【無料全文公開】私のトレードする通貨ペア。その年の「テーマ(ネタ)」をベースにやっています[香澄ケイト]
香澄ケイトさんプロフィール
為替ジャーナリスト。米国カリフォルニア州の大学に留学後、バヌアツ、バーレーン、ロンドンでの仕事を経て、帰国。外資系証券会社で日本株/アジア株の金融法人向け営業、英国系投資顧問会社でオルタナティブ投資の金融法人向けマーケティングに従事する。退職後、株の世界から一転してFXに関する活動を開始し、為替情報サイト、マネー雑誌などの執筆、ラジオ番組への出演およびセミナー等の講師を務める。著書に『あなたのお金を10倍にする外貨投資術』(フォレスト出版)、『今すぐ始めるFX5人の投資家が明かす勝利のルール』(すばる舎)がある。
※この記事は、FX攻略.com2017年9月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
今年は米ドル円をメインで取引
FXには通貨ペアがたくさんあります。外貨預金や外貨MMFへ米ドル円を中心に投資していた私のような人間には「通貨の組み合わせがこ〜んなにあるの!」と驚愕するばかりでした。
どの通貨ペアをトレードするか、それはそのときに動きのある(例えばトレンドが出ている)通貨ペアというのが一般的なんでしょうけど、私は専業トレーダーではなく、相場にそれほど時間を費やせないので、多くの通貨ペアを見ることができないのです。たいていの人は、ドル円やユーロドルからスタートして、経験を積むうちに他の通貨ペアもトレードするようになるのが自然なようです。
私の初心者時代の痛い失敗は、あるセミナーに参加したときにドルスイスフランのことを聞いて興味を持ち、この通貨ペアのことを全く知らないのに始めてしまったこと。もちろん大きな損失になりました…。少なくともチャートを、最低1か月は継続して見なければ駄目ですね。
さまざまな通貨ペアを失敗も数多くしながらトレードし続けて、今現在はどの通貨ペアを主体にトレードしているかというと、それはドル円です。まず、その年のテーマとなりそうなネタを探します。そしてそれに関連する通貨ペアを中心にトレードします。
米利上げとトランプを超えるネタはない!
今年は、「米利上げネタ」と「トランプネタ」に注目。2017年上半期を過ぎつつあっても他にこれらを超えるテーマとなるものが見当たりません。利上げはまだプラスネタ、トランプはまだマイナスネタ。お互いに綱引きし合うであろうと考えているので、一方向にドル高が進むとは思っていなくて、この両方のネタでアップダウンを繰り返し、売り場も買い場も提供してくれそうです。
米国は利上げを量的緩和第3弾(QE3)終了後の2015年12月に実施してから、2016年12月、2017年3月、そして6月14日に4度目となる利上げを行っています。以前と比べて、米国の利上げはマーケットのテーマとしての輝きは失せつつあるかもしれませんが(一番ドル高に寄与したのは、QEが終了していよいよ利上げをやりそう、とマーケットが予想していたとき)、とはいっても米国以外に他に経済が良くて利上げをできる国は今のところなさそうです。
米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの政策金利の見通し(ドットチャート)は、4人が年内据え置き、8人が年内あと1回利上げ、4人が年内あと2回利上げを想定しています。2016年12月以来、3か月ペースでコンスタントに利上げしていて、まだ利上げが行われる可能性は高いのではないでしょうか。現在の米国の政策金利は1.25%。あと1回利上げをすれば、かつての高金利通貨の代表格であった豪ドルと同等の金利になります。
雇用統計の重要度
今後の利上げを占う上で、やはり米雇用統計の動向は外せません。米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策を決定する上で、最も重視する指標といわれるのが雇用統計です。なぜかというと、FRBの場合、他の中央銀行と違って「物価の安定」に加えて「雇用の最大化」を金融政策の使命として掲げているからなのです。「雇用の最大化」ですから、マーケットとしてはどの経済指標に最も注目するかといえば、雇用情勢を表す「雇用統計」になります。
私は、月に一度ある米雇用統計の発表後を狙ったトレードをします。ただ、雇用統計はブレが大きくて有名(?)な経済指標ですから、もしポジションを保有していたら、まずそのポジションを事前に整理することが先決です。そうしたら、数字が悪かろうが良かろうがマーケットの動く方でポジションが取れますから。
よくあるのが、発表直前にバーンと上げ、これは良い数字が出るだろうなんて勘違いすると、その直後にバーンと下がるパターンです。私は、最初のころはこれに引っかかっていました。発表後に相場が落ち着いてから参入した方が絶対に得策です。
「予測できない」こと自体がリスク要因に
トランプ大統領に関していえば、「予測不能な言動をする大統領」なので、予測できないことがリスクなような気がします。彼の掲げる政策、例えば巨額のインフラ投資や大規模減税などが実行されれば米国の経済成長に寄与する可能性はあるものの、トランプ政権の政策実現能力に対する期待は剥落しつつあります。直近の支持率は、歴代大統領の中でも最低の水準です。米国民の不信感が反映されているのでしょうね。
しかし、何だかんだいっても米ドルは世界の基軸通貨です。全ての通貨は米ドルと対比して動いているといっても過言ではありません。世界の通貨の動きは米国経済の影響を受けるので、米国経済を見る上では経済指標から目が離せないのです。
上半期を過ぎつつありますが、今年後半はドル高になるのかドル安になるのか。それはこの二つのネタ次第になるでしょう。
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