RSI合計は来週央以降のテクニカル反発を示唆 井上哲男氏
注目されたFOMCが終わった。政策金利であるFFレート誘導目標を、事実上のゼロ金利(下限)に据え置くことを決定したが、声明において、フォワード・ガイダンス(政策指針)の変更が示され、パウエル議長はFOMC後の記者会見で、この変更について「長期的に我々の目標を達成するための強い約束(意思?)を明確にした」と述べた。
(この変更によって)ゼロ金利を解除する3つの条件として示されたのが、(1)FOMCが完全雇用とみる水準まで労働市場が回復すること、(2)物価上昇率が2%に達すること、(3)一時的に物価上昇率が2%を緩やかに上回るパス(経路)に到達すること。
また、FRBによる米国債の買い入れについても、現在の月800億ドルのペースでの(買い入れ)継続方針を維持したが、3月にこのQE(量的金融緩和)を再開したときに述べた「新型コロナウィルスでマーケットが混乱しており、この機能を正常化するため」という目的に加えて、今回は「(このQEを続けることで)家計と企業への信用(お金のこと)の流れをサポートする」と景気に配慮した理由を加えた。
今回のFOMCでは、FRBが3カ月ごとに発表している「金融政策および景気見通し」の期間に、2023年までの見通しが加わったことから、それが注目されたが、2023年末の政策金利は17人のメンバーのうち13人が現状維持(見通し)としており、緩和政策の長期化が示唆された形であり、景気見通しにおいて、同じ2023年末に物価上昇率が2.0%の目標の準に達することから、「2023年末までのゼロ金利継続(がFRBのコンセンサス)」という結論でニュース等には結果が流れている。
因みに2012年から2014年にかけて採用された、「物価上昇率と失業率」に明確な基準を設けることを意図した、いわゆる「エバンズ・ルール」についての言及はなく、自ら失業率(FRBはこの部分についても、日本の中央銀行と違い「責任」がある)を4.0%にまで持っていく時間軸の制限をかけることは行わなかったが、現在の長期見通しは4.1%であり、2023年末にはこの水準を達成する見通しとなっている。つまり、2023年末に全て正常化な状態になるということだ。
この決定を受けて、米国株式市場において、ダウ平均の上昇幅が一時300ドルを超えたが、結局、NASDAQ市場でのハイテク株利食いの動きが止まらず、取引終了にかけて(ダウも)急速に伸び悩んだ。しかし、(ダウが)36.78ドル上昇したのに対して、ここもと追っている5銘柄の寄与は、ハネウェル・インターのみ11ドルの上昇寄与であるが、残りの4銘柄は合計で58ドルの下げ寄与、つまり、5銘柄で47ドルの下げ寄与であったことを考えると、指数(ダウ)としてはよくプラス圏を維持したなという印象を持つ。
昨日グラフを添付したRSI合計であるが、(いち早く底入れした)日経平均の昨日の値は110.45%。一昨日はその前日よりも0.44%下落したことを伝えたが、昨日は前日比+1.01%となっており、9/10の108.47%がやはり底であったことを確認した形となったが、ダウについては、今朝時点で、指数そのものは上記のとおりプラスとなったものの、RSI合計の値は98.96%と、前日よりも3.48%も低下して、100%を割り込んだ。もし、このままダウの水準が毎日変わらないとしたらの前提で底入れ日を試算すると、来週の後半、水曜日から金曜日辺りに底打ちを果たす予定で、そのときの値は85%近辺と、「80%の法定速度外の入り口」に極めて近いものとなる。そろそろだ。
よろしいですか?