5/15 江守哲『リアルトレーディング・ストラテジー』株価・ドル円の目先の底値を探る
江守哲の「リアルトレーディング・ストラテジー」(月額メールマガジン商品)
より、5月15日配信分をPick Up してお届けします。
「日本一内容が濃くて長い」といわれる
江守氏のメールマガジンの”全文”のボリュームに驚いてください!
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(※前文のお知らせは割愛しています)
〔EQUITY MARKET〕
【米国株・欧米債券市場の市況解説・分析】
米国株はダウ平均が4日続落。低調な米国経済指標が嫌気された。ナスダック総合指数は小幅反発した。4月の米小売売上高が前月比0.4%増と、市場予想の0.6%増を下回ったことから売り優勢で始まった。また、前日に大手百貨店大手が低調な決算を発表したことなどから、米国経済のけん引役である個人消費の先行きに警戒感が広がったことで、売りが続いた。4月の米消費者物価指数(CPI)は前月比0.2%上昇と市場予想と同水準だったが、コア指数が0.1%上昇と、市場予想の0.2%上昇を下回ったことが、市場心理をやや冷やす
格好となった。市場では、CPIがやや弱く、FRBが利上げを進めていくには物足りないとの声も聞かれた。一方で原油価格が持ち直したことから、下げ幅を縮小する場面があったものの、米長期金利の低下を背景に金融株が下落したことが重石となり、最終的には弱い展開となった。また、トランプ大統領によるコミー連邦捜査局(FBI)長官の解任について、議会やメディアが政府への追及を強めており、政権運営に不透明感が漂っている。この問題が長期化すれば、市場が期待する税制改革が遅れることが想定され、市場が不安定化するリスクが
ある。このような政治リスクがすぐに解消すると期待するのは難しいが、上手く付き合っていくしかないだろう。株価は最終的には企業業績に帰結することを理解していれば、現状のトランプ政権の失政は許容範囲といえるだろう。トムソン・ロイターの調査によると、S&P500採用企業の17年第1四半期決算は前年同期比14.7%の増益となる見通し。エネルギーセクターを除いた増益率は10.5%の見込み。500社中454社が第1四半期決算を発表したが、利益が市場予想を上回った企業の割合は75.1%で、長期平均の64%、過去
4四半期の平均の71%のいずれも上回った。17年第2四半期の1株利益については、悪化もしくは市場見通しを下回ると予測している企業は59社、改善もしくは市場見通しを上回ると予測した企業は30社。S&P500企業の今後4四半期(17年第2四半期~18年第1四半期)の予想PERは17.7倍となっている。15日からの週には19社が四半期決算を発表する予定。
4月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.2%上昇、コア指数は0.1%上昇だった。エネルギーが1.1%の上昇で、ガソリンは1.2%上昇、食料品は0.2%上昇だった。前年同月比では全体が2.2%上昇、コアは1.9%上昇した。まだインフレ圧力は高まっていないと考えてよいだろう。4月の小売売上高は前月比0.4%増加。前年同月比では4.5%増で、3月は当初発表の0.2%減少から0.1%増に上方改定された。決して悪い内容ではないと判断できる。米ミシガン大学発表の5月の消費者景況感指数(暫定値)は97.7で
、前月の97.0から上昇。市場予想の97.0も上回った。5月の現況指数は112.7で前月と同水準、消費者期待感指数は88.1で、前月の87.0を上回った。ハードデータとソフトデータの差は縮小している印象である。ハードデータは決して悪くなく、ソフトデータも高水準を維持している。一時的に緩んだ米国景気は第2四半期に再び拡大する可能性は十分にある。
米国債は上昇。4月のCPIが市場予想を下回ったことから、年内の米利上げがあと2回になるとの観測が後退したことで、10年債利回りは7BP低下の2.329%となり、約3週間ぶりの大幅な下げとなった。4月の米小売売上高も予想を下回る伸びにとどまったことが影響した。また、今週実施された総額620億ドルの四半期定例入札に対する需要が低調だったことも利回り低下につながったもよう。4月のCPIは前年同月比2.2%上昇で、前月の2.4%上昇から伸びが鈍化したものの、2%は上回っている。FOMCの投票権を持つシカ
