外為オンライン・佐藤正和の実戦取引術|3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析【今月のテーマ|いよいよ米大統領選!基本トレンドの復習と年末年始に向けた戦略】
11月3日に投票が行われる米国大統領選挙。為替相場にとっても重大な転換点になります。そこで、今回は米国大統領選前の各通貨ペアの基本トレンドを復習して、大統領選に備えましょう。現状の為替市場は「ドル安、ユーロ高、豪ドル高。ドル円に関してはゆるやかな円高」が基本トレンド。そのトレンドが大統領選で加速・転換するかどうかを注視しましょう。
※この記事は、FX攻略.com2020年12月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
佐藤正和さんプロフィール
さとう・まさかず。邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。その後、年間取引高No.1を誇る外為オンライン・シニアアナリストに。通算20年以上、為替の世界に携わっている。ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」、ストックボイス「マーケットワイド・外国為替情報」に出演する他、Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
ドル円は現状「ゆるやかな円高」トレンド。大統領選後の三つのシナリオを意識する
11月3日の米国大統領選は民主党バイデン候補が有利といわれる中、トランプ大統領の巻き返しも期待され、いよいよ結果が判明します。接戦状態では「トランプ氏が敗北を認めず、米国が内乱状態になる」といった非常事態も考えられます。その場合は新型コロナウイルスに続く第2の「ブラックスワン」となり、急激なドル安円高や株価の大暴落も考えられます。
為替をはじめ、金融市場に多大な影響を与える米国大統領選前は保有ポジションを減らし、1週間程度、値動きを観察したうえでトレンドの出た方向に順張りで乗るのが賢明でしょう。
トランプ大統領再選なら前回の当選に続き、ご祝儀相場的な短期のドル高、株高が続く可能性があります。
バイデン氏選出の場合も、米中対立の緩和が期待され、ご祝儀相場的な株高、ドル高が起こるかもしれません。ただ、バイデン氏の最大の選出理由は「トランプ大統領でないこと」以外ありません。彼は法人税の増税なども打ち出していますし、金融市場に対しては熱狂なき当選になりそうです。バイデン氏が誰を財務長官に起用し、どんな金融政策を志向するかが判明するまでは、現状の膠着相場が続くのではないでしょうか?
選挙結果が拮抗してトランプ氏が敗北を認めない場合は、ドル全面安で、1ドル100円割れもありえるでしょう。その際、最も急騰しそうな通貨は、世界的な資金の置き場として二つある選択肢のうちの一つ、ユーロになりそうです。当然、金の価格も上昇するでしょう。
この三つのシナリオを前提に、実際の選挙結果とその後の為替や株価の反応を見て、トレンドの方向性を見定めることがとても大切です。
今回は大統領選の結果が判明していないので、為替相場に大きな影響を与える、もう一つのファクター、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策について考えてみましょう。
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