ゴール設定は高く、しかし期待値は抑える
株式
たまに会員から、「やっぱり下げるのでしょうか?」といった質問が来ることがあります。でも私はタイムマシンを持っていないので、残念ながら期待通りのことを答えられません。だから、逆に質問します。「どのように考えているのですか?」と。
こうして文字だけで見ると意地悪センセイですが、自分の意思がどんな方向なのかを考えてもらいたいし、それを示してもらえれば有意義な議論にもつながると思うからです。
買いだと思ったら買い、売りだと思ったら売る……相場ですから、それ以外に方法がないという事実を忘れてしまうので、繰り返し、思い出そうと努めるのです。
世の中には無数の情報があります。
まず、情報の入手経路を絞るのがシゴトですが、それを決めるのは自分自身です。
その情報の整理、処理、そして評価も、自分自身の手で行います。
でも、無数の情報を前に「どうすべきか……」と悩んでも、絶対に答えは出ません。周囲の価値観に流されて、その場限りの方法を選んでしまうだけです。
すべてを自分の手で決めるとき土台となるのは、「手法」の存在です。
私からの第一のメッセージは、「何でもいいから確固たる方法をもて」という一語に尽きます。四六時中トレードに浸ることのできない個人投資家は、たった一つの方法に集中し、その方法の中で良い結果を求めるのが王道なのです。
個々の売買について私たちは、一定の「期待」をもちます。
期待がなかったら、ポジションなんて取りません。
でも、カネのことだけに、心の中で期待が膨らみます。いわゆる「期待値」が、高くなりすぎるのです。
「最大300円の値幅が期待できる」と計算したとき、「300円はできすぎ」というのが冷静な分析なのに、いつの間にやら「300円取るんだ!」と力を入れていたりします。もしかすると、「いや、500円幅かも」なんて。
一般的には、結果を「期待値」に近づけるために努力する余地があります。
セールス活動だったら、「この人がお客さんになるかもしれない」という状況に対して一生懸命に考え、積極的に行動します。私生活で彼氏や彼女にしたい人がいたら、気に入られるために努力します。当然のことです。
でも、株価を操ることはできません。
株価の変動は市場任せで、あとは自分の読みと行動をコントロールするだけです。
その「自分自身のコントロール」について、質を高める努力をします。「ちょっと良くなればいい」ではなく、高い目標(ゴール)を決めて行動するべきです。
それが具体的な金額であったり、売り買いの質であったりと、いろいろなゴール設定がありますが、想像できる範囲でより高いゴールが望ましいでしょう。低いゴールしか思い浮かばないのなら、想像力そのものを伸ばすことが先決です。
でも、現実の売買で百戦百勝なんて、絶対にあり得ません。
個々の勝ち負けについては、バランス悪く期待値を高めてはいけないのです。
勝率が50%なら、2回に1回は勝ち、2回に1回は負けです。
しかし、勝ち負けは偏ります。自分の手法と値動きが合わない時期もあります。
したがって、「5回やって5連敗」みたいに、素直に受け入れられない結果だって、ごくふつうに起こること。目をくもらせて相場難民にならないためには、投資家としての最終的な姿をゴールとして思い描きながらも、現実をまっすぐに受け入れる姿勢が求められるのです。
■株式投資【虎の穴】(林投資研究所チャンネル)
4月29(金)、最新動画をアップしました。
株式投資【虎の穴】
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