投資家にとってのウクライナ問題
経済情報
相場は、ウクライナ情勢で右往左往している。
しかし、この問題は極めて奥深く、複雑だ。少しくらい勉強しても全ては理解できない。
(でも、つまるところ、ウクライナの財政は破たんしており、欧米側について財政支援してほしということだろう。要は“カネ”だ。)
では、この問題が理解できないと、投資はできないのか?
否、ウクライナに投資するのでなければ、問題を全て理解する必要はない。
といっても、重要な問題ではある。気を付けるのは1点。
欧州は天然ガスをロシアに相当部分依存している。しかも、ロシアにかわる調達手段は他にない。
ロシアがウクライナ問題と絡めて、欧州への天然ガスの供給を停止すれば、欧州経済がなり行かない。どころか、エネルギー価格は高騰し、それは世界中に波及するだろう。世界のインフレはさらに高騰し、経済成長が止められ、株価は下落するだろう。
では、ロシアが天然ガスの供給を止める可能性はあるのか?
それは、ロシアの財政悪化をもたらすこと(天然ガスの輸出代金が入らなくなるので)、欧米から金融・経済制裁を食らい、ロシア経済も立ちいかなくなり、プーチン政権ももたなくなる可能性が高いことから、考えにくい。
ないはずだが、ないと言ってしまえば、それでゲームオーバー(ロシアの負け)である。
窮鼠猫を噛む。(ネズミにしては大きすぎる)ロシアを追い込んではいけない。
ロシアとしては「天然ガス供給停止」は大きな武器であり、やるつもりはなくても、その気があるように見せなくてはならない。
結局、投資家はウクライナ問題は、ノーリスクではないが、ほぼ現状維持という形で落着するとの想定でいればいいだろう。
「情報合戦と狐と狸の化かし合い」にのせられてはいけない
今回の問題は、ウクライナ側から突っかけた。西側に加われるよう動いたのだ。(詰まるところの目的は西側から財政支援を受けることだろう。ウクライナも苦しいのだ。)
ロシアは、ウクライナが西側からの攻撃の防波堤となっていることから、それは容認できない。
ロシアは、欧州が天然ガス不足で混乱しているのを見て、ウクライナ侵攻を見せるという強気に出た。
ロシアの目的は、ウクライナを引き留めることと、NATOの拡大阻止だ。
欧米(特に米)側はNATOを拡大したい、ロシアを抑え込みたいようだが、それがロシアを過剰に刺激するなら、無理する必要はないと考える欧州の政治家も多い。
だって、ウクライナを西側に取り込めば、欧州はウクライナを財政支援しなくてはならないし、ロシアからは天然ガスを止めると脅される、何もいいことはない。そういう意味で、これは(ロシアを抑え込みたい)米国とロシアの問題だ。
ロシアが軍をウクライナ国境に集結させているのは、侵攻が目的ではなく、欧米から有利な条件を引き出すためなのは米国も分かっている。そのうえで、バイデン大統領はすぐにロシアは侵攻するだろうと言い、それを受けて、ロシアは侵攻の意図はないという。侵攻の意図はないと言いつつ(本当にそのつもりはない)兵力を増強している。
情報合戦も凄い。出所があいまいなニュースは信じてはいけない。
~が爆破した、~が発砲した、軍の一部は撤収した、今後数日中に軍事侵攻する、と、どこまでが真実で重要なのか、まるで分らない。そのまま信じてはいけない。
2月15日にロシア軍の一部撤収を、ロシア側が発表したことを受けて、原油価格下落、株価上昇が起きた。(でも、兵力増強している)
しかし、2月17日、ロシアは「ウクライナ軍がウクライナ東部ルガンスク州(親ロシア)で発砲した」と報じた(ウクライナ軍は否定している)。ウクライナ軍から攻撃を受けたということを理由に、ロシア軍がウクライナに侵攻するのではないかという懸念が広がった。
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