ゴ地区連銀のエバンズ総裁は、「FRBが今年さらに2度を上回る利上げを行うなら非常に驚き」とし、インフレ見通しが不透明な場合、年内はあと1度の追加利上げで十分な可能性があるとの認識を示している。さらに、「今年終盤にバランスシートの段階的な縮小に着手し、3~4年かけて正常な水準へと戻すことができる」との認識を示している。市場における年内あと2度の利上げ確率は約46%と、経済指標発表前の54%から低下した。FOMCの投票権を持つフィラデルフィア連銀のハーカー総裁は、「年内あと2回の利上げが適切だ」と改
めて表明。そのうえで、「労働市場はほぼ完全雇用の状態で、失業率は年末までに4.2%まで低下する可能性がある」と予想した。就業者数の伸びについては、「今年は月平均20万人で、19年末までに約10万人に減速する」と見込んでいる。さらに「人口の伸びを考慮すれば、適切な雇用の増加幅は月7万~10万人だ」との認識を示した。
ユーロ圏債券市場では国債利回りが軒並み低下。世界成長見通しやECBの金融政策引き締めに向けた懸念が反映された。さらに、ムーディーズがアイルランドの信用格付けを引き上げるとの噂や株価が軟調だったことも支援材料だった。ECBが6月の理事会で超緩和的政策スタンスの調整に関するシグナルを発するとの見方が台頭している。しかし、現時点ではECB当局者の発言はこれらの見方をけん制する慎重な内容が目立っている。ECB理事会メンバーのレーン・アイルランド中銀総裁は、「ユーロ圏経済のリスクはまだ均衡化していない」と
し、ECBは政策スタンスを変更する前に、賃金上昇圧力が物価上昇につながっているという確証を見つける必要があるとの認識を示している。4月のユーロ圏鉱工業生産は0.1%減と、予想外の落ち込みを記録。また、米国CPIや小売売上高がさえない内容となったことも、債券買いを促したもよう。ユーロ圏10年債利回りは全般的に3~5BP低下、ドイツ10年債利回りは4BP低下の0.39%だった。一方、ドイツの4月のCPIは前年同月比2.0%上昇。前月の1.6%上昇から再び加速した。4月はエネルギーの物価上昇率が前月と
同水準の5.1%で、エネルギーを除いた場合には1.7%だった。
【米国株のトレード戦略】
ダウ平均、S&P500、ナスダック指数はロングを継続。ただし、好調な企業業績を織り込む動きにあり、徐々に上値が重くなっている。短期的な調整に入る可能性があるだろう。ただし、「SELL IN
MAY」となり、クラッシュするような状況ではないことは確かであろう。ポジションを軽くし、押し目を再度買いたいと考えるのであれば、いったん手仕舞いでもよいだろうが、基本的には長期的な戦略として考えており、現在ポジションは保有しながら押し目をさらに買い増すのが得策との考えは変わらない。株式リターンとの比較で考えると、債券利回りはまだ相当低く、さらに長短利回りスプレッドもまだマイナスである。さらに、米独債券利回りスプレッドもまだ懸念を示すような状況ではない。ただし、米2年債-10年債利回りスプレッドと
、米独10年債利回りスプレッドのふたつを見ながら、これらが長期的な米国株のピークを示すかを確認することが肝要である。ただし、ダウ輸送株指数と公共株指数のレシオが低迷しているのは気になる点ではある。その結果、ダウ平均は上がりにくくなっている。現在、このレシオは12.85だが、これが12.6を割り込んだ場合には注意が必要と考えている。一方で、5月の強気シナリオのレンジ下限が20655ドルであり、これを下回らなければ何も心配することはない。下げれば絶好の押し目買いのタイミングになろう。5月は過去66年
