第1回:およそ可能な限りの市場で素早く売買を行うことが戦略の基本~ジェームズ・シモンズ~
第1回:ジェームズ・シモンズ
『およそ可能な限りの市場で素早く売買を行っていることが戦略の基本』
そう言って、40歳の時に突如として学問の世界から引退をし、金融の世界に転身したトレーダーが、 1982年にヘッジファンドを立ち上げました。30年弱に渡り、平均40%のリターンと言う実績を残し (バフェットの運用実績は、53年間で約23%の平均リターン)
直近の年収は
- 2004年:6億7000万ドル
- 2005年:15億ドル
- 2006年:17億ドル
- 2007年:28億ドル
- 2008年:25億ドル
- 2009年:25億ドル
- 2011年:21億ドル
- 2012年:13億ドル
- 2013年:22億ドル
という実績を残しています。 このトレーダーの名前はジェームズ・シモンズ。
(引用元:https://commons.wikimedia.org/wiki/File%3AJames_Simons_2007.jpg)
彼はハーバード大、マサチューセッツ工科大の両校で数学教授にも就いた経歴の持ち主で、
立ち上げたファンドは金融のバックグラウンドのない
数学や物理学、情報理論、天文学の博士号取得者を大量に採用し、
複雑な計量モデルに基づいた取引をしていると言われています。
金融危機の嵐が吹き荒れた2008年に、
クオンタム・ファンドの創業者ジョージ・ソロス、
ジェームズ・シモンズ、
ポールソンのジョン・ポールソン、
ハービンジャー・キャピタルのフィリップ・ファルコン、
シタデルのケネス・グリフィン の5人が米議会で呼び出されています。 (引用元:http://blogs.wsj.com/deals/2008/11/13/hedge-funds-on-the-hill-live-blogging-the-hearings/)
ジェームズ・シモンズはその手法についてほとんど語ることはないのですが、
「およそ可能な限りの市場で素早く売買を行っていることが戦略の基本」 と言っていました。
こういうトレード集団がいるFXを始めとした投資の世界と「どう対峙しますか?」
その対峙方法を考えてみましょう。
■ゲリラ豪雨とローソク足の乱高下
ここ数年、晴れた時から急にゲリラ豪雨がやってくる時が増えたように、
ローソク足の乱高下が増えたと思いませんか?
何かあれば、1ドル100円を割るのですが、数時間後には1ドル102円。
ひどい時は、数分の間にダウ平均が1000ドル近く下落。
もしかしたらHFTのアルゴリズムが何かの条件に過剰に反応しているからかもしれません。
■HFTとは
HFTとは、ハイフリークエンシー・トレーディング(高頻度売買)の頭文字を取ったもので、
とても短い期間、例えば瞬きを1度する間に数千回トレードを行い大きな利益を上げる手法です。
シモンズが立ち上げたファンドもHFTを得意としていて、先ほどみたような実績をあげています。
実際にHFTを構築するには コロケーションシと呼ばれる、
取引所の近くにサーバーを設置し、少しでもレイテンシを小さくすることや、
ネットワークを始めとした、マシン、サーバーへのインフラ投資も重要です。
でも個人投資家がHFTシステムを取り入れるには、
う~ん…運用資金の規模からして現実的ではないですね。
■僕たち個人投資家のおかれた状況
先ほどHFTの解説でわかるように、
マーケットの世界では世界の頭脳を結集したアルゴリズム(計量モデル)をベースにした取引が 全取引の半分以上とも言われていて、個人投資家からしたら 世界有数の頭脳集団 VS あなた のような構図で、個人投資家は頭脳集団のトレードという大波にもみくちゃにされている状態です。 国や政府があなたを守るかと言うと、もちろんそんなことはなく、 自分たちのコントロール下に置きたいために為替介入することはありますが、 誰もあなたを特別に守ろうとは思っていません。 自分、もしくは有料無料で取り入れたシステムくらいです。
■ではどう対峙するか
誰も大した解決策を持っていません。だから脅威であり、個人投資家は負け続けています。
でもHFTに限ると、次の方向で戦略を考えると良いです。
→超高速取引の影響を無効化する
つまり、高速・短時間の取引から離れたトレードを行い、 ローソク足の乱高下を想定した損益設定を行う。
どのような戦略で相場に臨むにしても、
まさに戦場に出向くような状態であることを忘れないようにしましょう。
Is it OK?