ドル円:先週の振り返りと今週の見通し【阪谷直人 実戦トレード】
「ドル円:8月14日からの週はどうだった?」
ドル円は先週、109.09で始まり109.17で引けた
行って来いの週でした。
その間は米朝関係の緊張緩和から上値110.94を付けた後、
7月FOMC議事要旨でディスインフレ懸念が強調された事で
利上げ観測が後退、
トランプ大統領は自身の2つの助言組織を解散した事で
トランプ政権の政策遂行への懸念が強まり
108.59まで下落しました。
14日は、
先週末引けの109.15からやや円高の109.09で始まり、
それが14日の安値でした。先週末金曜日11日に
下値の堅さを確認したので、
週明け14日は買いが先行しました。
株高や米長期金利の上昇を背景に
14日高値一時109.80まで値を上げ、
109.61で引けました。
東京時間に発表された本邦第2四半期GDPの
1次速報値は予想+2.5%を大きく上回る
+4.0%の伸びとなったものの、
市場の反応は限定的でした。
15日は、
前日引けの109.63で始まり、
この日も早々に15日安値の109.59を付けました。
東京時間の早朝に
「北朝鮮がグアムに向けての4発のミサイルを
発射する計画を中止」との報道が伝わり、
米朝関係の地政学リスクの後退を受けた
ドル買いが優勢になり、NY時間に入り、
米小売売上高が良好な結果となったことも
ドル買いを一段と誘い、
15日高値110.84まで上げ110.67で引けました。
16日は、
前日引けの110.66で始まり、NY時間に入りまで、
昨日のドル買いの地合いを引き継ぎ
ジリジリと16日高値110.94まで上昇。
ただ上値も4日高値の111.05が目先の上値目処として
意識されると買いも一服。
その後、トランプ米大統領が自身の諮問委員会である
「製造業評議会」と「戦略・政策フォーラム」の
解散を発表した事で、
米政権運営の先行き不透明感が高まった事、、
7月FOMC議事要旨でインフレへの懸念が
示された事から、ドルが一気に急落、
16日安値の110.02まで失速して
110.18で引けました。
17日は、
前日引けの110.18で始まり、
ユーロ安の影響で17日高値110.37まで
下値を切り上げるも、NY時間に入り、
「コーン米国家経済会議(NEC)委員長が
辞任する」との噂が伝わり
リスク・オフの動きが加速、
その後に辞任の噂は否定されたものの、
市場の動揺は払しょくできずに
17日安値109.44まで下落後、109.56で引けました。
スペイン・バルセロナでのテロ事件発生で
株安が進んだことも売り材料でした。
18日は、
前日引けの109.56で始まり、
前日以来の売りの流れが継続、NY時間に入り、
一時18日安値の108.59と4月19日以来の
安値を更新しました。
その後トランプ大統領の上級顧問・首席戦略官である
スティーブ・バノン氏の解任の噂が伝わると、
市場はバノン氏の解任は株価やドルにとって
プラスと見て、一転18日高値109.60まで
一気に買い戻されました。
しかし引けにかけてはNYダウが再度下げたため
ドル円も上値は限定的で引けは109.17でした。
「ドル円:8月21日からの週はどうなる?」
ポイント:注目は24~26日のジャクソンホールでの
イエレン議長の講演。
9月のFOMCでバランスシートの縮小開始時期を
決定し表明されると、市場は織り込んでいますが、
インフレへの懸念から追加利上げについては
見方が分かれているので、イエレン議長から
早期の米追加利上げを示唆する発言があればドル買い。
ただし、インフレ鈍化を理由に、
バランスシート正常化プログラム開始を、
10月のFOMC以降に先送りする可能性を
示唆した場合はドル売り。
一方、トランプ政権の政策運営に対する
不透明感と市場の懸念が強まっている中で、
先週末金曜日のバノン主席戦略官の解任で、
トランプ政権の混乱が鎮静化するか否かも不透明であり、
トランプ政権の経済政策遂行能力への
懐疑的な見方を払しょくするには至らないでしょうから
ドルの上値は足元の地合いでは限定的と見るべきでしょう。
特に注意すべきは、9月の3つのリスクです。
1.9月29日が期限の米連邦債務上限問題、
米国債がデフォルトの可能性
2.9月30日が期限の米2018年度歳出法案、
米国政府が閉鎖の可能性
3.この2018年度歳出法案の前に、
税制改革法案を通す必要があり
これらの急務を、夏季休暇明け9月4日
米レイバーデ-翌日から審議入りとなる
米議会の動向に注意です。
CME通貨先物ポジション状況:8月15日時点
(8月15日)(8月8日)(8月1日)
円 ▲77492 ▲95813 ▲112196
ユーロ +79267 +93685 +82637
シカゴIMM:
短期投機・投資家による円のネットポジション
売持高は今週は大分減少しました。
過去最高ネット円売り持ち高は、
2007年6月26日の▲188,077。
シカゴVIX指数:
投資家の恐怖心理の度合いを示す指数、
14.26 (前日比▲1.29)
8月9日の10台から10日に
大きく上昇し16台へ上昇した後弱含み。
ドルインデックス:
主要通貨に対するドルの値動きを示す指数、
93.43(前日比▲0.19)
週を通じてじりじりと安値更新。
先週は、110.50中心でのレンジでした。
8月14日の 109.07 ~ 109.80
8月15日の 109.59 ~ 110.84
8月16日の 110.02 ~ 110.94
8月17日の 109.44 ~ 110.37
8月18日の 108.59 ~ 109.60
テクニカルにみると、日足の一目均衡表で
先行スパン1が 112.46 へ上昇
先行スパン2が 111.65 へ上昇
基準線が 111.09 へ下落
転換線が 109.78 へ下落
相場実線は 109.17 で18日の引け
となっています。
テクニカルは、
7月21日以降「相場実線<転換線<基準線」
の位置関係になり、「ウリの時代」です。
遅行スパンも相場実線を大きく下抜けています。
大きくは「月足」で見て、
2011年10月安値の75.33から、
2015年6月5日高値の125.85までの上げを第1波動、
そこから2016年6月24日安値の98.