間で、上昇は34回、下落は32回となっており、常に下げているわけではない。ただし、5月の過去の平均リターンはマイナス0.02%であり、12カ月の中で9番目のパフォーマンスである。つまり、上昇確率はほぼ拮抗しているが、上値も重いということになる。また、6月は上昇30回、下落36回となっており、パフォーマンスもマイナス0.3%と2番目に悪い水準となっている。そのため、一定の警戒は必要だが、過度な懸念は必要ないだろう。トレンドが明確に変わるまでポジション維持でよい。繰り返しだが、米国株は上昇し始めると
17年間はそのトレンドが続く傾向がある。今回の上昇トレンド入りは2012年であり、ここから17年間上昇するとすれば、2029年まで続くことになる。目先の上下に振り回される必要は全くない。ダウ平均の年率騰落率は平均で8.75%であり、このペースで上昇すれば、2029年には58800ドルになる計算である。現在の2.8倍である。この考え方が米国株への投資では重要である。米国株は2029年までの超長期上昇トレンドの第2ステージに入ったとの認識であり、これが2019年半ばごろまで続くと考えている。米国株投
資で10年以上保有できれば、最低でも2倍のリターンは確保できるのが、過去の実績である。株式運用では米国を中心に行うのが賢明である。米国株を長期的に見ながら押し目を拾っていくのが株式投資の王道である。
【ダウ平均株価:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ19310ドル~23185ドル(17年末22870ドル)/弱気シナリオ16050ドル~20195ドル(17年末17850ドル)
【ダウ平均株価:5月の想定レンジ】
強気シナリオ20655ドル~21900ドル/弱気シナリオ18995ドル~20130ドル
【米国債トレード戦略】
10年債はショートを継続。金利の低下余地は乏しい。
【日本株の市況解説・分析】
日本株は反落した。日経平均は2万円を前に足踏みが続いており、目先は手仕舞い売りが先行しそうである。個人投資家はまだかなり慎重なようである。しかし、外国人投資家は好調な企業業績を背景に買い始めている。割安感があるところを買わないと高値買いにつながるため、個人投資家の行動には注目している。一方、テクニカル的な過熱感は否めない。すぐに高値を追うのは確かに難しい状況ではある。25日線からのかい離率は5%に達し、騰落レシオも25日平均は131%と、買われすぎの判断基準とされる120%を依然として超えている
。6日平均は163%、10日平均は168%、15日平均は195%と高水準ながらもピークからは徐々に低下しており、日柄調整が進みつつある。しばらくは我慢の時となりそうだが、業績を基準とした株価水準は割安であることは明白であろう。今回の上昇局面は企業業績の好調さが株価水準を正当化している。それでもまだ安い。日経平均採用銘柄のEPSは1316円に大幅上昇した。現時点でPERは15.11倍だが、引き続き割高感は全くない。17倍まで買われてもよいとすれば、理論的には22371円まで上げてもよいことになる。
16倍としても21055円まで上昇余地があるとの計算になる。このように考えると、自然体で見ても日経平均は20500円から最大で22000円近くまで上昇しても全くおかしくない。17年3月期決算がほぼ出そろったが、東証1部上場の1117社(金融を除く)の連結純利益は前期比21.1%の大幅増となったもようである。過去最高を記録した企業は34.6%に当たる387社に上っている。資源価格の上昇などで業績を伸ばした商社や国内事業が好調な不動産・建設などがけん引した格好である。一方、18年3月期はトランプ政権
の経済政策が不透明なことからドル円の想定レートを105~110円と、現在よりもやや円高に設定した企業が多い。連結純利益は2.8%増と伸びが鈍化する見通しだが、業績の改善傾向は続く見通しである。
【日経平均先物のトレード戦略】
ロングを継続。テクニカル的には過熱感が強く、短期的には調整するだろう。短期トレードを志向している場合には、いったん手仕舞いあるいは一部を利益確定する水準である。下げが気になるのであれば長期投資に対するヘッジを入れてもよいだろう。しかし、その判断は簡単ではないだろう。個人的には超少量のヘッジのみを入れるつもりである。株価に割高感がないことから、長期投資家からすれば割高ではない個別銘柄は維持すべきである。とにかく、バリュエーション面での割高感がないことが重要なポイントである。業績面から株価の割高感を
