めているという。バリュー株への投資では、PERが低い銘柄に着目するのが一般的だが、米国で10年以上続いて今年終わりを迎えたような強気相場では出遅れやすい傾向にある。こうした傾向は最近も改めて確認されている。ここ1カ月の株高の中でS&P500の成長株指数は5%上昇したのに対し、S&P500バリュー株指数は4.5%の上昇にとどまっている。わずかな差のように見えるが、ファンドマネージャーから見れば小さくない。
さて、「終末博士」として有名なニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授は、米国の現状について、「FRBのバランスシートは拡大しており、いずれインフレにつながる」との見方を示している。そのうえで、「「グローバル化は金融危機後すでに峠を越え、パンデミックがそのトレンドを強化した。私たちは国家主義への回帰、サプライチェーンの分解、米中貿易摩擦を目の当たりにしている」との見解を示している。ルービニ教授は、コロナ危機前からインフレ傾向を予想してきたが、コロナ危機によりその懸念を深めたように見える。
ただし、インフレを予想する一方で、金利上昇は予想していないようである。金利上昇となれば、莫大な債務を抱える政府・企業が大きな痛手を受けることになるため、低金利が維持されると予想している。またルービニ教授は、米経済の歪な構造を心配しているようである。コロナ危機対策にしても、政府が大企業に手厚い一方、中小企業は厳しい状況に置かれている。富裕層が富を独占し、アメリカ人の40%が非常時のために400ドルの現金も持っていないとしている。このような状況もあり、デモが盛んになっているとみている。最近のデモの本質は、警官による黒人への虐待だけではなく、人種差別だけでない社会の分断が存在するとしている。
ルービニ教授は、自宅のあるロアーマンハッタンでのデモ参加者の4分の3は白人であるとしている。そして、その多くが都市部のプロレタリアートとしている。特に、従来の労働者階級に代わって、新たな先進サービス経済の下層階級に属しているひとたちが主流だという。正規のフルタイムでない労働者は3か月過ぎると失業保険を受け取れなくなることもあり、これらの根本的な構造問題が背景にあるとしている。
一方、このような社会構造の分断をトランプ大統領はむしろうまく利用してきたとしている。実際にそうであろう。しかし、最近の報道を見る限り、その戦略はあまりうまくいっていないといえる。非常時にしては、大統領の支持率は一向に高まっていない。新型コロナの対応に失敗したことも大きいだろう。一方で、ルービニ教授は民主党に対しても厳しい目を向けている。そのうえで、バイデン氏がワシントンを思うままに動かすには、トランプ氏を大差で破らなければならないとしている。
ただし、ルービニ教授は、トランプ氏を大統領にした白人労働者階級の支持があっても、トランプ氏がかろうじて2期目を務めるか、トランプ氏が僅差で敗れ、その結果を受け入れないかの二択になるとしている。とはいえ、トランプ氏が再選されれば、米国はあと4年間、不安定な年月を過ごすことになるとしている。また、トランプ氏が僅差で敗北した場合には、トランプ氏は中国・ロシア・黒人・移民のせいにし、より混乱を招くとしている。その結果、支持者に武装を呼び掛け、通りをたくさんの白人差別主義者が走り回る可能性があると指摘する。恐ろしい光景である。
過去にも、2000年の大統領選でブッシュ(子)対ゴアの対決は最後までもつれ、フロリダ州で再集計が行われる事態となった。ゴア陣営は行政や司法に再集計を求めたが、最後は連邦最高裁判決を受け入れる結果となった。しかし、トランプ大統領はこのようなやり方を受け入れるだろうか。おそらくそうではないだろう。これから米国の内政は大統領選に向けて、ますます混乱を極めることになる。株式市場もこの点を嫌気して、不安定にならざるを得ないだろう。
短期トレード戦略だが、ポジションはVIXのロングのみである。現状では米主要株価指数への投資のタイミングではない。次の動きを待つのが賢明である。収益機会のあるときだけ市場に参加することが重要である。なんでも闇雲に売り買いすればよいというものではない。短期的にトレードする際には、相場の勢いを見極めることが肝要である。この勢いが感じられるときにだけ参加する。レンジ内で細かく取引する方法もあるが、最後は逆方向に動いて、それまでの収益の大半を失いことになる。コストをかけた割に実入りが少ないという結果になる。これはあまり賢明なやり方ではない。
短期トレード戦略の基本はやはり「トレンドフォロー」である。この方法が依然としてCTAなどで採用されているのが、この方法であれば、市場で生き残ることができるからである。株価の上昇局面で売り上がると、今回のような大幅な戻り相場では耐えきれなくなり、損失を拡大させることになる。それは避けたいところであり、トレンドフォローで対処すれば間違いなく避けることができるのである。上がる相場を買い、下げる相場では売る。結局は、「Trade based on What the Market is Doing」のスタンスが重要であるということである。
