相場観測のポイント
(1)基本は、2021/11/12 の次レポート
◎重要◎世界的な金融政策の意外な変化 - Kecofinの投資情報 - GogoJungle
2021年11月2日のオーストラリアの金融政策決定会合以来、米、英などで、市場の早期利上げ観測が否定され、各国の金利が低下している。
利上げ期待で買われていた通貨ほど、売られている感じだ。
オーストラリアは、インフレ高騰が続かない理由として賃金の伸びが低いことを挙げている。
英国は賃金上昇を予想しているが、インフレ高進見通しより成長減速への懸念を重視した。
ECBのラガルド総裁は、11月3日の講演で市場の利上げ観測を性急だとしてけん制した。
米国パウエル議長は意味不明なことばかり言っている。
・賃金上昇が続いているが、賃金上昇スパイラルが起こる兆候はまだ出ていない。
・物価上昇率は2%を上回っているが、長期的に平均で2%になるようにする。
・失業率が低くても最大雇用とは言えない。コロナ前の雇用水準に戻らなくても最大雇用かもしれない。
この時、パウエル議長は再任が決定する前で、民主党上院議員に気を遣っていて、どこまでホンネかわからない。ホンネは、
・賃金上昇が続いている。賃金上昇スパイラルが起こる懸念がある。
・物価上昇率は2%を上回っているが、長期化しないようにする。
・求人数、賃金など多くの指標が労働市場の逼迫ぶりを示している。コロナ前の雇用水準に戻らなくても最大雇用かもしれない。
(2a)パウエル議長とイエレン財務長官豹変(豹変と言うほどではないが)
パウエル議長は8月下旬までインフレは「一時的」であると力説していたが、8月下旬のジャクソンホール会議で年内のテーパリング開始を示唆してから、変化が見られ始めた。
再任が決まったパウエル議長の11月30日上院銀行委員会での証言。
・インフレが「一過性」との表現をやめるのが妥当な時期が来た
・高インフレの可能性が完全雇用回復に向けたリスク
・インフレ率上昇の脅威は高まっている
・次のFOMCでテーパリング(大規模な債券買い入れプログラムの縮小)加速を検討すべき
・利上げに向けてFFRBが設定したインフレ率に関する条件を今後数カ月のうちにおそらく満たすだろう
・オミクロン株の影響については、現時点では、われわれの見通しには含まれていない」とした。
(2b)パウエル議長とイエレン財務長官豹変(豹変と言うほどではないが)
イエレン長官はパウエル議長の支援者だと思う(自分が1期で替えられた悔しさ故だろう)。そのイエレン長官も急にこんなことを言い出した。
イエレン長官は12月2日、ロイターが主催した会議で、賃金・物価スパイラルの回避は金融当局の責務と述べた。
賃金・物価スパイラルの兆候は現時点ではみられないが、歴史的な高水準にある離職率などの指標でみると、労働市場はタイトな状況だと話した。
(3)12月3日 米国雇用統計
(A)失業率
(B)雇用水準
(C)最も奇妙な統計の一つ
どういうことかというと、米雇用統計は、事業所調査と家計調査により成り立っている。事業所調査では11月の雇用者がわずか21万人増だったが、家計調査では110万人増と大きく伸びた。
でも、珍しいことではない。家計調査は変動が激しい。結局、落ち着くところに落ち着く。
今回の雇用統計をどのように見ようと、労働市場はタイトな状況だ。ISM非製造業指数に見るように景気は好調だ。
FRBの興味はインフレに移行している。パウエル議長もイエレン長官も気にしているのは、「賃金・物価スパイラル上昇」だ。
これからの注目指標
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