無視してテクニカル面での過熱感を重視して利益確定を行うと、本来株価に内包されている価値を放棄することになりかねない。まして、空売りは価値を理解していないことから、損失を被る可能性もある。ドル円は上値が重くなっているが、現時点でも110円を大きく上回っており、このまま推移すれば、多くの企業にとっては18年3月期の増益要因になる。110円以上が長期間続くとは考えていないが、少なくとも105円を割り込むような円高にならない限り、増益は確保される見通しである。15年12月高値の20012円を超えると、P
ER16倍超の15年6月高値の20952円水準を目指す動きが想定されるが、いまは目先の過熱感の解消が必要であろう。繰り返しだが、株価は最終的には企業業績に合わせて適正水準を探そうとする。そのため、テクニカル指標は往々にして使えないことになる。最終的には、株価は企業業績の方向性と水準というファンダメンタルズに帰結する。バリュエーション面で日本株の割高感がないことを外国人投資家が気づき始めたのか、5週連続で日本株を買い越しているが、彼らはいったん買い始めるとしばらく買い続け、さらに保有を当面継続する
傾向が強い。すぐに売りが出てこないとすれば、空売り筋が最終的に厳しい局面に追いやられ、将来的には先物主導で指数が押し上げられる場面も見られるだろう。一方、個別銘柄ベースで割高に上昇した場合には、いったん手仕舞いし、割安に放置されている銘柄を探すのが賢明であろう。割安な株式を買っておけば、多少の下げにも耐えられる。日経平均は弱気シナリオのレンジ上限である19545円を超えたことから、ひとまず弱気シナリオから脱却している。これで強気シナリオのレンジ下限である20075円を超えると、強気トレンドに入る
。この水準を明確に超えてくれば、いよいよ本気で強気スタンスに傾けることになる。いずれにしても、主要企業は18年3月期の業績に関してかなりコンサバティブな見方をしている。将来の株高の可能性を見込んだ仕込み時を見失わないことが肝要であろう。5月に押し目が来るとすれば、逃さないことが肝要であろう。
【日経平均株価:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ18335円~23400円(17年末23020円)/弱気シナリオ14970円~19915円(17年末15620円)
【日経平均株価:5月の想定レンジ】
強気シナリオ20075円~21775円/弱気シナリオ18005円~19545円
〔CURRENCY MARKET〕
ドル円は下落。さえない米国経済指標や米長期金利の低下を受けて円買い・ドル売りが優勢となり、113円台前半に下落した。4月の米CPIは前月比0.2%上昇と市場予想と一致したが、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は0.1%上昇と市場予想を下回った。また前年同月比ではコア指数が1.9%上昇と、FRBが掲げるインフレ目標の2%を割り込み、15年10月以来の低水準となったこともドル売りを促したもよう。さらに4月の小売売上高も前月比0.4%増にとどまり、市場予想の0.6%増を下回る弱い内容だった
こともドル売りにつながった。これにより、市場における利上げペースの加速観測は若干後退し、米長期金利が低下したことでドル売り圧力が高まっている。またドルは対ユーロでも下落し、ユーロドルは1.09ドル台を回復している。市場におけるFRBが年内あと2回の利上げを実施する確率は約46%と、この日の経済指標発表前の54%から低下している。目先のドルのピークを付けた可能性が高まっており、当面は値幅・日柄調整が優先されることになりそうである。
イタリア南部のバーリで開かれていたG7財務相・中央銀行総裁会議は共同声明を採択して閉幕した。声明には経済のグローバル化に伴う格差是正に各国が一致して取り組む方針を盛り込んだ。声明は「過度な経済格差は成長可能性を抑制する」とし、財政・構造政策を駆使して対応する必要性を強調した。G7声明は、「世界経済が成長する一方で、低中所得者に影響が大きい格差の拡大に直面してきた」と指摘し、「経済成長の果実が広く共有され、成長率を引き上げることに取り組む」として、格差是正に向けた政策課題を示した付属文書をまとめ、
