ドル/円を押し上げているのは、キャリートレードが主ではないだろう。
キャリートレードの説明は省略する。
広くは、FXのスワップ狙いもその1種だ。証拠金を置いてレバレッジを掛け、対円でドルを買う。毎日スワップが入ってくる。ポジションを維持(キャリー)すればスワップ益が貯まっていく。
先渡しでドルを買うのもキャリートレードの1種だ。証拠金を置いて、今(@128.57)、1年先でドルを買えば125.27で買える。為替レートが変わらなければ、1年後にそのドルを128.57で売って、その差3.3円もぅかる。FXのスワップはオーバーナイトだが、こちらは期間が長いので利益率は高い。
キャリートレードにはいろいろあるが、メインはヘッジファンドがドル預金を担保に円を借りてドルを買い、そのポジションをキャリーすることだろう。実務は契約したプライムブローカー(JPMやGS、野村など)がやってくれる。詳細は省略するが、借りた円の利息を払う代わりに、買ったドルから得られる収益を受け取るというトータルリターンスワップという方法になる。アルケゴス事件の時もそうだが、このデータは全く不明である。どのくらいキャリートレードが行われているのかもわからない。なので、キャリートレードがどのくらい相場に影響を与えているのかは全く分からない。
しかし、手掛かりがある。通貨先物における投機筋ポジションを見れば、彼らがどの程度相場を張る気があるか、推測できる。
というわけで、投機筋のポジションを見てみよう。
わかることは、投機筋(ヘッジファンドなど)はそこまで入れ込んでいない。次のグラフを見てわかる。円ショートポジションは今の相場が示すほど高まっているわけではない。
しかし、円ロングポジションは全くない。今のドル/円相場は、(利食いによる円買いを除いて)円買いがない真空地帯を駆け上がっていっているということだ。
投機筋、輸入業者(実需)、年金等投資家全てが一方通行になっているだけで、非常に大きなドル需要が生まれているわけではなさそうだ。原油価格など資源価格上昇が止まれば。円売りも時間をおいて止まるだろう。
ウクライナ危機問題で資源供給サイドは読みにくいが、需要サイドでは中国の輸入が減少気味であり、ひょっとすると早晩、商品価格高は止まるかもしれない。
よろしいですか?