株価上昇をけん引する投資家がいない 荒野浩氏
配信日:2017/03/04 10:00
最終投資家は売り越し
1月・2月の投資主体別の売買差額は下記の
ようになっています。
(月間売買差額、億円)
1月 2月
海外投資家 + 325 ▲2,567
個人 ▲3,569 0
(現金) ▲5,030 ▲2,568
(信用) +1,461 +2,568
法人 ▲2,010 ▲2,310
(信託銀) + 428 ▲1,747
(事法) + 45 +1,418
自己 +5,571 +4,885
(日銀・ETF) +5,624 +4,927
年初来保ち合い相場が続いていますが、その
理由が上記の需給関係からも明らかです。
個人の信用取引や自社株買いを中心とする事
業法人など買い越しを続けている投資家もいま
すが、大枠としての個人・国内法人という括り
では売り越しとなっています。10~12月の3か
月間、大幅に買い越した海外勢も売り越しに転
じています。
「買い手」は日銀のみ
大枠としては最終投資家すべてが売り越して
います。結果として、需給の調整弁の役割を果
たしているのは自己勘定です。自己勘定の買い
越し額は日銀のETF購入額とほぼ同額です。
ETF組成のための買いが現物市場での唯一の
買い越し主体ということになります。「日銀」
が株価を支える役割を果たしていることは明ら
かですが、株価下落時にしか行動しない日銀に
上値を追う勢いは期待できません。
上値を買い上がってくれる投資家としては海
外勢以外には存在しないということになります。
昨年海外勢が大幅に買い越した場面はすべてと
いっていいほど円安進展時です。
円安進展→海外勢の大幅買い越しという組み
合わせを待たなければ、株価が上値を追う勢い
は出てこないことになります。昨年海外勢は3
月まで5兆円強売り越した後、4月には買い越
しに転じています。
10~12月に現物と先物の合計で5兆円強買い
越した海外勢が3か月の休息を経て、4月ごろ
に再出動というシナリオはありうると考えられ
ると思います。
予想できないような事件でも起こらない限り
は底割れを心配する必要はないと思いますが、
上値を突き抜けるにはもう少し時間が必要なの
かもしれません。
よろしいですか?