【10月23日のトレード戦略】「歴史的大相場」へ ~江守哲のリアルトレーディング・ストラテジー~
江守哲のリアルトレーディング・ストラテジー 2017年10月23日 08時00分
配信者:ECM
おはようございます。
本日もよろしくお願いいたします。
日米株とも大きな動きになってきました。
これまでの戦略は上手くいっていますが、短期間でかなり上げてきています。
長期的な見方は変わりませんが、注意しながら見ていくようにしましょう。
〔EQUITY MARKET〕
【米国株・欧米債券市場の市況解説・分析】
米国株は続伸。トランプ政権による税制改革への期待から買われ、ダウ平均は5日連続で過去最高値を更新し、ナスダック総合指数も2日ぶりに最高値を更新。S&P500も同様に最高値を更新した。米上院は18年度(17年10月~18年9月)予算の大枠を定めた予算決議案を賛成多数で可決した。27年度までの10年間に最大1兆5000億ドルの減税を容認する内容となった。トランプ政権が目指す大幅減税を柱とした税制改革の実現に向けて前進したことで、投資家のリスク選好意欲が強まった。米企業の7~9月期決算の発表で、堅調な
企業業績も買い安心感につながっている。トムソン・ロイターによると、主要500社で既に決算を発表した88社 のうち、7割超の企業で純利益が市場予想を上回ったもよう。北朝鮮問題などの地政学的リスクが低下する中、好調な企業業績は株価を押し上げる材料になるだろう。
9月の中古住宅販売件数は年換算で539万戸と、前月比0.7%増、前年同月比1.5%減だった。一戸建て住宅が前月比1.1%増の479万戸、集合住宅が前月比1.6%減の60万戸。 販売価格の中央値は前年同月比4.2%増の24万5100ドル。9月末の在庫は190万戸と前月比1.6%増加、販売ペースで4.2カ月分だった。
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)によると、18日までの週の米国株ファンドに75億ドルが流入したという。一方で、があったが、日本株は44億ドルの出超で、過去最大の流出となった。うち86%がETFの買い戻し関連だったという。衆院選を控えて市場は利益確定を進めたもようである。株式ファンドは世界全体では88億ドルの流入で、欧州株は11億ドル、新興国市場は18億ドルの流入だった。債券ファンドは58億ドルの流入で、うち36億ドルがアクティブファンド、22億ドルがパッシブファンドだった。うち低
利回りの国債・政府債ファンドは10億ドルの出超で、5週連続の流出だった。また、リスク選好がすすんだことから、貴金属ファンドは4億ドルの出超となり、12週間ぶりの大幅な流出となった。
イエレンFRB議長は前日に引き続いてホワイトハウスを訪問。イエレン議長は19日に次期議長人事に関してトランプ大統領と面会したばかりだが、この日はイエレン議長がトランプ大統領とコーン国家経済会議(NEC)委員長と昼食をともにするために訪問したようである。一方、トランプ大統領はテレビとのインタビューで、次期FRB議長人事に関して、イエレン議長、パウエル理事、テイラー・スタンフォード大教授が有力候補者だと明らかにした。また、空席の副議長ポストの同時指名も検討しているとしている。トランプ大統領は、議長候
補がパウエル、テイラー両氏の2人に絞り込まれたとの観測が出ていることについて、「イエレン議長が好きだ。大好きだ」と強調したもよう。来年2月に任期満了となるイエレン議長の続投を指名する可能性もあると示唆している。次期議長はトランプ大統領がアジア歴訪に出発する11月3日までに発表される見通しである。
議長候補は、イエレン議長、パウエル理事、テイラー教授、ウォーシュ元FRB理事、コーンNEC委員長の5人で、トランプ大統領はすでに全員との面談を終え、選考は最終段階に入っているとされている。最終的にはイエレン氏またはパウエル氏になると考えられる。
一方、イエレンFRB議長はワシントンで講演し、「リーマン・ショック後に導入した異例の量的金融緩和策を再び導入する状況に直面する可能性が不快なほど高い」と警告したもよう。そのうえで、「景気に中立的な政策金利水準が以前より低くなっているため、ゼロ金利に戻る事態を想定すべきだ」とした。さらに、「国債などの資産購入を通じた量的緩和策など、政策金利の操作とは異なる非伝統的な金融政策は、米国の景気回復に役立った」と分析し、「インフレ率はFRBが物価安定目標としている2%に2、3年で達するとみられる」とした。
一方で、「景気を刺激したり抑制したりしない中立的な政策金利の水準は、過去に比べて極めて低い」とし、「景気刺激のために利下げする余地が以前よりも少ない」と警戒感を示した。そのうえで、「金融危機時ほどの深刻な景気後退に至らなくても、ゼロ金利政策の導入に迫られる可能性がある」と警告し、「量的緩和、フォワードガイダンス、超過準備への付利といった非伝統的な政策の再導入に備える必要がある」としている。これは最近の株高が何かしらのバブルの可能性があり、これが崩壊した時のことを念頭に話している可能性が高いといえ
る。これは、以前にグリーンスパン元FRB議長がハイテクバブルの中盤から後半に入る際に行った発言と同質のものであるといえる。FRB議長がこのような懸念を示すのは、立場的に十分に理解できるが、当時との違いは企業業績に対する株価の割高感である。いまは当時ほど割高ではないことを理解できていれば、このような懸念を示す発言にも冷静に対処できるだろう。最終的にはバブルが崩壊して株高基調は終了するわけだが、それが今かと問われれば、そのような水準に到達したとはとても言えないだろう。
