【無料全文公開】イベントトレード最前線|第3回 イベントトレードで稼ぐ重要ポイント[川田裕介]
政策金利発表や、各種経済指標の発表を狙い撃ちするイベントトレード手法で、億を超える収益を上げる川田さん。今回は、イベントトレードを行うにあたって重要なポイントを解説してもらいます。0.01秒、1pipの差を争う超短期トレードの最前線とは、果たして?
※この記事は、FX攻略.com2017年11月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
川田裕介さんプロフィール
1975年生まれ、香川県高松市出身。専業トレーダーの経験を経て、現在はプロップファーム(トレーディング専門会社)で働くプロトレーダー。約3年間で2億円を超える利益を出している。トレードスタイルはイベント時の急変動を狙った超短期トレードがメイン。他にはファンダ分析を利用したスイングトレードも得意としている。資産運用サロンいにしえのFXスクール特別講師も兼任。
エントリー時には1pipの差を争う
この連載において、イベントトレードは最も高確率で、かつ優位性の高いトレードを行えるものだと紹介してきました。しかし、実際にイベントトレードを行うにあたって、注意すべきことがあります。それは、イベント時にエントリーが成立してもスリッページが発生して不利な価格で約定してしまったり、あるいはエントリー自体ができなかったりするケースが起こり得るということです。
平時とは異なり、イベント時は計画通りの価格でトレードができるわけではありません。これはFX会社によって傾向が異なりますので、一社ずつ地道に調べながらイベントトレードに最適なFX会社を選ぶようにしています。
私の場合、例えば中央銀行の政策金利発表時は2000万通貨でトレードしています。分かりやすくドル円で説明すると、1銭(1pip)が20万円に相当します。そんなレベルのトレードとなりますので、1pipでも有利にエントリーできるFX会社を探すことが重要となることをご理解いただけると思います。
1波トレードはスピードが命
さて、前回はイベントトレードを3波に分類する考え方を解説しました。そのうちの1波トレード、すなわちイベント発表直後のトレードは、手動では難しいと思います。というのも、予想値と発表値の乖離を確認してから注文ボタンをクリックするまでに、少なくても1秒以上は要するからです。
では、私はどのように1波トレードをしているのかというと、システムツールを使用しています。あらかじめ設定したルールに従いコンピュータが高速で自動的に取引を行ってくれるツールを自社で開発しているのです。これはアルゴリズムトレードと呼ばれる種類に入ると思います。数値・音声・言葉に自動で反応して取引を行うシステムのことで、現在の市場ではさまざまなアルゴリズムトレードが行われています。
私は自社で開発したシステムツールを使用していますが、インターネットで「FX 指標ツール」と検索すると、イベントトレードで使うことを目的としたシステム売買用のツールが販売されていますので、興味を持った方はぜひ探してみてください。1波トレードはスピードが命なので、手動ではなくツールを使うことをお勧めします。
より速さを追求しVPSを利用する
私は、より発注スピードを速めるためにVPS(バーチャル・プライベート・サーバー)を使用しています。なぜそうしているかを説明すると、日本のFX会社でもサーバーを海外に置いている場合があり、例えばサーバーがNYの場合、日本から注文をすると約定までにかかる時間が0.08秒といわれているからです。
当然ながら、FX会社のサーバーの近くで取引した方が、約定までのスピードが速くなります。つまりNYのVPSを借りて、そこから発注すると、日本から発注する場合よりも、約定までのスピードが速くなるのです。イベントトレードの1波を狙う場合、0.01秒を争います。0.08秒も約定に時間がかかるのは、致命的だといえるのです。
このように私は、0.01秒でも時間を短縮するためにはどうしたら良いのかを考えながら、最適な取引環境を常に作るように心がけています。
イベントトレード上達のコツとは
①ファンダメンタルズ分析の基本を学ぼう
ファンダメンタルズ分析って、情報量が多そうで何から始めたら良いか分からない…と感じる人も多いと思います。しかしイベントトレードに関しては、中央銀行と経済指標発表についての知識があれば問題ありません。
ただし、各中央銀行の特徴や金融政策の種類、経済指標発表の種類などのファンダメンタルズの基礎知識は覚えておく必要があります。難しいと感じるかもしれませんが、私の場合は半年ぐらいで慣れました。
②イベントの事前予想をしっかりと把握する
事前予想を調べるには、一つの情報サイトだけに頼ってはいけません。なぜかというと、例えば中央銀行による政策発表の事前予想が、A社は0.25%の利上げ、B社は0.5%の利上げ、というように明らかに異なる場合があるからです。そのため、できるだけ複数のサイトを見て、正確な事前予想を把握することが重要です。
③過去の値動きを検証して備える
イベントトレードは、過去の値動きが非常に参考になります。例えば米国雇用統計において、「乖離が5万〜10万人であれば、1波は○pips、2波は○pips程度反応する」「乖離が10万人以上であれば、1波は○pips、2波は○pips程度反応する」という、数値ごとの値動きの基本パターンが頭に入っていれば、発表されてから慌てることもなくなります。
イベントトレードは瞬間の判断が求められるので、こういった事前準備を怠らないように心がけています。私は、過去のイベント時の値動きはほぼ全て録画し、検証しています。ちなみに、今は「Forex Peace Army」や「リメンバーFX」といった、過去の値動きが見られる便利なサイトもありますので、利用してみてはいかがでしょうか。
よろしいですか?