各国に実行を促した。さらに、金融システムなどへのサイバー攻撃対策を強化することや、テロ資金の封じ込めに協調して取り組む方針で一致した。一方、為替政策に関しては「通貨の競争的な切り下げを回避する」という従来の合意内容を再確認した。さらに懸案の貿易については「経済に対する貿易の貢献の強化に取り組む」と表明し、貿易の拡大で世界経済の成長を後押しするG7の基本姿勢を確認した。声明の内容は今月下旬に開くG7首脳会議(サミット)の議論に反映される。米国と日欧で意見が割れている「保護主義に対抗する」という表現
は、3月にドイツで行われたG20財務相・中央銀行総裁会議と同様に声明には盛り込まれず、扱いは首脳間の議論に委ねられた。ムニューシン米財務長官は、トランプ政権が目指す通商政策に関して、「公平で自由な貿易でなければ、相手国に対して保護主義的な措置を講じる権利がある」と明言した。ムニューシン財務長官は、成長と雇用創出を掲げたトランプ政権の経済政策について、「G7参加国の理解はかなり進んだ」と強調し、米国と中国が貿易不均衡の是正を目指した取り組みの成果として、米国産牛肉などの対中輸出が実現することに触れ
、トランプ政権が目指す2国間通商交渉が「正しい方向にある」との認識を示している。この点については、各国の認識がまったく一致しておらず、日本を含め今後も2国間交渉への移行を推し進める米国と厳しい調整・交渉が行われることになろう。一方で、ドル安制政策を模索するトランプ政権は、希望するドル円の為替レートを明示しているわけではない。110円を中心に±5円程度であれば許容範囲とみられるが、今後のレートの水準とトランプ政権側の発言を分析しながら、その水準を模索することになりそうである。もっとも、政権自体が混
乱していることから、想定レートを決めるところまで政権側が進んでいない可能性もあるだろう。
【通貨トレード戦略】
ドル円はロングを解消し、短期のショートを構築。115円到達に失敗し、買われすぎ感も強いため、これまでの見方と同様にいったんショートが賢明と判断する。112.50円に早速サポートがある。過熱感が解消されれば、この水準でも買戻しを検討すべきであろう。112.50円を割り込むと112円、さらに111.70円、111.20円、110.75円などがサポートの候補になろう。まずは、112.50円まで下げるかどうかを確認することを優先したい。日米の株価動向と米長期金利の動向にも引き続き注目しておきたい。米長期
金利の伸び悩みはドル売りにつながりやすい地合いにある。5月の弱気シナリオのレンジ上限である116円は遠い印象である。
ユーロ円はショートを継続。ただし、ユーロドルが上昇しており、下げ幅は限定的となる可能性がある。最大で121.50円前の下落を想定しているが、今回はそこまで下げない可能性が高そうである。123.90円を回復すれば、その時点で早めにポジションは解消して次の動きを確認する用意したい。
ユーロドルは新規でロング。1.0870ドルを維持して反発しており、中期的な上昇基調が維持されていることが確認された。1.0960ドルを再び明確に超え、これが定着すれば、大きな上昇相場につながる可能性がある。
ポンド円は新規でショート。円高基調が短期的に強まっており、その影響で下げる可能性がある。143.90円が目先のサポートであり、ここまでをまずは見込んでおきたい。下げると1.26ドルまで下落することになりそうである。
ポンドドルは見送り。1.2880ドルから1.2900ドルのきわめて狭いレンジにあり、これをどちらに抜けるかで方向性が出てくるだろう。トレンド的には下向きになりそうだが、今は先入観を持たずに見ておきたい。
豪ドル円はロングを維持。上値がすでに重くなっているが、83.30円を割り込むまではポジションを維持したい。上昇した場合でも、84.65円あたりですぐに重くなりそうであり、ここではいったん手仕舞いが賢明であろう。
