今回の下落、買い場助言をピタリ的中した「相場の潮流」
配信日:2017/08/16 08:12
潮流349 中国の本気度には「?」
まずはポジション。
昨日ザラ場中(12:23)に、保有プット売りプレミアム(75円)が、「32円カイ、33円ヤリ」の状態で緊急配信したが、このレベルで睨み合う状態は結局14:30過ぎまで続き、この時間帯につけた32円が安値で、大阪日中引けはツルツルと37円に上昇(これを“一般的なVIX風”にいうと「14%も上昇」となる)し、21:30に発表された米国2指標の結果を受けて、ドルが上昇、日経平均先物も大阪引け値(1万9740円)から80円上昇する場面でプレミアムは少量30円での出合いがあったが、結局、今朝5:30のイブニング引けは38円となっている。
昨日の日経平均の戻しは、値ガサ・大型株中心の動きで、先物(日経平均)の価格となるように現物市場が合わせていた印象。こういった場合は、往々にして「先物買戻し」が相場の中心となっている訳であるが、その(外国人、外資系証券の)先物に玉変化が見られたのが先週のこと。明日(以降?)の「潮流」で今週の買戻し状況も含めて解説することとする。
前夜の欧米市場で「北朝鮮リスクの後退」が意識されたのはWSJ(ウォールストリートジャーナル)の記事。ティラーソン国務長官、マティス国防長官がともに「外交的交渉を続ける」と述べたこと。そして、昨日のアジア時間にリスクの更なる後退を市場に植えつけたのもWSJ。「北朝鮮の金委員長が(計画を聴いたうえで)、グアム周辺へのミサイル攻撃を見合わせ、米国の行動を引き続き注視する」という電子版の記事。
今回の一連の騒動のなかで幾つかこれまでにない不思議なことがあった。
まず1つめは、北朝鮮が、「8月中旬までに計画をまとめ、日本の島根県、広島県、高知県の上空を飛ぶミサイル4基をグアムの“周辺”に落とす」と、懇切丁寧に“事前説明”をしたこと。2つ目は米国の政府要人が、「これまでも、北朝鮮とはずっと直接的に秘密裏交渉を重ねてきた」と影の交渉を認めたこと。そして、WSJが昨日、事細かに北朝鮮の「ミサイル攻撃見合わせ」を報じることが出来たこと、である。
さて、鍵を握るとされる中国とロシア。ロシアは現在、米国との再度冷えた関係から“無視”している状態であるが、トランプ大統領に14日、「知財侵害調査」、「通商法301条による関税引上げ」をチラつかされた中国は、昨日、北朝鮮からの石炭、鉄、魚介類の輸入停止に踏み切った。この国連安保理の追加制裁に準じた行動を評価する市場関係者の声が多いが、「?」という印象を持つ。
この「潮流」には書かないできたが、個人的に「ひょっとしたら中国、ロシアは実際のところ、北朝鮮と米国間で何か起き、米国の国力が低下することを期待しているのではないか」といううがった見方まで持っていたため、昨日の中国の行動自体は「姿勢を示す」という点で評価するが、それでもやはり「?」なのである。
というのは、「えっ?まだ北朝鮮から石炭輸入してたの?」ということ。
今回の安保理制裁はあくまでも「追加」。これはICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験に対してのものであり、昨年、それまでの5回に亘る核実験に対して、既に制裁(「前回制裁」と呼ぶ)は決議されており、中国もそれに則した行動をしてきたはずなのである。
この前回制裁は、昨年11月、12月の2ヶ月間の貿易金額、そして、2017年1年間の貿易金額という2本立てであった。(「前者」、「後者」と呼ぶ)そして、今年2月20日前後に、中国は「後者の金額に達しそうなので今後北朝鮮から石炭は輸入しない」と宣言していたのである。この際に「えっ?1年分を1か月間半で輸入しちゃったの?」と個人的に疑問を持ったが、今回の「停止発表」は、2月の宣言後も輸入を行っていたことを暗に認めたものなのではないかという気がするのである。
因みに、昨年末2ヶ月分の「前者」であるが、国連は「(各国がきちんと制裁決議を遵守していたのであれば)北朝鮮は輸出できる金額のおよそ3.5倍も輸出した痕跡がある」と発表している。国連は、その輸入国の名前を挙げることはしなかったが誰もがジロリと中国を見たことは言うまでもない。
これら全てを踏まえた「?」なのである。
よろしいですか?