今は、そこからの上げ第3波動に入っての上昇中と見ます。
この場合の上値目途は
NT値= 98.90+( 98.90-75.33)=122.47、
N値 = 98.90+(125.85-75.33)=149.42、
V値 =125.85+(125.85-98.90)=152.80、
E値 =125.85+(125.85-75.33)=176.37、
と想定されます。
中位には「週足」で見て、
昨年6月24日安値の98.90から
昨年12月15日高値の118.66までの上げを第1波動、
そこから今年4月17日安値の108.12への下げが第2波動、
今は、そこからの上げの第3波動に入って
やはり上昇中と見ます。
この場合の上値目途は
NT値=108.12+(108.12- 98.90)=117.34、
N値 =108.12+(118.66- 98.90)=127.88、
V値 =118.66+(118.66-108.12)=129.
E値 =118.66+(118.66- 98.90)=138.42、
と想定されます。
小さく足元では「日足」で見て、
1.7月11日は高値114.49へまで上げ、
前回高値の5月10日高値114.37を上抜けた事で、
昨年2016年12月15日高値118.66、
今年2017年1月3日高値118.61、
2017年3月10日高値115.50、
2017年5月10日高値114.37、
と上値を切り下げて来た流れが変わって、
7月11日高値114.49は、
今年の年初来の高値切り下げの流れを変えました。
2.とすれば足元で進行中の下げが、
8月18 日安値の108.59まで進行、
前回安値の6月14日安値108.80、
8月11日安値108.71を下回ったので、
その前の安値4月17日安値の108.12を試すのか
108.12までのどこかで下げ渋り、
自動的に上を向いて反騰し、
前回高値の7月11日高値の
114.49を試す展開になるのか
どちらなのかを見極める局面です。
3.なので今は、
年初来安値4月17日安値108.12から始まる
上げの基本波動(=N波動)を見るべきと考えます。
4月17日安値108.12から
7月11日高値114.49までの上げが第1波動、
その後の足元で進行している、
7月11日高値114.49からの下げ
「第2波動」が進行中と見るべきです。
4.今はその進行中の「第2波動」の
下値目途を見極める局面です.
5.この「7月11日高値114.49から
始まっている下げの第2波動」、
この中に下げの3波動が見えます。
7月11日高値114.49から始まる
下げの基本波動(=N波動)を仮定すると
7月11日高値114.49から
8月11日安値108.71までの下げが第1波動、
その後8月16日高値110.95までの上げが第2波動、
その後の足元で進行中の下げが第3波動と見た場合、
その下値目途は
NT値 =110.95-(114.49-110.95)=107.
V値 =108.71-(110.95-108.71)=106.
N値 =110.95-(114.49-108.71)=105.
E値 =108.71-(114.49-108.71)=102.
と想定されます。
大切なポイントは、
今の動きの中心値が「111.50」と見ているので
下値を押して下げても、108では下げ渋り、
108水準で底値固めをして111.50への回帰が想定され
その後の流れは、上値として「115」が想定されます
何故ならば、115=111.50+(111.50-108)
だからです。
つまりこの中心値「111.50」が
支配する相場展開が継続する内は、
下値の目途は「108」、
上値の目途は「115」と想定されるという事です。
なので、今足元の下げは、
下押しをしてもせいぜい「108」
そしてその後反騰をして、「115」を試すという事です。
ポイントは、115を達成した後、上記で示した
上げの第3波動に入った場合の
上値目途を各N値115.05、E値120.62へと
上値を伸ばしてゆけるかです。
一つの波動の勢いとして
1. N値到達は、最低条件であり
2. E値到達は、十分条件なのです。
上値目途は、
1.下降中の転換線109.78、
下降中の基準線111.09、
2.先行スパンの111.65~112.46
3.7月11日高値の114.49
4.3月10日高値115.50
5.上記4月17日安値の108.12からの
上げ3波動の各目標値
を試す流れと想定します。
下値目途は、
1.上記で述べた中心値「111.50」が機能すれば、
下値目途の限界は108.00です。
2.大切なポイントは110.00~112.00を
支えられるかどうか。
3.そして、4月17日安値の108.12から
×
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