トランプ政権が不安定になり、株安になれば、それを利用して売っていけばよい。逆にFRBが市場を支え、その結果、株価が上昇するのであれば、買っていけばよい。政策を批判し、逆をやることは最もやってはいけないことである。批判したくなる気持ちもわからないではないが、重要なことは収益を上げることである。ここは心を鬼にして、対処するしかない局面である。政策への批判は評論家に任せ、市場解説はアナリストに任せておけばよい。政策を批判したり、相場変動の理由を考える前に、行動するのが投資家のやるべきことである。
長期的なポートフォリオ戦略については、考え方は短期トレード戦略とは大きく異なる。これは資産としての運用戦略であり、特に大きく動かすことは考えていない。下げれば押し目を買うだけである。2月高値から30%、35%、40%、45%、50%と買い下がれるように資金を残しておく。さらに、リスクを考慮して、55%以下から最大75%の下げまで考慮しておけば、リーマン・ショック級の下げになっても買い下がることができる。資金分散・時間分散を行えば、大きな下落を利用して押し目を買い、将来に収益化することができる。常に現金を残し、下げ相場で買うことができるようにしておくことが、長期投資で資産を増やす重要なポイントである。
長期投資の場合には、ETFなどを利用して「現物」で買うことが肝要である。現物であれば、下げても耐えられる。また、現物は先物やCFDなどの取引の担保に使用することはしてはいけない。リスクを二重に取ることになるため、リスクが大きくなりすぎるためである。最終的には株価は戻すだろう。しかし、世界の成長力が低下している。株式投資も以前のようなリターンは見込みにくくなっている。この20年の米国株のリターンは過去と比較すると半分以下に低下している。成長率が低下し、金利も低いのだから仕方がないだろう。ここは甘んじて受け入れるしかないのである。
<米国株式市場の短期トレード戦略>
ダウ平均:
S&P500:
ナスダック総合指数:
ナスダック100:
FANG指数:
ラッセル2000:
VIX:ロング
SOX:
【日本株式・債券市場の市況解説・分析】
日経平均株価:21530.95(-774.53)<-3.47%>
TOPIX:1530.78(-39.9)<-2.54%>
マザーズ指数:958.28(-40.96)<-4.1%>
日経VI:39.59(+6.17)<+18.46%>
東証リート指数:1635.73(-80.95)<-4.72%>
日本2年債利回り:-0.173%(-0.02)
日本5年債利回り:-0.117%(-0.019)
日本10年債利回り:0.003%(-0.017)
日本株は続落。海外で新型コロナウイルスの感染が再拡大するとの懸念が強まり、幅広い銘柄に売りが出た。日経平均株価は3日続落し、TOPIXは5日続落。銘柄の87%が値下がりし、値上がりは12%。出来高は13億6392万株、売買代金は2兆3535億円。15日の東京株式市場は、新型コロナウイルスの感染再拡大への懸念から軟調となり、特に後場に売りが加速した。取引時間中に為替相場が円高に進み、米国株価指数先物も時間外取引で大きく軟化したことが嫌気された。不動産株や空運株など、コロナ感染拡大が逆風となる業種の株に売りが集まった。日経平均株価は後場にかけて一段安となり、前日終値からの下げ幅は700円を超えた。
市場では日経平均が大きく下げた理由について、中国で感染が広がり緊迫している」「感染が拡大している米国の株価下落を先に織り込んだ」など複数の見方が聞かれた。また、「相場が急速に上昇した分、悪材料に敏感に反応している」との指摘も聞かれた。
一方、マザーズ指数、ジャスダック平均はともに3日続落。新型コロナウイルスの感染拡大不安が再び強まる中で、個人投資家から手仕舞い売りが出た。朝方はプラスで始まったものの、徐々に売り物が増え、両指数ともにマイナスになった。米国に続いて中国でも新型コロナの感染者が増えていることが明らかになり、投資意欲旺盛だった個人の間にも不安が広がり、後場は売りが売りを呼ぶ展開になった。
【日本株のトレード戦略】
日経平均は売り込まれて21000円台半ばまで下げた。一方、米国株が安値から持ち直したことで、シカゴ市場では21900円台にまで戻している。所詮は米国株頼みであり、その米国株もFRB頼みである。このような相場がいつまで続くのかは誰にもわからないが、少なくとも株価が下げると「FEDプット」が繰り出され、株価を支えてくれるようである。市場もそれを見越して下値では買いが入りやすいだろう。もっとも、今回のように、高値つかみとなる投資家が増えると、やはり株価の上値は重くなる。水準感よりも、やはりポジション需給で相場が動いていることがわかる。FRBが助けてくれるとは言え、調子に乗って高値を買うこと、今回のような下げに見舞われることになる。
