驚きの国際収支 円見直し
経済情報
急速な円高が起きています。その理由は、ドル/円相場の環境の変化 3つの変化 に書いたとおりです。ですが、ここまでの円高は全く予想していませんでした。
3月の日本の国際収支から、円高を引き起こしたのは海外証券投資家らしいと分かりました。今、彼らが再度日本国債を買ってきている可能性があります。
また、円高の背景には、原油高⇒日本の貿易収支悪化⇒日本の経常赤字の懸念 がありましたが、日本の所得収支は健在です。そう簡単には経常赤字にならなさそうなことも分かりました。
今は、円ではなくてユーロが狙われています。中国のゼロコロナ対策による景気減速⇒輸入減から中国が最大の輸出先である豪ドルも売られています。中国景気減速による商品価格安は円にfavorです。中国景気減速による商品価格安は米国の物価上昇も予想より早く沈静化する可能性を起こしています。そして、米国中長期金利の上昇も抑えています。これも円高につながっています。
しかし、米国の物価上昇は賃上げからきていますので、金融引き締めは続きます。それは、米株のPER低下を招き、株価を押し下げます。株価の下落で逆資産効果が起きると、需要を抑制し、物価低下に働きます。
金融引き締めが続くので、そう簡単に中長期金利が低下することはないでしょうから、円高も限界があるように思います。
ドル/円相場の環境の変化 3つの変化 で、ドル高/円安は終わったとしましたが、ドル/円の方向性はまだ見えません。
上記は、わかりにくいかもしれません。要は、環境が変わってきているが、1点変わっていないのが、「米国での賃上げ圧力⇒物価上昇⇒利上げ」です。今後、長短金利差が縮小していくのは間違いないでしょうが、利上げが続く中で中長期金利の低下が続くと思えず、これがドルを支えそうなことです。結果、ドル/円の方向性が見えにくいということです。
=========================
最初に「驚きの国際収支」とは、原油高⇒日本の貿易収支悪化⇒日本の経常赤字の懸念 があったが、3月の国収支で、日本の所得収支は健在で、そう簡単には経常赤字にならなさそうなことが分かったことが驚きということ。今後は、グローバル景気悪化で日本の所得収支は減るかもしれないが、そうなると、商品価格低下⇒日本の貿易収支悪化抑制ということになろう。
今日、日本の国際収支が発表になった。
経常収支は2兆5493億円の黒字だった。予想以上に大きい。
直接投資収益が、2兆3702億円と前年同月の1兆4804億円から8,898億円も増えた。
証券投資収支も債券利子収入は前年同月比で多少減ったが、配当収入が良好で、所得収支も良好となった。
今、各社の昨年度業績発表が行われているが、SBGなど一部を除くと、グローバル企業の業績は良好である。それだけの収益を配当金として3月に海外現法から受け取っている。
最近、日本企業の株価がやや踏ん張っていた理由もこの辺にあろう。
但し、昨年度の業績は予想以上に良好だったが、今期見通しはそれほど明るくない。
2月決算の安川電機の業績発表時は、今期業績見通しも良好だったが、今はやや悲観的である。TOPIXのepsは今期減益の可能性もある。持ちこたえていた株価も怪しくなる。
話は、国際収支に戻って、
経常収支は良好である。
にも拘わらず、3月から円安が進んだ。どういうことだろう?
国際収支全体を見てみる。
円を売ったのは(日本からの資金流出は)、日本居住者でなく、海外投資家の日本株、日本債券、その他(大部分は日本の短期債)売りだ。
3月の海外投資家の日本株、日本債券(短期債含む)の売り越し額は8.8兆円と、2020年3月の新型コロナウィルス感染拡大の時の次に大きい。
じゃぁ、何故海外投資家はこんなに売ったのか?世界的インフレが要因だろう。
つまり、日銀が利上げすると懸念したのではないだろうか?
日銀が利上げすれば大事件である。欧米の比ではない。
ここにきて、日銀の利上げ観測はしぼんでいる。
となると、彼らも急いで日本から資金を抜くことはないだろう。
急速な円安は終わったのではないか?
4月のデータはわからないが、海外投資家が円債を売り過ぎていたなら、買戻しもあるかもしれない。それはつまり、円高につながる。
×
よろしいですか?