豪ドル/米ドルはショートを解消。ただし、一段高となれば、そこで新規のロングを検討する。0.7370ドル維持が条件であり、上昇に転じた場合には0.7460ドル前後までの上げが想定される。
南アランド/円はロングを解消する。8.47円にあるレジスタンス前後でももみ合っており、やや上値が重くなっている。新しいレンジに入る可能性が高まりつつあるものの、超えた段階で再度ロングにすることを検討したい。
【ドル円:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ115.25円~129.85円(17年末128.35円)/弱気シナリオ103.60円~118.75円(17年末104.70円)
【ドル円:5月の想定レンジ】
強気シナリオ117.80円~123.55円/弱気シナリオ111.35円~116.00円
【ユーロ円:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ119.80円~134.85円(17年末133.70円)/弱気シナリオ107.95円~124.75円(17年末109.65円)
【ユーロ円:5月の想定レンジ】
強気シナリオ120.65円~126.50円/弱気シナリオ115.25円~121.35円
【ユーロドル:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ1.0270ドル~1.1700ドル(17年末1.1550ドル)/弱気シナリオ0.9480ドル~1.0695ドル(17年末0.9730ドル)
【ユーロドル:5月の想定レンジ】
強気シナリオ1.0505ドル~1.0995ドル/弱気シナリオ0.9840ドル~1.0330ドル
【豪ドル円:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ83.20円~96.10円(17年末94.80円)/弱気シナリオ74.45円~87.00円(17年末77.70円)
【豪ドル円:5月の想定レンジ】
強気シナリオ86.65円~91.90円/弱気シナリオ80.75円~86.30円
〔COMMODITY MARKET〕「ドル安や株安で金は反発、原油も底堅い展開」
【貴金属市場の市況解説・分析】
金相場は上昇。トランプ大統領がコミー前連邦捜査局(FBI)長官を解雇したことが投資家の懸念につながっているもようであり、金需要が高まっているとの指摘がある。また、米国株安・ドル安・米国債利回りの低下も金相場には追い風となっている。1220ドルのサポートを維持して反発しており、すでに目先の底値を付けたとの判断になろう。コミー氏解任や英国の総選挙などの政治的不透明感もあり、さらに6月の米利上げ確率の低下も金相場を支えていると考えられる。世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラスト
の保有高は、5日の853.08トンから12日には851.89トンへわずかに減少。投資家の金購入意欲は低下傾向とはいえ、大幅に減少しているわけではなく、金を保有しておきたいと考えている投資家が少なくないことがうかがえる。COMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは、5月9日時点で15万0006枚の買い越しとなり、前週から3万9628枚減少した。買いポジションが3万9917枚もの大幅な減少となった一方、売りポジションが289枚減少した。金相場の下落により、投機筋による買いポジションの大幅な縮小の
動きがみられたが、これも一巡した感がある。目先は1250ドル前後を目指す展開にあると判断できるだろう。
【貴金属のトレード戦略】
金、銀、プラチナ、パラジウムはロングを継続。金は目先の調整はほぼ終わったといえる。売るべき投資家はすでに売り切っており、投げが相場を押し下げるようなことはないとみている。目先は1250ドルまでの上昇を見込んでいるが、長期的な方針が変わることはない。押し目をしっかりと拾っておきたい。買い遅れていれば、今の水準でも十分に割りやすいであろう。繰り返すように、金は手放さないほうがよい。予測するよりも備えておくことが、金を保有する基本的な考え方である。保有コストを下げるためには上値を買わずに、下げたところ
