日本株のパフォーマンスが米国株に劣る理由、機関投資家から見れば
機関投資家は、株価をEPSとPERに分けて考えることは、以前に書いた。
なので、TOPIXとS&P500について、EPSとPERに分けてみてみると、
1)EPS (企業会計の当期純利益ベース)
意外なことに、2013年9月末を起点にすると、足元までの日米のEPSの伸び率は、ほぼ同じだ。米国株の好業績が印象的だが、日本企業も頑張っている。日本企業がこれだけ頑張っている背景は海外進出だ。日本株と米国株を比較するときに、日本のGDPは・・・と、日本経済に拘り過ぎてはいけない。
2)PER
偶然なのか、2013年年9月は、日米のPERは同じだ。
ところが、その後は日本株のPERは伸びていない一方、米国株のPERは拡大している。
株価=EPS × PER なので、日米株価のパフォーマンスの差はPERの推移の違いによって起きているということだ。
日米株価(2013年9月末=100とする)を比較すると、次のとおりである。10年前の2011年から見ると、2018年くらいまでは日米株価に大差はなかったが、以降は、米国株のパフォーマンスが日本株を大きく上回っている。
では、何故、米国の方がPERが拡大しているのだろう?理由は二つある。
(1) 時々、日本株の方が米国株よりもPERが低く割安だという人がいる。でも、考えてみてほしい。ホンダのPERが8.9倍。トヨタが11.7倍。ソニーが18.9倍。アップルが28.7倍、グーグルが29.6倍、アマゾンが55.8倍。デュポンは8倍。ソニーはトヨタより割高なのか? ホンダはアマゾンに比べとんでもなく割安なのか?
日米のPERの差は、業種の構成比によるところが大きい。自動車の構成比が高い日本、ICT(Information and Communication Technology)のウェイトが高い米国。米国の方が市場PERが高くなるのは当然だろう。違う企業をPERだけ見て、割高割安を比較できない。
(2)二つ目は、日本では金融政策が機能しないことだ。黒田総裁になって異次元の金融緩和まで行っても、デフレから脱却できず、経済成長も高まらない。それに比べ、米国ではゼロ金利+量的緩和は確実に効いている。デフレにも陥らなかった。
以上の(1)、(2)が米国のPER拡大の背景でもある。
よろしいですか?