ドイツ銀行という時限爆弾~長さの分からない導火線~井上哲男『相場の潮流』より
井上哲男氏『相場の潮流』の9/30(金)08:28配信分メルマガで、経営危機説が急浮上しているドイツ銀行問題の本質について、氏は深く追及されています。
警鐘されていた事態が近づきつつあるようです。
長さの分からない導火線
昨日書いた「潮流」ストラテジーの再掲。
「日本市場であるが、23日以降「潮流」で書いてきた、「28日(近辺)に一旦RSIが底値圏に到達」は、Signに書いてあるように、昨日(28日)に33.61%にまで低下した。(25日移動平均乖離率は-1.51%)メドの32%までは低下していないが、昨日の引け水準を連日続けると仮定すると、昨日が底で、これから緩やかに上昇してしまう。32%未満が3営業日中、2日示現、その際の25日移動平均乖離率を見て、定性プット売り判断をくだす、というストラテジーを続ける。(但し、ドイル銀行という時限爆弾ブラックスワンには常に注意で決定的なニュースが出た場合は撤退)」
この最後の部分を強く意識しなくてはならない状態に入ってきた。
昨日の日本市場の株高・円安の動きを受けて、ロンドン時間の朝方、ドル円は101円70銭台半ばにまでまで上昇し、その後も101円台半ばを中心値としてもみ合ったのち、米国の経済指標を好感する形で101円80銭台に乗せた。米国時間でもGDPの上方修正(4-6月期:+1.4%)、新規失業保険申請件数(25.4万件:事前の市場予想は26万件)を好感しドル円は101円84銭まで上昇したが、ここまでの動きは、一切、ドイツ銀問題を反映していないものと割り切るべきである。
ドイツ銀行に関する話で昨夜新たに材料となったのが、一部の顧客(ヘッジファンド)がデリバティブを他の証券会社に移管し、余剰担保を引き出したというブルームバーグのニュース。具体名として、ミレニアム、ロコスキャピタル、キャピュラなどの名前が挙がった。そのため、欧州市場では2日続伸したドイツ銀行株ではあったが、米国市場ADRで急落。結局6.7%安(一時は7.8%安)となった。
ニュース等でドイツ銀株が大きく下げたことをもうご存知の方も多いと思うが、このように、欧州市場が引けた後の米国市場の後半で出た材料であるということが重要である。そのため、(上記のように)それまでの為替の動きは何も参考にならないと判断されるのである。昨日日本市場での円安の動きは、OPEC非公式会合の増産凍結合意と同じく、1日しかもたない材料であったと割り切るべきであろう。事実として、米国市場の終盤に、ドルは対スイスフランで1ヶ月ぶりの安値水準に下落した。この動きはそのまま円高を想起させる。
これまで、メルマガ開始以来、また、テレビ・ラジオ、セミナーでは昨年来、この「ドイツ銀行=ブラックスワン説」を懸念してきた。ただし、この行為は“狼が来るぞ”の少年と同じく、非常に危険な行為であることは認識してきた。市場が懸念しなければ何も起こらず、それを強く懸念していたがゆえの(投資)機会損失を生むことになるからである。しかし、敢えてここ数週間はこのことに警鐘を鳴らしてきたことをご理解頂きたい。ストラテジーでも安易なプット売りを行ってこなかった理由もこれである。
ドイツ銀問題は「長さの分からない導火線」だと思っている。火が完全に消えない限り、確実に進む。まだ見えない爆弾へと・・・。それは数キロ先かもしれないし、実は数センチ先なのかは誰にも分からないものだ。
「大きすぎて潰せない」という話がでている。これからもこのようなコメントが出るであろう。しかし、問題の本質はそんなところにはない。恐さの本質は繰り返しで恐縮であるが「他の金融機関への信用不安の伝播」である。
ヘッジファンドがネズミのごとく資金を引き上げても、問題は残る。
それは同銀が発行している仕組み債の総量がつかめないということである。――
続きは井上 哲男『相場の潮流』からどうぞ
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