米国債利回り低下はあくまで一過性|これからの外国為替相場の行方 139回(2021.07.12更新)
日本で唯一のFX専門誌『FX攻略.com』で130回を超える人気連載だった「これからの外国為替相場の行方」。Webでも変わらず経済アナリスト・田嶋智太郎さんに、日々動き続けている相場が今後どのように動いていくと予測しているのかを教えていただきます。
田嶋智太郎氏プロフィール
たじま・ともたろう。経済アナリスト。アルフィナンツ代表取締役。1964年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJ証券勤務を経て転身。主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、ひいては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究する。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ150回前後。週刊現代「ネットトレードの掟」、イグザミナ「マネーマエストロ養成講座」など、活字メディアの連載執筆、コメント掲載多数。また、数多のWEBサイトで株式、外国為替等のコラム執筆を担当し、株式・外為ストラテジストとしても高い評価を得ている。自由国民社「現代用語の基礎知識」のホームエコノミー欄も執筆担当。テレビ(テレビ朝日「やじうまプラス」、BS朝日「サンデーオンライン」)やラジオ(毎日放送「鋭ちゃんのあさいちラジオ」)などのレギュラー出演を経て、現在は日経CNBC「マーケットラップ」、ダイワ・証券情報TV「エコノミ☆マルシェ」などのレギュラーコメンテータを務める。主なDVDは「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX入門」「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX実践テクニカル分析編」。主な著書は『財産見直しマニュアル』(ぱる出版)、『FXチャート「儲け」の方程式』(アルケミックス)、『なぜFXで資産リッチになれるのか?』(テクスト)など多数。最新刊は『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)。
足元の米国債利回り低下はあくまで一過性
先週8日、米10年債利回りが一時1.24%台まで低下したことを受けて、市場は一時的にも大いに動揺した。その原因として「変異種のデルタ株が世界的に拡散していることで、景気の先行きに対する警戒感が強まっているため」との声が市場の一部で聞かれていたが、そうした見方を鵜呑みにすることには慎重であらねばなるまい。
より大きな原因は「米金利の再上昇に備えて米国債先物などでヘッジしていた向きが一斉にポジション(持ち高)を解消したこと」であると見ていいだろう。思えば、6月のFOMC後に一旦急低下した米10年債利回りについて「ほどなく再上昇する」と想定していた向きは少なくなかった。しかし、その後もなかなか浮上してこないので、シビレを切らして米国債を一旦買い戻したというわけである。つまり、今回の米10年債利回りの低下はあくまで一過性のものであると考えるのが妥当であるということになる。
再びリスク選好ムードが広がる?
むろん、市場に一時的に広まったリスク回避ムードというのも、ほどなく後退して行くものと見ていいだろう。その実、先週9日の日経平均株価は前日比で一時700円近くも下げる場面があったものの、最終的には177円安に留まることとなった。まして、同日のNYダウ平均は終値ベースで史上最高値を更新している。さらに——
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