不可避なヤラレをカバーする値幅取り
株式
トレードには、偶然の要素があります。どんなものにも偶然はありますが、トレードにおける偶然は意外と大きいと考えるのが妥当ではないでしょうか。
初めて株を買う際、たまたま選んだ銘柄が大化けした──こんなことだって起こります。
「初心者だから50円幅で強制的に手仕舞い」なんてことはありません。
初心者もベテランも、百戦錬磨のプロだって、みな同様に偶然の要素を抱えて売買しているのです。
だから、個々のトレードについては、勝って当然、負けて当然なのです。
丁寧かつ慎重に分析し、「十分に下げた。確実に下げ止まっている」と冷静に判断したつもりでも、見込み通りに上がらないことはあります。
この事実が、トレードシステムは「勝率50%前後がちょうどいい」と多くのプロが主張する背景です。ムリに「当てよう」とせず、負けの値幅を抑え(かつ時間をかけない)、勝ちの値幅を大きくすること(時間がかかってもOK)を考えるのです。
一定の期間、例えば半年、1年の累計が大きくマイナスになりさえしなければOK、多くの場合は「やり方は間違っていない」といえるでしょう。
連敗しても個々のヤラレが小さければ、資金は十分に温存されます。資金が減ったので仕方がなく株数を減らす、なんて対応を強いられることはありません。
すると、いわゆる「手が合う」状況に遭遇したとき、十分な資金が残っているだけでなく、十分な心のゆとりも残っています。これによって、ラクに利益を出すことができるのです。
見込み違いは必然なので、グズグズ言わずに手を打ち、損失を小さく抑えるようにします。
極端な連敗に対しては「やり方に難ありか……」と考えざるを得ませんが、売買法に応じて適正な資金稼働率を守っていれば、資金があっという間に3割も4割も減ることはないでしょう。
資金の大幅減で市場から退場……そんなことにならずに生き残っていれば、チャンスが巡ってきます。そのチャンスを逃さないためには、計画的なトレードが必須です。
勝ちを積極的にイメージしながらも、“サイアクの状況”を考えて稼働率を抑えるガマンが重要なのです。
「チャンス」と述べましたが、多くの投資家は「利益のチャンスを絶対に逃したくない」と考えすぎるようです。「1回でも逃したらタイヘン」とばかりに、やたらと手数(てかず)が多くなり、“損するリスク”も増えて混乱するのです。
1回ごとの結果に神経質だと、見込み違いに対する対応がユルくなります。
「負けるなんてあり得ない」と考えるので、対処が遅れます。
「マズいなぁ……」と感じつつも放置して損失が大きくなります。しかも、たっぷりと時間をかけてしまいます。
カネと時間、ダブルの損失です。そこに、精神的ダメージも加わるのでトリプル、いや際限ないマイナスを食らうのです。
自分の理想のパターンに絞れば、いわゆる勝率は上がると期待できます。
ただし、勝率の上昇は若干ですし、個々の見込み違いをゼロにすることはできません。
「利益を逃す」という結果を恐れずに出動を絞ることが、大きな効果を生みます。
「小さなチャンスも逃したくない」というムチャな気持ちがなくなり、値動きや自分自身の可能性を冷静に考えるようになるからだと思います。
株価は時折、突発的な変動をみせる。
でも、「手が合う場合」を、自分の理想型としてイメージする。
見込み違いの損失は避けられない。
でも、「理想型のイメージ」で、波に乗って大きく取れることがある。
どんなやり方でも、それが「手法」として正しく成立していれば、取ったり取られたりを繰り返しながら最終的にプラスにもっていくことができます。
ただ、対応の歯車が狂うと、手痛い失敗もあります。
避けようのない損失を「経費」として受け入れ、来たるべきチャンスを待つという姿勢が重要なのです。
■株式投資【虎の穴】(林投資研究所チャンネル)
2月2日(水)、最新動画をアップしました。
儲けるための基礎知識・基本テク
【耳の痛い話】ヤラレ玉を抱えた状態で「様子見」
株価を見て、自分のポジションをチェックして、予測しながら今後を考える──こんなとき、特に打つ手を思いつかずに「様子見だ」なんて、つぶやくことはありませんか?
様子見……なかなかキケンな言葉です。
特に、ヤラレのポジションが気になっている状態で使うのは禁じ手です。
では、どうキケンなのか? その原因は?
極めて実践的な観点で、掘り下げてみました。
■YouTubeチャンネル マーケット・スクランブル
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