買い戻し相場もかなり買い戻しが進んだこともあり、徐々に「いまの水準を買って、将来収益を上げることができるか」を冷静に考えるフェーズに移行していくだろう。中銀が支えてくれることを前提とした投資マネー相場がいつまでつづくか、である。これが続かなければ、結局は経済や企業業績に回帰せざるを得ない。そのようなステージはまだ先になるのかもしれないが、株価には先見性がある。株価の変動要因を理解することは重要ではあるが、それ以上に重要なことは、株価の方向の逆のことをしないことである。つまり、上げる相場では買い、下げる相場では売る、ということである。理由は後から考えるくらいでちょうどよいだろう。それが今の相場では重要な対処方法になる。
この日は急落したが、実際にショートにするにはまだ水準は高い。つまり、ショートしても収益を獲得できる確率が低いといえる。おそらく、日経平均株価で20500円以下にならないと、ショートにはしないだろう。それくらいの値幅が出ないと、下げ相場に移行すると判断できないというわけである。そうなると、上昇するのかといわれれば、それもまた難しいだろう。水準的には22500円以上ではロングを検討したいが、その際に市場に上昇勢いがなければ、上げるだけではロングにはできない。つまり、いまの相場は高値までの上昇をひとまずやり切ったということになる。こうなったあとは、すぐにポジションを持つのではなく、いったん市場が落ち着き、その後にどちらに動き出すのかを見極めることが重要である。
短期トレード戦略では、日経平均株価、TOPI、マザーズ指数は見送りとなる。いまの水準では何もしないのが賢明である。市場は逃げていかない。収益機会が来るまで、じっくりと待てばよい。私が行っている「グローバルマクロ戦略」では、投資対象市場は100銘柄ほどあるが(個別株投資はしていない、すべてインデックスあるいは債券先物、通貨ペア、コモディティである)、いまはほとんどポジションがない。つまり、いまはひと相場終わったということである。ほぼすべてを11日に利益確定をして、いまは様子見である。世界の市場がいまそのような状態にあることを理解したうえで、日本株も見ていくとわかりやすいのである。
次の対処がロングになるのか、あるいはショートになるのかは、市場次第である。余計な先入観や相場観を持たずに、いまは中立的に見ておくことが肝要である。一方、日経VIはロングの指示になっている。したがって、ボラティリティの急変に備えて2035をロングしている。今日は少し落ち着きそうだが、当面はボラティリティの高い相場展開が続くだろう。株式ポジションを持たなくても、ボラティリティのポジションを持つことができる。また、VIXに連動する1552もロングにしている。市場が荒れる可能性があることを、市場は示している。備えだけはしておきたい局面である。
長期ポートフォリオ戦略の考え方は変わらない。長期ベースの積み増しはいまの水準では実施しない。買うにはまだまだ高すぎる。今後も大きく下げたときだけ、長期ベースの買いを増やす方針である。すでに保有している長期ポジションは利が乗っているため、そのまま保有しておく。次の押し目買いのターゲットはかなり下である。その水準に近づいたところで検討することにしたい。日経平均株価でいえば、少なくとも6000円以上は下の水準である。相場は何があるかわからないため、常に資産全体の3割は現金で残しながら、安値での買いに備えておきたい。
<テクニカル指標>
騰落レシオ:25日平均103%/6日平均47%(短期的には売られすぎ)
PER:18.13倍/EPS:1187円(参考値)
PBR:1.05倍/BPS:20505円
空売り比率:44.5%(小幅低下)
新高値銘柄数:36/新安値銘柄数:3(強気のパターンは維持だが、高値更新数はやや頭打ち)
日経VI:39.59(大幅上昇)
ドル建て日経平均:200.92ドル(低下、辛うじて節目の200ドルを維持)
NT倍率:14.07倍(上昇傾向継続、日経平均はTOPIXに対して超割高)
信用倍率(6月5日時点):2.13倍(2.30倍から低下、売り残金額増/買い残金額減)
信用評価損率(6月5日時点):14.65%(前回15.51%からさらに小幅に改善)
投投資主体別売買動向(6月5日時点)
海外投資家:2613億3300万円の買い越し
個人投資家:2980億3500万円の売り越し(現物2818億7700万円の売り越し、信用161億5800万円の売り越し)
投資信託:1547億4200円の売り越し
信託銀行:24億3300円の売り越し
<日本株の短期トレード戦略>
日経平均株価:
TOPIX:
マザーズ指数:
日経VI:ロング
東証リート指数:
日経レバレッジ(1570):
日経ダブルインバース(1357):
TOPIXレバレッジ(1367):
TOPIXダブルインバース(1368):
マザーズETF(2516):
日経VI(2035):新規買い
VIX短先物(1552):ロング
リートETF(1343):
よろしいですか?