WHOがパンデミック宣言 日経平均はメジャーSQ後に大きな戻しも想定される 3/12江守氏
江守哲のリアルトレーディング・ストラテジー
【2020年3月12日】WHOがハンデミック宣言
より一部抜粋
〔EQUITY & BOND MARKET〕
【米欧株式・債券市場の市況解説・分析】
ダウ平均は午前中から1000ドル超下落し、ほぼ全業種が売られる展開でした。産油国間の対立を背景にした原油安を受けたエネルギー関連株や、金利低下を嫌気した金融株の下げが大きくなっています。世界保健機関(WHO)が「パンデミック(世界的流行)」を表明すると、一段と下げ幅を広げました。前日には、米景気対策への期待感から1000ドル超上昇しており、その反動が出た側面もあります。このところ、1000ドルを超える上昇と下落を繰り返す極端な乱高下が続いています。英国やカナダ、日本など各国で財政出動の検討が進み、日米欧の中央銀行による追加緩和への期待は高まっている。ただし、後手に回っている印象があることや、株価の底がみえないため、対策が十分なのか市場は判断しかねているようです。
【米国株のトレード戦略】
米国株は再び大幅反落となりました。きわめて振幅の大きい、不安定な値動きです。投資家は今後の株価の方向を見いだせないようです。戻すと考えて買っても、戻りを売りたい投資家も多く、戻りが極めて鈍くなっています。将来の企業業績の改善を見込みにくい状況であり、投資家が買いを焦っていないことも戻りの鈍さにつながっている可能性がありそうです。新型コロナウイルスの感染拡大は想定以上であり、これが市場参加者を消極的にさせているといえます。WHOはいまさらパンデミック宣言を行っており、初動の誤りが様々な問題を引き起こしたことは否定できず、批判されるべきでしょうが、いまは前を見て、先を見て行動することを優先したいところです。
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繰り返すように、株価が反発しないのは、投資家が将来を不安視して買いを手控えていることにつきます。企業業績の先行きが見通せないのは仕方がないでしょう。ゴールドマン・サックスは11日、新型コロナウイルスの急速な感染拡大が企業利益に大きな打撃をもたらすことにより、S&P500が2月の高値から28%下落し、過去最長だった強気相場がまもなく終りを迎える可能性があるとの見方を示しています。そのうえで、S&P500が年央までに現値水準を15%下回る2450ポイントまで下落すると予想し、その後、第4四半期には3200ポイントに回復するとしています。また、S&P500の1株利益が前年比5%減になると想定。第2四半期と第3四半期での2桁減益が重石になるとしています。
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短期的な落ち込みは不可避であることは間違いないでしょう。しかし、いずれウイルスは死滅し、これを克服する時期が来るでしょう。来年にはコロナウイルスのことは忘れ去られている可能性があります。ここまで楽観的になるのは現時点では難しいでしょうが、結局は安いところを買えた投資家が最後には笑うことになります。何がきっかけで戻り始めるかはわかりません。底値を買うこともできません。しかし、過去の株価動向をみるまでもなく、米国株は必ずや戻していくでしょう。そう考えれば、将来の株価が今よりも安いことはないと考えています。すでに様々なデータをご紹介していますが、これらを見てもそれは実証されています。これ以上の説明はもはや不要でしょう。
ただし、リーマン・ショック級の下げになる可能性については、念頭に置いておきたいことがあります。それは、株安・債券安・金下落です。投資家が現金不足に陥り、債券や金などの安全資産を売る動きを強めることです。リーマン・ショックの際にはこの事象が起きました。財政出動で債券利回りが上昇することで、債券と金が売られやすくなる面もありますが、現金不足がこれらの売りにつながると考えるほうが無難でしょう。昨日はそのような動きがみられました。この動きには要注意です。
また、先日ご紹介した、S&P500が月曜日に1日で5%以上の下落となった際の値動きですが、1週間後に大きく下落していたのはリーマン・ショックの時だけです。つまり、来週月曜日にS&P500が9日の終値である安値である2746.56ポイントを下回った時には要注意です。このように、短期間で戻らない場合には、半年後に20%以上下げる可能性があります。それでも、当時から米国株は力強い動きになっています。回復するまでは相当の痛みを伴いますが、いずれ戻ります。一時的な下げを耐える資金があれば、最終的には何も問題はないということになります。
【日本株のトレード戦略】
日経平均先物は米国株の大幅反落で下げています。今日は厳しい動きになる可能性があります。ただし、円高がそれほど進んでいません。そのため、シカゴ市場では19000円台を維持しています。日銀のETFコストが19500円であり、買い支えの可能性を織り込んでいるのかもしれません。また、日経平均採用銘柄のBPSが2万円を超えています。売り込みにくいことも下げ渋りの背景にあるのかもしれません。
2月下旬以降の株価の下げ足が速かったこともありため、何もなくても株価が自然に戻る「自律反発」の動きが出やすい状態です。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に収束のめどが立たず、投資家心理は冷え切っており、自律反発狙いの買いも入りにくくなっているもようです。各国は金融緩和に加えて減税など財政面での経済対策も打ち出し始めているものの、ウイルス感染が落ち着かないと投資家心理は改善しないとの見方が多いようです。
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