【無料全文公開】現役為替ディーラーが何でも答えます!みんなのQ&A[トレイダーズ証券みんなのFX 井口喜雄](FX攻略.com2017年5月号)
疑問をぶつける相手はいないし、調べてもよく分からない…。そんな悩みがあったら、この企画にお任せください。トレイダーズ証券の井口さんが、あなたの質問を解決します!
井口喜雄さんプロフィール
いぐち・よしお。トレイダーズ証券市場部ディーリング課。認定テクニカルアナリスト。1998年より金融機関に従事し、主に貴金属や石油製品のコモディティ市場を中心としたカバーディーリング業務に携わる。2009年からみんなのFXに在籍し、「米ドル/円」や欧州主要通貨を主戦場にディーリング業務を行う。ファンダメンタルズから見た為替分析に精通している他、テクニカルを利用した短期予測にも定評がある。最近では、みんなのFXの無料オンラインセミナーにも登場し分かりやすい講義内容が好評を得ている。さらにTwitterでは、プロディーラーが相場についてリアルな意見を発信しているので要チェック。
Twitter:https://twitter.com/yoshi_igu
※この記事は、FX攻略.com2017年5月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
Q3. プロのトレーダーはどのようなスペックのPCやモニターを、何台使っていますか?(埼玉県/40代/男性)
A.6〜10枚前後のモニターでマーケットを監視しています
ディーラー1人がPC3〜5台を使用
詳しいスペックについては社外秘になるのでお答えすることはできませんが、購入時期のハイスペックPCを利用しています。モニターについてはPC1台につき、大体2枚のモニターを使うことが多いです。モニター数は6枚から多い人で10枚前後利用してマーケットを監視していますので、ディーラー1人に対してPC3〜5台を使用していることになります。
それぞれのモニターでどのような情報を見ているかはディーラーによって異なりますが、私の場合は、「ニュースヘッドライン」「経済指標」「主要株価」「債券利回り」「商品価格」を常に表示しており、情報関連で2、3枚のモニターを使います。
短期ディール用のチャートを確認
チャートに関しても瞬間的な判断を求められることが多く、決断するまでに数秒の猶予しかない場面にも遭遇するため、短期ディールに適したチャートを見ています。具体的にいいますと5分〜15分足のチャートをベースとして使いながら、60分足や日足でトレンドを確認するのが基本です。
大体5〜6通貨ペアを表示していますので、チャートだけでも2、3枚のモニターを使用しています。また、カウンターパーティー先である銀行のプライスを10行ほど同時に見ているので、ここでもやはり2枚のモニターを使っております。その他、弊社が提供しているFXの取引画面もモニタリングしているので8〜10枚は見ているでしょうか。
プロだけが知る情報はない
個人投資家の場合、PCスペックやモニターについては、取引スタイルによって変わってきます。スキャルピングなど短期売買に特化するのであれば、複数のチャートを見たいのでモニター数が多い方が良いです。ただ、スイングや中長期で取引されている方は、市場の細かい値動きをそこまで追う必要はないので、モニター1枚で十分に戦うことができます。
また、中長期の予想をする上でプロだけが知っている情報や、プロだけが使っているトレード方法があるのではないか、と聞かれることがありますが、そういったものはありません。昔に比べると今では情報力に大きな差はなく、全ての市場参加者が同じ土俵に上がっているのです。
だとすれば情報の精査、分析、判断をいかに的確に行うことができるかが勝敗の鍵となるので、PCスペックやモニターの数はあまり関係がないともいえるでしょう。
Q4. トレードはPCで行うイメージが強いですが、スマホやタブレットだけでも勝てますか?(岐阜県/50代/男性)
A. 勝てます。ただし相性はスイング◎、スキャル×です
PCとほぼ変わらない取引が可能
はい。スマートフォンやタブレットだけでも十分勝つことができると思います。現在FXで使用されているツールは、スマートフォン・タブレットユーザーが50%以上となっており、既にPCからの取引者数を超えているのです。スマートフォン取引が増加傾向にあるため、各FX業者はスマートフォン開発に力を入れており、機能は日々進化しております。取引されている方はご存じかと思いますが、今ではほぼPCと変わらない取引ができるといっても過言ではありません。
ただし、先程の質問と重複してしまいますが、スキャルピングのような短期売買に活路を見い出そうと思っているトレーダーにはやはり厳しいかもしれません。スマートフォン最大のデメリットは画面が小さいことで、一度に得られる情報量が少ないことです。チャートが進化しているとはいえ、PCと比較してしまうと見劣りします。
また通信速度も、有線でつないでいるPCと比べると、やはり遅くなります。したがってチャートが命ともいえるスキャルピングなど短い間隔での取引は、細かい値動きを追う必要があるため、どうしても一画面しか見ることができないスマートフォンやタブレットでは苦戦を強いられます。
スイングならデメリットを克服
そこで、スマートフォントレーダーにお勧めなのは、スイングトレードなど数日から数か月といった長い期間の動きを予測するスタイルです。大きい時間軸(時間足から週足)のチャートを使い、ファンダメンタルズではマクロ経済を追っていくため、スピード勝負によるデメリットは克服できます。
マーケットは数か月サイクルでモメンタムが変わることが多く、大きなトレンドがつかみやすいというメリットもあります。自身のトレードスタイルがある程度確立されていれば、スマートフォンやPCといった道具はあまり関係なくなってきたのかもしれません。
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