続・トルコショックまとめ。トルコだけの問題では済まないトルコ問題!!
先日、トルコショックについてまとめました。
トルコリラ暴落! 2018年8月10日トルコショック⁉まとめ
今回は続報と、徐々に見えてきた周囲との関係を、まとめてみました。
◎トルコショック続報
エルドアン大統領(トルコ) vs トランプ大統領(米国) 関係悪化!
先週末(8月10日)のトルコリラ暴落から1週間、市場が落ち着き始めています。
15円台まで下落したトルコリラも、19円台まで買い戻されています。
TRY/JPY 時間足チャート
トルコは報復関税として、米国からの輸入品に対し追加関税を発表しています。
乗用車が120%、アルコール飲料は140%、葉タバコは60%。その他にも化粧品・コメ・石炭なども2倍に引き上げ。
金額にして、5億3300万ドル程度となる見込み。
その他にも、米国商品の不買運動も行っています。
当然米国は、トルコに対して制裁を強めてくると思います。
そこで、今後の注意点や影響を考えてみました。
★ブランソン牧師を含む15人米国人の解放
→ 米国は要求を撤回するとは思えません。ただ、エルドアン大統領も解放すれば、負けを認めることになるので解放できません。
→ さらなる関係悪化が懸念される!
→ 追加制裁、関係国への影響が出てくる。
※牧師の健康を理由に、人道的立場から解放するのでは!?
これにより、どちらの面子も潰さずに済むのではないかという噂もある。
★トルコの今後の注意点
・米国との関係修復
米国との関係改善が最優先だと思いますが、現在のままでは難しいと思います。
・エルドアン大統領の進退
トルコは、今年の選挙で大統領制に移行し独裁体制がほぼ完成しています。
エルドアン大統領が辞任して、別の大統領が米国との関係を改善できないかと考えますが、、、難しそうです。
エルドアン大統領は、せっかく作った独裁体制を、自分から手放さない。
また、エルドアン大統領に代わる対抗馬がいないのも現実です。
・アルバイラク財務相の手腕
大統領を変えることが出来ないならば、現行の体制で何とかしたいところです。
ただ、経済の司令塔である財務相に就任したのは、エルドアン大統領の娘婿のアルバイラク氏です。
前財務相は手腕・市場からの信頼度は高かったものの、アルバイラク財務相の手腕は未知数です。
先日(8月10日)の経済計画の発表を見る限りでは、期待は出来そうにありません。
・中銀(TCMB)の独立性
もう一つトルコリラを下落させている要因は、中央銀行の独立性です。
前回の金融政策決定会合では、利上げができませんでした。
とうとう大統領の手中に落ちたと、マーケットは受け止めたと思います。
これだけトルコリラが下落しても、緊急利上げは出来ずにいます。
次回会合もしくは、その前に金利の引き上げを実施できれば、マーケットの見方も変わるかもしれません。
★周辺各国の支援や協力
トルコが追い込まれると困る国もあります。
トルコと米国の間で関係が悪化していますが、どちらもNATO(北大西洋条約機構)の加盟国です。
トルコ側につく国と、米国側につく国と、様子見の国などNATOに亀裂が入る可能性もあります。
トルコ発、世界的冷戦、、、なんて事にはならないと思いますが、諸事情を抱えてる国も多いので、何らかの影響はあると思います。
・カタール
カタールは以前トルコから助けてもらった事もあり、今回トルコに対し150億ドル(約1兆6千億円)の直接投資を表明しました。
この150億ドルはトルコに対し、ポジティブに反応。
・欧州
欧州は難民問題と財政問題を抱えています。
どちらもトルコが大きく関わっています。
まず、難民問題ですが、アフリカ大陸や中東から欧州に向けて難民が押し寄せてきています。
受け入れ口となっているのが、トルコやイタリアです。
なのでトルコが難民受け入れをやめてしまうと、欧州に大量の難民が押し寄せます。
欧州各国は難民が押し寄せてくるのは困るので、助け船を出す国が出てくるかもしれません。
財政問題についてですが、トルコ債権を抱えている国が多く、なかでもスペインが823億ドルと最大です。
他にも、フランスが384億ドル、イギリスが192億ドル、日本も140億ドル抱えています。
トルコ債がデフォルトとなると、トルコ債が原因で連鎖危機となります。
第二のギリシャ金融危機になりかねないので、こちらも助け船を出してくれる可能性があります。
これを書いている(16日)時に、仏大統領府はトルコ支援を約束とのヘッドライン。
長くなりましたが、エルドアン大統領とトランプ大統領の感情的な対立が、世界的な混乱につながる可能性を秘めています。
今後もトルコを中心としたリスクは続くかもしれません。
証券会社・FX会社もリスク管理を始めています。
証拠金維持率の変更など、銀行などは両替を一時停止しているところもあります。
流動性の低下から、スプレッドも大きく開くこともあります。
注意深くリスク管理していきたいと思います。
よろしいですか?