を買いながら、上昇を待つのが賢明である。これは長期的な投資を行ううえで最も重要なポイントである。ちなみに、現在の米実質金利から見た金価格の適正水準は1500ドルを超えている。現在の金価格は相当割安であることも理解しておく必要がある。貴金属は長期的に上昇するとみており、保有しながら株式の購入あるいは株価の上昇に併せて買い増すのが賢明である。原油とともに投資対象全体の中心に据え、押し目は確実に拾うようにしたい。とにかく、金は少なくとも2019年中頃までは売ってはいけないと考えている。
【金価格:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ1117.65ドル~1373.40ドル(17年末1329.50ドル)/弱気シナリオ1036.65ドル~1187.20ドル(17年末1059.00ドル)
【金価格:5月の想定レンジ】
強気シナリオ1185ドル~1295ドル/弱気シナリオ1070ドル~1130ドル
【非鉄市場の市況解説・分析】
非鉄相場は反発基調。下値を固めて再び上値を試す展開にある。アルミは1860ドルからの反発基調が継続し、1915ドル前後まで戻すかに注目している。銅も5500ドルを維持して反発しており、5625ドルを超えると5775ドルを目指すことになろう。ニッケルも9000ドル割れからの戻りを試す展開にあり、9335ドルを超えると1万ドルを目指すことになるだろう。亜鉛は2550ドルまで下げており、鉛も2125ドルまで下落したが、ここで下げ止まれば問題ない水準である。市場では、中国での金融引き締めに伴う経済指標の
減速が懸念されているが、秋の習近平体制の再構築に向けて、経済運営に取り組むと考えられ、大きな中国経済の動向は大きな問題にはならないのではないかと考えられる。15日には中国の鉱工業生産と小売売上高が発表されるが、市場の注目が集まることになりそうである。
【非鉄のトレード戦略】
アルミ、銅、ニッケル・亜鉛、鉛はロングを継続。中長期的に見れば、現在の水準は安すぎると考えている。この考えに変わりない。長期的に見れば、需給は着実・確実に改善され、これが価格上昇につながると考えられる。とにかく、長期的に見てくことが肝要である。現状はしっかりと買いたい水準である。長期トレンドも依然として崩れていない。安値を売る意味はないというのは、株式投資の考え方と同じである。繰り返すように、重要なのは長期的な視点であり、大きく下げたときに押し目買いを入れるのが鉄則である。下げたときにしっかりと
買い、保有コストを下げながら保有し続けることが肝要である。非鉄銘柄は長期的には2020年までの有望銘柄と考えている。基本は押し目買いである。銅は年末にかけて7700ドルを目指す動きになると考えている。ただし、値動きが大きいため、リスク管理をしっかりと行うようにしたい。非鉄銘柄は長期的な上昇基調が続いている。需給改善を背景に、いずれ大相場が到来する。少額でもよいので銅を中心に非鉄銘柄をぜひポートフォリオの中に入れることを検討したい。非鉄相場はいずれ大相場を迎えるだろう。
【銅価格:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ5266ドル~7704ドル(17年末7522ドル)/弱気シナリオ4520ドル~5812ドル(17年末4672ドル)
【銅価格:5月の想定レンジ】
強気シナリオ5880ドル~6615ドル/弱気シナリオ5145ドル~5605ドル
【エネルギー市場の市況解説・分析】
原油は小幅続伸。米国内の原油在庫の減少やOPEC加盟・非加盟国による協調減産の延長に対する支持拡大の報道を背景に、世界の供給過剰の改善への期待が高まった。OPEC加盟国と非加盟国は25日に会合を開き、昨年11月に合意した協調減産を延長するかどうかを決定する。サウジアラビアは半年かそれ以上の延長で合意することを目指している。一方、米国内の石油掘削リグ数は前週比9基増の712基となり、15年4月以来の高水準となった。増加は17週連続。掘削リグの稼働数の回復局面は12カ月に達しており、米国の原油生産は
