DAY 52:ポートフォリオ設計 – EA×裁量、短期×中期の組み合わせ
FX
DAY 51では、リスク管理の全体像を整理し、資金管理・損切り&利確設定・相場環境別の微調整・複数ポジションの相関対策といった要素の重要性を確認しました。
DAY 52となる本日は、ポートフォリオ設計をテーマに、**「EAと裁量を組み合わせる」「短期と中期を同時運用する」**など、複数の手法や時間軸を組み合わせるメリットや注意点を解説します。
単一の手法に頼ると相場が合わないときにドローダウンが大きくなりがちですが、ポートフォリオ思考で複数手法・通貨・時間軸を組み合わせれば、安定した収益が狙いやすくなります。ただし、相関リスクや管理の複雑化にも注意が必要です。
1. なぜポートフォリオ運用が有効なのか?
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戦略ごとの得意・不得意を補完
- ある手法が苦手なレンジ相場を、別のレンジ特化手法がカバー。
- 一方がトレンド型なら、もう一方は逆張りレンジ型にするなどで相場環境の変化に強くなる。
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相関リスクの低減
- 通貨ペアや時間軸を分散すれば、1つのトレンドが崩れても他の戦略で補填できる可能性が高い。
- EAも裁量も含めて、同じ方向のポジションばかりにならないよう調整すれば、一斉に大敗する確率を減らせる。
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安定収益の追求
- “最適化の罠”を避ける上でも、複数手法を並行運用する方が長期的に安定しやすい。
- どれかが不調でも、別の手法が活躍することで資金曲線がなだらかになり、メンタル面での安心感が増す。
2. ポートフォリオの組み合わせ例
(1) EA(トレンドフォロー) + 裁量(レンジ逆張り)
- 思想
- EAでトレンド相場を自動で拾いつつ、裁量ではレンジ見極めや急変時の対処を行う。
- トレンド時はEAがメインで稼ぎ、レンジが長引くときは裁量の逆張りでカバー。
- 注意点
- 相関リスク:EAと裁量で同じ通貨を同方向に持つ場合、合計ロットが大きくならないよう管理。
- ON/OFFのタイミング:EAが苦手な指標前や深夜帯などは裁量に切り替えるなど、明確なルールが必要。
(2) スキャル(短期) + スイング(中期)
- 思想
- スキャルで細かい値動きを取りつつ、長めの保有で大きいトレンドも狙う。
- 短期スキャルだけだと張り付くストレスがあり、スイングだけだと退屈 or チャンス損失がある。両方取りが理想。
- 注意点
- 時間管理:スキャルに集中する際は常にチャート監視する一方、スイングポジションは寝ている間も含み損益が動く。メンタル負荷を考慮。
- 相場環境:スキャル用のセットアップ(例えば1分足や5分足)とスイング用(4時間足や日足)でエントリー根拠が真逆になるケースもある。
- スキャルとスイングで同じ通貨ペアを持つなら、ロット合計が大きくならないよう計算する。
(3) 通貨分散:メジャー通貨 + クロス円 + 商品通貨
- 思想
- ドルストレートだけでなく、ユーロ円、ポンド円などクロス円、AUD/USDなど商品通貨も合わせ、相場全体でチャンスを拾う。
- 相場がドル主導で動かないとき、商品通貨やクロス円の方が動くかもしれない。
- 注意点
- 相関管理:同じ方向の円売り(EUR/JPY買い、GBP/JPY買い、AUD/JPY買い…)を大量に持つと円高で大ダメージ。
- それぞれの指標・政治リスクをフォローする手間が増えるので、情報収集コストに注意。
3. リスク配分の考え方
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最大ドローダウンを想定し、ロットを決める
- 例:「資金が30%減ったら自分はメンタル的に耐えられない」→ 各手法を同時に回すなら、合計ドローダウンが30%を超えないようにロットを割り振る。
- 手法A単独でもDD20%、手法B単独でもDD20%になる可能性があるなら、合わせて最大40%にならないように気を付ける等。
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損失許容%を各戦略に振り分ける
- 例:
- EAトレンドフォロー → 資金の40%部分を運用
- 裁量スキャル → 資金の30%
- スイングポジション → 資金の30%
- このように資金を分割管理し、各アカウントや口座単位でロットを調節しておけば、一部が破綻しても全資金が飛ぶリスクを下げられる。
- 例:
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緊急停止ルール
- 連敗 or ドローダウンが一定に達したらその戦略を一旦停止し、原因分析を行う。
- 他の戦略が同時進行していれば、全体の収益が完全にゼロにはならないメリット。
4. 運用事例:Dさんのポートフォリオ
- 構成
- EA1(トレンドフォロー):USD/JPY、EUR/USDで稼働、短期足でブレイク狙い。
- EA2(レンジ逆張り):GBP/USDメイン、ボリンジャーバンド+オシレーター条件。
- 裁量スイング:週末にゆっくりチャートを見て、AUD/JPYやEUR/GBPなど2~3日~1週間保有を狙う。
- リスク配分
- EA1:資金の40%
- EA2:資金の30%
- 裁量スイング:資金の30%
- 連敗が増えたEAはロットを半分にして様子見など、小さな修正をルール化。
- 成果
- EA1がトレンド相場で稼ぐ一方、急にレンジになったらEA2がそこそこ利益を確保。
- 裁量スイングは週末に判断するので、急な平日ニュースでノイズがあっても大きく影響されない。
- 全体の資金曲線が比較的なだらかに推移し、メンタル安定。
5. まとめ & 今後のステップ
まとめ
- ポートフォリオ設計:複数手法(EA×裁量、短期×中期、メジャー通貨×クロス円×商品通貨)を組み合わせることで、相場環境の変化に強い運用が可能。
- リスク配分:合計ドローダウンが自分の許容範囲を超えないよう、各手法に資金を割り当てる。ロット管理や緊急停止ルールも必須。
- 注意点:相関リスクが高い組み合わせを同時に持ちすぎない、情報収集コストの増大に備える、過剰分散でモニタリング不能にならないようにする。
WEEK 8の今後の流れ
- DAY 52(本記事)は、ポートフォリオ設計を中心に解説しました。
- DAY 53~55では、資金全体の運用計画や年間目標設定など、より長期的な視点でのリスク管理&継続手法を探り、WEEK8の総合テーマへ繋げる予定です。
- 最終的に「自分なりのトレード完成形」を描き、これまで学んだ要素(検証・メンタル・市場環境対応)をどう運用し続けるかの仕組みをまとめていきます。
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