「当てる」ことを放棄する
株式
東証一部上場の任天堂(7974)は世界的なゲーム機メーカーですが、もともとはカルタ、トランプ、花札を作る会社でした。80年代にファミコンで急成長し、業態が大きく変化したのです。
ちなみに、社名の由来は「人事を尽くして天命を待つ」という言葉という説明があるのですが、一説には「運を天に任せるってテキトーだったんだ」とも(笑)。
もしかしたら、そんなお気楽な思想が、現在の繁栄につながったのかもしれません。それこそ、テキトーな推測ですが……。
株価の先行きについて私たちトレーダー(売買実践者)は、ガッツリと予測を立てます。
その予測がないと、売ったり買ったりできないから当然です。
でも現実は、当たったり外れたり……。基本的に、「市場任せ」なんですね。
ただ、市場で勝手に動く株価を見て“次の一手”を決めるのは自分。
そこには、「上がると思う」「下がると思う」という自分なりの確信、自分だけの“真実”があるのです。
「上がる」と思ったら確実に買いポジションをつくりたいわけです。
思考と行動を一致させることが重要だからです。
思惑通りに上がるかどうかは不確実、はっきりいって五分と五分ですが、「上がる」という自分の真実に従ってポジションを取るしかないので、ちゃんと買うわけです。
だから、ムリな指し値などせずに堂々と成行注文、この部分も「市場任せ」という感覚です。
さて、真剣に予測を立てるものの、当たるかどうかはわからない……予測は、行動のキッカケにしかならないということです。
だったら、「上がるんじゃないの? おぉっ!」なんて興奮しても意味がなく、余分な感情の振れが生じてよろしくないだけです。感情ゼロの“売買マシン”にはなれなくても、「感情の振れが小さな賢い実践者」を目指したいものです。
「まあ、当たったら少しねばるよ。でも予測が曲がったら仕方がない、切るだけさ」
言ってみれば、「当てることを放棄している」ような姿勢です。
違法行為の「株価操縦」でもしない限り、株価をコントロールすることはできません。常に「市場任せ」です。
だったら、ムダな力を入れるよりも、「当たったらいい、曲がっても対処する」くらいの態度で臨むほうがナチュラルで、冷静かつ的確な判断ができそうです。
もちろん、裁量によるトレードでは、それなりに“気持ち”が入らないと、予測を立てたり、ポジション操作の決断をしたりできません。
一方、事前にルールを決めて機械的に売り買いを判断する方法ならば、上記の「当たったらいい、曲がっても対処するくらいの態度」にラクに近づけます。
林投資研究所が提唱する「中源線」も、そんな説明が成り立つ、実践的な売買法です。
誤解を恐れずに言いきれば、「中源線は当てることを放棄している」ということです。
でも、デタラメにポジションを取るわけではありません。
確固たる判断基準があって「売り」「買い」を決断します。
それに加えて、「様子を見ながらゆらゆらと対応する」ための3分割のポジション操作があるということです。
「ゆらゆらとした対応」と表現しましたが、クッキリと2つに分けることができます。
その1つが、「逆行」です。
上がると思って買った(3分割だから正確には「買い始めた」)、しかし下に行きそうだ……こうなったら、意地を張らずにドテン、カラ売りします。この対応が、すべてルール化されているのです。
しかし、「順行」は放置します。
急激に2割上がってウハウハでも、6カ月間ジリジリと伸びて3割超の評価益でホクホクでも、「下げに転じたのではないか」と思える逆行の動きがない限り、買いポジションを維持します。
これによって、大きな値幅が発生したときは、上げでも下げでも利を伸ばすことができるのです。
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