来年には過去最高に増加するとみられている。
稼働数は、前年同週の318基の2倍以上の水準に達しているが、増加ペースは減速している。増加ペースは過去4週間では3月以来の低水準に落ち込んでいる。米国内の産油量は昨年半ばから10%増加の日量930万バレル超と、ロシアやサウジの水準に近づいている。サウジはこの状況を受けて、世界の石油在庫量を過去5年平均にまで減少させるとして、減産拡大を目論んでいるが、他の生産国も巻き込む必要があり、簡単にはいかないだろう。しかし、ここで減産の手を緩めると、需給バランスの改善は進まないことになり、原油相場は確実に下
落するだろう。まさに5月末が正念場となる。米国ではガソリン需要期に入る時期と重なるが、過去の原油相場動向を見ると、軟調な年でもこの時期から秋口は最低でも横ばい、通常は上昇している。そのため、OPECが減産延長を決めることが出来れば、少なくとも夏場に原油相場が現状以下の水準になる可能性は大きく後退するだろう。
【エネルギーのトレード戦略】
WTI原油・ブレント原油はロングを継続。NYMEXガソリン・NYMEXヒーティングオイルもロングを維持。WTI原油はやや上値が重くなりそうである。テクニカル的に買われすぎ感が高まっており、48.50ドル超えは困難になる可能性がある。それでも、下値リスクはないと考えている。前回の底値の48.50ドルを超えないと、50ドル超えは見えてこないのだが、調整後の5月末には方向性がはっきりするだろう。繰り返すように、50ドル割れではほとんどの石油生産会社は生産継続ができない。このことを考慮すれば、下値余地が
ないことは明白であろう。5月の弱気シナリオのレンジ下限である50.30ドルをいつまでも割り込んでいるような異常な安値の状況はいずれ解消され、5月末から始まるガソリン需要期入りに向けて水準を切り上げていくとの考えに変わりない。年間を通して弱かった年も、5月以降は最低でも横ばいから上昇するのが通例である。したがって、秋口までの相場展開を想定する場合には、現状より少なくとも上の水準にあると考えるのが妥当である。中期的には需給面の改善が見えており、原油相場の上昇はきわめて確度が高い。現時点では現行水準以
下での押し目買いが有効との考えは変わらない。需給バランスの改善を背景に年末に向けて75ドルを試すとの見方も不変である。とにかく粘ってロングを維持しながら、反発を待つこととしたい。原油も長期的な視点でポートフォリオに入れておくべき対象である。
【WTI原油価格:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ50ドル~74ドル(17年末70ドル)/弱気シナリオ35ドル~58ドル(17年末38ドル)
【WTI原油価格:5月の想定レンジ】
強気シナリオ57.00ドル~66.05ドル/弱気シナリオ50.30ドル~57.35ドル
◇グローバルマクロ戦略について
本メルマガでご紹介する投資戦略は、ヘッジファンド業界では「グローバルマクロ戦略」のカテゴリーに属します。
これは、世界のヘッジファンドのもっとも得意とする手法で、いわゆるヘッジファンド運用の「王道」です。
この戦略では、あらゆる市場に目を配り、投資機会を探しながら収益の獲得を狙います。
市場価格の上昇・下落に関係なく、価格の変動が見込まれれば、それにベットする(賭ける)戦略です。
ボラティリティが高いほど収益が見込まれますので、投資機会があれば果敢に攻めます。
世界情勢が不透明な中、為替や株式、金利、コモディティなど主要市場の価格変動は一段と大きくなっています。
そのため、それぞれの市場の予測がきわめて困難になっています。
このような市場環境では、マクロ的な見地からより幅広い市場で運用を行う「グローバルマクロ戦略」が有利です。
もちろん、個々の市場でも十分に戦えるように、具体的な取引タイミングも示していく所存です。
「ヘッジファンド戦略の王道」である「グローバルマクロ戦略」で、共に市場で戦いましょう。
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