ドル円:7月10日のシナリオ立て『阪谷直人 実戦トレード』より
「ドル円:7月10日のシナリオ立て」
テーマ:米雇用統計を乗り切り、
ドル円はもう一段の高みへ。
昨日7月7日、米6月雇用統計が発表されました。
1.6月非農業部門雇用者数(NFP)は、+22.2万人
(予想+17.8万人、
5月分は+13.8万人から+15.2万人へ)
2.6月平均時給は、前年比+2.5%
(予想+2.6%、5月分は+2.5%から+2.4%へ)
3.6月失業率は、4.4%(予想4.3%、5月分は4.3%)
ポイントは、
1. NFPが前月比+22.2万人と、
予想の+17.8万人を上回り、2月来で最大で、
しかも4月と5月の2ヶ月分で、
47000人上方修正されたという、これは良い点です。
2. FRBが注視している賃金の伸びが強くない事。
6月平均時給は前年比+2.5%と、
5月+2.4%から上昇したものの予想の+2.6%を下回り、
これは良くない点です。
これらを受けての市場の反応は、
1. 米10年債利回りは、
予想を下回った賃金の伸びを受け
一旦2.38%から2.36%へ低下し、
その後再び上昇に転じ2.39%で引け。
2. 米国株は、NYダウが前日比94.30ドル高の
21414.34ドル、ハイテク株の比率が高い
ナスダック指数も反発し前日比63.61ポイント高の
6153.08で引け。
3. ドル円は、発表前高値113.87から
一時113.50へ反落後、114.18まで上伸。
最終的な市場の理解は、
NFPの伸びが今回予想外に20万人を上回る
ポジティブ・サプライズとなった一方で、
賃金の伸びが予想を下回り強弱まちまちでしたが、
年内あと1回の米利上げ、
かつ早くて9月FOMCでのテーパリング
(保有資産縮小)開始の期待を
否定するものではなかった、というものでした。
その意味では
来週12日に下院、翌13日に上院で行う
イエレン議長の半年に1度の議会証言と、
インフレ率に関しては、
13日のPPI、14日のCPIに要注目です。
イエレン議長とFOMCは予てより、
米労働市場はほぼ完全雇用に近づいていて、
インフレ率も目標の2%に向かいつつあり、
穏やかな利上げの継続と、
現行4兆ドル規模の保有資産の
緩やかな縮小を年内にも開始する
と明示しています。
一方で本邦日銀は、
黒田総裁が「目標2%達成まで頑張る」
と2013年2月に就任して以来ぶれていません。
その任期は2018年4月まであるので、
少なくともそれ迄は日銀の現行の
金融緩和姿勢に変化はないはずです。
つまり金融緩和の一環として
10年物日本国債の金利をゼロ%程度に誘導する
政策を継続するという事です。
足元での世界的な金利上昇を受け
(米10年債利回りは2.10%台から
2.39%へ0.3%上昇)、
日本の債券利回り
(10年JGBで0%から0.1%へ0.1%上昇)も急伸。
米金利が0.3%も上昇しているのに、
円金利も上昇したとはいえ
その1/3のわずかに0.1%なのです。
しかも日銀は7日、金利の抑制を目指し、
臨時の国債買い入れと、
定例の国債買い入れの増額を同時に実施して
円金利の上昇を抑えています。
これでは、米と日本の金利差は、
今後ますます拡大する一方でしょう。
そこにファンド筋の円キャリーの動きが
加わっている事で、
円安が一段と進む可能性が高いと想定します
「今日のトレードシナリオです」
今日:2017年7月10日
通貨ペア:ドル円
投稿時水準:114.05
相場実線が先行スパンの抵抗帯をも回復して
「カイの時代」が継続です。
4月17日安値108.12と5月10日高値114.37
より狭く言えば
6月14日安値108.80と5月10日高値114.37
に上下を挟まれた
もみ合いの中間波動のままなので
引続き上値目途は、5月10日高値114.37
もしくは3月10日高値115.50。
なので
1.2.5月10日高値114.37
2.4月17日安値108.12から始まる上げの
基本波動のN値115.04
3.3月10日高値115.50
の各値を
上値目途とします。
よろしいですか?