再びリスク選好ムードでドル円の展開は?|これからの外国為替相場の行方 140回(2021.07.26更新)
日本で唯一のFX専門誌『FX攻略.com』で130回を超える人気連載だった「これからの外国為替相場の行方」。Webでも変わらず経済アナリスト・田嶋智太郎さんに、日々動き続けている相場が今後どのように動いていくと予測しているのかを教えていただきます。
田嶋智太郎氏プロフィール
たじま・ともたろう。経済アナリスト。アルフィナンツ代表取締役。1964年東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJ証券勤務を経て転身。主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、ひいては個人の資産形成、資金運用まで幅広い範囲を分析・研究する。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等の講師を務め、年間の講演回数はおよそ150回前後。週刊現代「ネットトレードの掟」、イグザミナ「マネーマエストロ養成講座」など、活字メディアの連載執筆、コメント掲載多数。また、数多のWEBサイトで株式、外国為替等のコラム執筆を担当し、株式・外為ストラテジストとしても高い評価を得ている。自由国民社「現代用語の基礎知識」のホームエコノミー欄も執筆担当。テレビ(テレビ朝日「やじうまプラス」、BS朝日「サンデーオンライン」)やラジオ(毎日放送「鋭ちゃんのあさいちラジオ」)などのレギュラー出演を経て、現在は日経CNBC「マーケットラップ」、ダイワ・証券情報TV「エコノミ☆マルシェ」などのレギュラーコメンテータを務める。主なDVDは「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX入門」「超わかりやすい。田嶋智太郎のFX実践テクニカル分析編」。主な著書は『財産見直しマニュアル』(ぱる出版)、『FXチャート「儲け」の方程式』(アルケミックス)、『なぜFXで資産リッチになれるのか?』(テクスト)など多数。最新刊は『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)。
リスク選好ムードが戻ってドル/円も戻りを試す展開へ
先週19日、米10年債利回りが一時1.17%まで低下した。これは、足元の米国の景気実態に照らして、明らかに下げ過ぎと言える。米国では、今夏の旅行関係支出がコロナ前の2019年の同時期に比べて5割増加すると見られている。人気のハワイ州では、マウイ市長が「(旅行予約受付の)一旦停止が必要」と頭を抱える。また、英国では19日に大半の行動規制が解除された。こうしてみると、やはり米国債利回りの一時的な低下は「先物などで米国債を売りヘッジしていた向きの買い戻し」という単にテクニカルな要因に基づくと見るのが妥当だろう。
19日にはNYダウ平均が一時900ドル超の下げを演じ、市場では「デルタ株の感染再拡大で景気回復ペースへの懸念が強まっている」などといった声も聞かれていたが、それは苦し紛れの後付け講釈に過ぎないと思われた。もはや、ワクチンも治療薬もロクに手当てできなかった頃とは状況が大きく異なる。実際、21日には米10年債利回りが一時1.3%台を回復する動きとなり、NYダウ平均も週末にかけて再び史上最高値を塗り替えている。
市場の一部には「米国の景気回復はすでにピークを過ぎた」などと宣う向きもある。その裏付けとして——
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