【無料全文公開】イベントトレード最前線|第2回 どんなイベントやタイミングを狙うか?[川田裕介]
前回から始まった、プロップトレーダー川田裕介さんによる連載。為替イベントで億を稼ぐ実績、その一部を公開してくれ、反響を呼んでいます。今回はどんなイベントやタイミングを狙うのかについてまとめていただきました。
※この記事は、FX攻略.com2017年10月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
川田裕介さんプロフィール
1975年生まれ、香川県高松市出身。専業トレーダーの経験を経て、現在はプロップファーム(トレーディング専門会社)で働くプロトレーダー。約3年間で2億円を超える利益を出している。トレードスタイルはイベント時の急変動を狙った超短期トレードがメイン。他にはファンダ分析を利用したスイングトレードも得意としている。資産運用サロンいにしえのFXスクール特別講師も兼任。
イベント時の波を三つに切り分ける
前回はプロップトレーダーである私が、イベントを狙いトレードの成果を上げていることをお伝えしました。今回はより実践的な部分、つまりどんなタイミングを狙うのかということについてまとめたいと思います。
おさらいすると、イベントトレードとは中央銀行の政策金利発表や、経済指標発表時に大きく価格が変動するタイミングを狙って利益を上げるトレード手法でしたね。そして、このイベント発表を起点に、チャートの値動きを1波、2波、3波に分けて考えるのがポイントとなります。以下、段階別に見てみましょう。
まず、指標発表があった瞬間の値動きを狙うのが1波トレードです。これが最も高確率で勝てます。イベントには必ず事前予想があり、その予想に対する乖離が大きければ大きいほど、1波は大きな値動きとなるのが特徴です。
事前予想に対して、どれぐらいの乖離があればどのような値動きになるのかは、過去の同じイベントの値動きを分析していれば大方は推測することができます。要するに、過去のイベントの検証、事前予想をきっちりと見極めることがポイントになるといえます。そして一番重要なのは0.01秒でも早くエントリーをすることです。こちらの件については、次号で解説します。
次に2波トレードは、1波トレードで仕掛けた人たちの利食いや損切りなどの反対売買が入る、反発が起きやすいポイントを狙います。こちらも1波トレードと同じように、過去を分析していれば、大方は推測することが可能。1波ほどではないですが、その分析により確率の高いトレードを行うことができます。
最後の3波トレードは、イベント後の大きな値動きが落ち着いてからのトレードになります。イベント前のトレンドや、イベントの影響などが入り混じった値動きになるので、1波、2波トレードとは違い、裁量色が強くなります。そのため、経験や感覚が非常に重要になるといえます。
1波トレードは手動では難しい
1波トレードは、発表された瞬間に事前予想との乖離があれば、どちらの方向にいくのかがほぼ決まっています。ですから、発表後0.01秒でも早くエントリーすることが最も重要です。ただしこれは、手動では難しいです。なぜかというと、発表された瞬間に大きく値が動くからです。
例えば、米雇用統計が予想値10万人に対して、発表値は20万人だったとします。乖離は10万人です。この予想値と発表値の乖離を確認し、そこから注文ボタンをクリックするまでに、どれだけ早くても1秒以上はかかります。そして1秒以上経過すると、もう既に上昇を開始している状態です。上昇途中にエントリーしてもなかなか勝てません。
ですから私の場合、1波トレードは手動ではなく、システムツールを使用しています。だからこそイベントトレードで高収益を得られるのだともいえます。
利益の大半を占める中央銀行のサプライズ
イベントトレードでの一番の稼ぎ頭は、中央銀行のサプライズです(ここでは中央銀行の役割を果たしている連邦銀行や国立銀行なども便宜上、中央銀行とします)。
各国の中央銀行の政策金利発表は、利上げ、利下げ、据え置きのうち、今回はこの発表だろうという事前予想がありますよね。そのうち年に数回、どこかの国の中央銀行で、この事前予想とは違う発表があります。これを中央銀行のサプライズと呼んでいます。年に数回しかありませんが、このサプライズを取引の対象にするだけでも、十分な金額を儲けることができると思います。
「最も簡単に勝てて、最もリスクの小さい取引方法は何ですか?」と質問されたら、私は迷わず「中央銀行のサプライズ」と答えます。それくらい自信を持っていますので、私の場合、中央銀行のイベント時には最大ロットをかけて取引しています。
米国、欧州、英国、カナダ、豪州、ニュージーランドといった主要通貨国の政策発表に加えて、トルコ、スウェーデン、ノルウェー、メキシコ、ハンガリーといったFXではマイナーに属する国の政策発表も狙っています。ちなみに日本の日銀政策決定は、発表時間が事前に何時何分と決まっていないので狙えません。
補足すると、狙う通貨ペアとしては、対象の通貨とドルを組み合わせて取引します。例えば、英中銀(BOE)の政策発表時には、ポンドドルを主に取引するといった具合です。
参考までに、ここ最近のサプライズ事例としては、「2016年7月14日英国」「同年11月24日トルコ」「同年12月20日トルコ」「2017年1月24日トルコ」などがありました。
この他の稼げる経済指標
最後に、政策金利のサプライズとは別に、稼げる経済指標についてもまとめておきます。私は主要国の経済指標発表を狙った取引もしており、具体的には米国、英国、カナダ、豪州、ニュージーランドの指標発表を狙っています。
これらについては、どの指標で大きな乖離が出るのか事前予測がつかないため、それぞれのスケジュールを確認しながら、常に狙い続けています。主に狙っている指標発表は以下の通りです。
〈米国〉
非農業部門雇用統計(平均時給)、ADP雇用統計、GDP、ISM製造業景況指数、ISM非製造業総合景況指数、消費者物価指数、小売売上高
〈英国〉
製造業PMI、サービス業PMI、建設業PMI、GDP、消費者物価指数、失業率、小売売上高、鉱工業生産指数
〈加、豪、NZ〉
雇用者数、小売売上高、GDP、消費者物価指数
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