めったに見ない 長期の日本の国際収支
日本では、貯蓄投資バランスもそうだが、国藍収支の姿も長期的に見ると、大きく変貌している。
現在の国際収支は1996年からしかないので、次のような長期グラフを見ることはまず、ないだろう。
私が中学受験をしたときは、社会科では日本は貿易赤字国だと教わった。私が会社に入って有価証券部に異動した時は、大変な貿易黒字国で、そしてプラザ合意が起きた。
黒字の主な源泉は自動車と電気機器だった。やがて、電気機器は中国や東南アジアにとってかわられ、今や、日本の貿易収支を支えているのは専ら自動車になった。(勿論、それが全てではない。化学なども頑張っている)
今の国際収支をまとめて言えば、
(1)自動車の輸出と原油等の輸入が拮抗していて、原油価格が高くなれば貿易赤字に、安くなれば貿易黒字にという状態である。分岐点は、ブレント価格で60ドルである。
(2)対外資産からくる所得収支の黒字が大きく、経常収支は黒字体質であるが、対外直接投資が拡大しており、基礎的収支はほぼゼロである。
貿易収支と為替相場の関係は、別途記事にするが、
貿易黒字は対外的には国内の生産の方が輸入より大きいということであり、国内での仕事を増やし、賃金が増え、経済成長につながる。
貿易黒字が拡大すると、やがてそれに遅れて円高になり、貿易黒字が縮小する。貿易黒字が縮小すれば、ドル売りが減るので、ドル高(円安)になった。その中で物価の調整も起きた。
しかし、今は、違う。そのようなサイクルはない。日本企業が為替相場によって業績(生産量)が変動するのを嫌って、海外進出(海外に拠点を設け、海外生産する)したのだ。おかげで、為替相場と貿易収支、内外物価差の関係は薄くなっている。
で、日本の貿易赤字=輸入増加=原油等の輸入金額の増加であるが、輸入が増えることによって、それだけ国内に物資が供給されたのだろうか?否である。
石油等の輸入量は変わっていない。単価が上昇し、輸入金額が増えただけである。輸入増加で何も豊かになっていない。
家計で見れば、ガソリン料金が高くなった。ガソリンの消費量は変わらないのに、支出金額は増えた。電気代もガス代も同様である。そして、その分、他の物の購入が圧迫されている。要は、貧しくなる。
どうすれば、豊かになれるのか、経済成長するのか?
長くなるので、それは省略。というより、いろんな考えがあるだろう。
よろしいですか?