イベントと株価の高値・安値のタイミング 荒野浩の『テクニカル・ルームから』
配信日:2016/08/29 08:21
定例のイベントで日本株の株価の動きに大きく
影響するのは日銀の金融政策決定会合とSQ(特
別清算指数)と米国雇用統計の3大イベントだと
思われます。9月にはこれらのイベントとの関連
で、株価も為替も値動きが大きくなる可能性があ
ります。今年に入ってからのこれらのイベントと
株価の高・安の時期を検証することによって、9
月相場の参考としたいと思います。
日銀金融政策決定会合と株価
株価は決定会合前に上昇し、会合後に下落する
パターンを繰り返しています。今回の会合はこれ
までの緩和政策の「総括的検証」を実施すること
になっており、今まで以上に会合の位置づけは重
いと考えられます。決定会合の2週前(9/05~
09)、1週前(9/12~16)の株価の戻り度合
いがポイントになります。
会合日
1/28・29
マイナス金利導入を決定
高値は翌営業日の2/01
その後2/12まで急落
3/14・15
高値は開催日の3/14
4/27・28
追加緩和期待で1週前の4/22高値まで
2週間で1,751円上昇。安値は翌週
6/15・16
世界中の関心事は英国の国民投票に集中。
決定会合が材料としては影が薄かった。
安値は翌週
7/28・29
前週の7/21高値まで8営業日で1,703
円上昇。安値は翌週。
決定会合に関しては例外なく、会合前に緩和
期待の思惑で上昇し、会合後は翌週に安値を付
けるなど下落に転じています。
特に大幅高を記録した4月と7月は海外投資
家が現物と先物を合わせれば、週間ベースで1
兆円前後の買い越しを記録していました。海外
投資家の売買動向を推定するのに有効な空売り
比率の動向をチェックしたいと思います。
SQと株価
下記のようにSQ日は株価の転換点です。
7月は安値で、8月は高値でした。9月はメ
ジャーSQで、上述した決定会合も控えてい
るだけに微妙ですが、米国雇用統計(9/02)
次第ではSQ(9/09)に向かって戻りを試
し、翌週も余熱での展開を期待するような動き
が考えられます。
SQ日
2/12 SQ当日が安値
3/11 翌営業日(3/14)が高値
4/08 2日前(4/06)が安値
5/13 1週前(5/06)が安値
6/10 (離脱決定の6/24まで下落)
7/08 SQ日が安値
8/12 SQ日が高値
英国国民投票の6月を除くと、SQ日前後が
株価騰落の転換点になっています。年初からの
空売り比率の平均が40%であることに象徴さ
れるように売り方が支配するマーケットが続い
ています。6回のうち、SQ日前後が安値であ
ったのが4回を占めています。ただし、SQ日
前後が安値であった場合は売り圧力もその時点
で一巡し、SQ後は株価が戻る展開となってい
ます。
米国雇用統計
非農業部門雇用者数が6月(7/08発表)、
7月(8/05発表)と2か月続けて予想を大きく
上回り、雇用の拡大を印象付けています。日本株
はそれぞれ、7/08,8/03を安値に戻りを試
す展開でした。
9/02発表の8月分は足元で盛り上がりつつ
ある米国利上げを決定的にする可能性があるだけ
に例月にもまして、データの価値は重いと思われ
ます。前2か月と同様に好調な結果が想定されて
いますが、その時の市場の反応は米国株安、ドル
高・円安が予想され、両者の綱引きになる日本株
の反応は微妙です。
材料としての価値は
「総括的検証」への思惑・期待が優位か
上記3大イベントで9月の相場は上下に振れる
可能性がありますが、材料としては日銀の「総括
的検証」への思惑・期待が9月に限っては優位で、
市場を動かす役割を果たすと予想されます。決定
会合前の2週間(9/05~9/16)で、間にSQ
を挟みますが、戻りを試す展開を現時点では考えて
います。ただし、長期の戻りということはなく、
今年に入ってからは決定会合の後は下げていると
いうデータも念頭に置きたいと思います。
よろしいですか?