DAY 54:複数EA・ロジック運用のモニタリング
FX
DAY 53では、年間目標の設定とパフォーマンス測定を中心に、トレードを“1年単位”で見据える重要性と、PFやドローダウンなどの指標を活用するメリットを確認しました。
本日のDAY 54では、そこからさらに踏み込み、複数のEA(自動売買)や複数の裁量ロジックを並行運用する際の“モニタリング”の具体的な方法と、想定しておきたいリスク管理のポイントについて解説します。
多くの戦略を同時に動かせば、得意不得意が補完されて「安定した収益が狙える!」と思う反面、相関リスクや管理コストが増えるのも事実。今回は、その運用と監視をどうスムーズに行うかを見ていきましょう。
1. なぜ複数EA・ロジック運用が増えているのか?
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分散効果の追求
- 1つのEAや手法だけだと、相場環境が合わない時期に大きくドローダウンしやすい。
- 複数の戦略を運用すると、苦手相場が被りにくくなり、全体の資金曲線がなだらかになりやすい。
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自動化の進化 & 裁量とのハイブリッド
- 最近はプログラミング知識がなくてもEAを入手できるため、複数EAを気軽に運用しやすくなった。
- 裁量と併用することで、相場急変やファンダメンタルズ要因にも柔軟に対応できる。
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検証がしやすいツールの普及
- バックテストやフォワードテスト機能が整い、多数のEAを短時間で検証可能。
- 運用もVPSや複数MT4/MT5で同時稼働が容易になり、複数戦略を回すハードルが下がった。
2. 複数EA・ロジックのモニタリングで大事なポイント
(1) 合計リスク把握
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**“何個もEAを回したら勝手に増し玉になる”**状況を避ける
- EA Aが売りポジションを3つ、EA Bが同じ通貨ペアで売りポジションを2つ…合計5ポジに拡大している可能性もある。
- 合計ロットを管理する仕組みがないと、1回の逆行で大損のリスク。
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同通貨を同方向で持ちすぎない
- USD/JPYロングとGBP/JPYロング、EUR/JPYロングなど、円売りが大量になっていないかチェック。
- リスクオフの円買いが来たら大ダメージになる。
(2) パフォーマンス個別・合計の定期チェック
- EAごとに月次・週次で成績(勝率、PF、DD)を収集
- どのEAがトレンド相場で稼いでいて、どれがレンジで稼いでいるかを把握すると、相場環境別にON/OFFも検討可能。
- 合計パフォーマンス
- 全EA + 裁量を合わせたトータルのDDやPFを出す。
- 連敗時にどのくらい資金が下がるか、最大DDが大きくなりすぎていないかなどを毎月観察。
(3) ルールベースのON/OFF
- 指標前に必ず停止するEA
- 雇用統計やFOMCなど、スプレッド拡大が激しいタイミングだけ手動 or 自動停止をする機能を活用。
- 苦手相場が続くEAはロットダウン or 一時停止
- 例えば、レンジ型EAがトレンド環境で連敗が増えているなら、止めておく。
- 逆にトレンド型EAが機能しそうな時期だけONにするなど、**“稼働時間帯”や“環境”**を指定。
(4) ダッシュボード・管理ツールの導入
- まとめて監視するパネル
- 各EAの現在ポジション数、現在保有ロット、累積損益、DD、スプレッド状況などを一覧で表示するツールがあると便利。
- ある程度のプログラミングや既製プラグインの活用で、自分専用ダッシュボードを構築可能。
- 裁量との合算リスク
- 裁量ポジションをMT4/MT5の一つの口座で持ち、EAも同じ口座で稼働 → “口座タブ”から全ポジションの合計を確認できるが、EA側の管理が複雑。
- もしくは別口座に分けて運用して、表やスプレッドシートで合計ロットやDDを同期する方法など。
3. マルチEA・裁量運用の具体的フロー
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朝 or 取引開始前
- 各EAの前日の結果を確認し、合計ロットや損益状況をリセットしてスタート。
- 指標予定や相場環境をチェック→「今日はトレンド発生しそう?」「レンジが続きそう?」を大まかに判断。
- 必要なら苦手相場のEAをオフ、得意そうなEAのロットを通常or少し上げるなど調整。
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稼働中のモニタリング
- 指標前にスプレッドが急拡大したら手動でEAを一旦停止、裁量もストップなどの迅速対応。
- ポジション数が増えすぎていないか、同方向の通貨が偏っていないかを確認。
- 裁量で方向が被りそうならロットを削減するか、調整。
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終了後 or 日次・週次の振り返り
- EAごとの勝率・PF・DD、裁量の成績などを集計→トータル結果を評価。
- 連敗やDDが増えているEAがあれば原因を分析し、一時停止や設定変更を検討。
- 想定外のニュースで急変があったなら再度相場環境を見直し、翌日に備える。
4. 注意点:過剰分散と最適化の罠
- EAを増やしすぎると管理しきれない
- 10個、20個のEAを同時に回すと、合計ロットやDDが把握しにくくなる。
- 過剰に増やすより、相性の良い2~3個に絞る方がモニタリングが楽。
- 最適化の罠
- EAごとにバックテストを繰り返し、特定の期間に強すぎる調整をしすぎると、リアル相場で通用しない結果に。
- 補完関係を狙うつもりが、全EAが同じような環境でしか勝てない最適化に陥る可能性も。
- 裁量をオーバートレードしない
- EAがトレンドで勝っているとき、裁量が逆張りでエントリーを増やしすぎるなど、衝突が起きると損益が乱高下。
- ルールを決めて、EAのポジション状況を見ながら裁量を調整する必要がある。
5. まとめ & 今後のWEEK8展開
まとめ
- 複数EA・ロジックの運用メリット:相場環境の変化に強く、ドローダウンを安定化しやすい。
- 重要ポイント:合計リスク管理(相関、ロット上限)、各EAの成績を定期的にモニタリング、EAと裁量の連動をルール化。
- 注意:EAや手法を増やしすぎると管理が複雑化し、最適化の罠に陥りがち。数を絞り、モニタリングツールやダッシュボードを活用してシンプルに運用するのがコツ。
WEEK8の今後の流れ
- **DAY 54(本記事)**が、複数EA・ロジック運用のモニタリングに焦点を当てました。
- DAY 55–57を通じて、さらに年間計画や継続学習の仕組み、長期的なトレードライフ設計などを順次深めていく予定です。
- 最終的にDAY 58~60でこの学習コースの最終総括を行い、みなさんが“自分なりの完成形”を描くお手伝いをします。
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