米国債は利回りが上昇。上院が18会計年度予算の大枠となる予算決議案を可決したことを受けて、連邦債務の増大やインフレ高進への懸念から国債が売られた。2年債の利回りは1.580%と約9年ぶりの水準に上昇した。10年債利回りは2.392%と、2週間ぶりの水準に上昇。2年債利回りの上昇は、減税により経済成長が加速し、利上げペースが速まるとの観測は反映されているといえる。一方、決議案の可決で上院共和党が単独で、税制改革法案を通過させる環境が整った。予算決議が認める減税を実施すれば、今後10年間で財政赤字が
最大で1兆5000億ドル拡大することになることも、金利上昇につながっているといえる。しかし、これは最終的にはドル安材料になる。一方で、次期FRB議長の候補者の動きも債券売りにつながった可能性が指摘されている。一方、英国のEU離脱交渉やスペイン・カタルーニャ自治州の独立問題もあり、安全資産とされる米国債に対する売りは限定となっている。一方で、次期FRB議長人事の動向も今後の金利動向に影響するだろう。18年のFOMC投票権を持つクリーブランド連銀のメスター総裁は、「緩やかな利上げ路線が適切」との見解
を表明した。また「他のFRB高官よりも幾分強い経済成長を予想している」として、「引き上げペースはやや加速させることが望ましい」ともしている。法則に沿った金融政策を目指すことについては、「採用した法則は、経済構造を踏まえて修正される必要がある」と指摘し、「体系的で、FRBがこれまで規則的に見てきたような情報を点検し、政策の戦略をまとめ、裁量余地の少ないことは良い考えである」との見解を示した。来年は利上げペースが速まることになるかもしれない。
ユーロ圏債券市場では、利回りが上昇。米国債利回りの上昇に追随した格好である。ドイツ10年債利回りが一時6BP強上昇の0.46%前後となり、1週間ぶり高水準をつけた。一方、緩和縮小に対するECBの慎重姿勢が意識される一方、米国の利上げ観測や財政政策の景気押し上げ期待が広がっているもよう。一方、オーストリア中央銀行のノボトニー総裁は、ECBが来週に資産買い入れの縮小を決定する可能性が高いとの見方を表明したが、「急ブレーキを踏むのは危険」ともしており、結果的に身長は判断が下ることになりそうである。一方
、米国とドイツの2年債利回りスプレッド約17年ぶりの高水準付近で推移した。
【米国株のトレード戦略】
ダウ平均、S&P500、ナスダック指数はロングを継続。基本方針は変わらない。ここまで強いと、イエレン議長が懸念する気持ちもわからないではない。いずれ、懸念が現実のものになり、株価は下げるだろう。ハイテクバブルの時もそうだった。しかし、懸念が示されてから、2年から3年は上昇する。ここがポイントである。懸念が示されてからが本番である。ここからバブルに向かい、それが破裂するのである。それにはまだ相当の道のりがあるだろう。現状は主要国の経済成長が重なる「世界同時成長」の時代である。世界的な株高の動きがよ
うやく始まったのである。それをけん引するのが米国である。日本もようやくそれに加わろうとしている。これからである。不安であれば、山の頂上に上るバスから降りればよいだろう。一度降りれば、二度と乗れないかもしれない。バスは戻ってきてくれないかもしれない。片道切符かもしれない。しかし、頂上ではそうだろう。途中で降りれば、下りのバスはある。天井で売ろうとして欲をかき、頂上まで行ってしまえば、崖の反対側に落ちて終わりである。途中で降りれば、下りのバスが待ってくれている。その下りのバスにいつどのタイミングで乗
るか、である。そのタイミングは、2-10年債の利回りスプレッドが教えてくれる。これがフラット化すれば、徐々に下りのバスに乗る準備をすればよい。それまでには、相当の余裕がある。いまの時点では心配はいらない。したがって、いまは長期的な視点を維持し、数年後の展開までを視野に入れて市場動向を見ていくようにしたい。そのうえで、変化の兆しがあれば、その時点で再点検していけばよいだろう。発表が佳境にある第3四半期の米企業決算は堅調な業績が相次いでいる。トムソン・ロイターによると、7~9月期の主要企業の純利益は
前年同期比4%増の見込みとなっている。業績も予想を超える企業が多い。株価上昇の裏付けも十分である。何も問題はないだろう。
繰り返しだが、国際通貨基金(IMF)は、今年はロシアやブラジル、アルゼンチンがマイナス成長から脱するとしており、そうなると7年ぶりに日米欧と新興国を含むG20全てでプラス成長になる。景気が弱過ぎも強過ぎもせず、緩やかな株高・債券高が続く「ゴルディロックス(適温)相場」が続いているが、このようなときの不安材料はやはり欧米での拙速な利上げである。FRBは保有資産の圧縮を開始し、ECBも26日の理事会で来年からの資産の買い入れ額の減額を決める見通しである。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの機関投資
家調査でも、投資家は今後の最大のリスクとして「FRBとECBの金融政策の誤り」としている。拙速な引き締めは株価下落に直結し、市場に混乱をもたらすだけである。市場も含め、12月の米利上げを織り込んでいるようだが、インフレ率が上昇していない中での利上げに市場は対処できるのだろうか。2年債利回りが上昇しており、利上げの根拠が全くないとは言えないが、それでもインフレ率の低迷の中で利上げを実施すれば、これまでの政策運営との齟齬が出るだろう。市場の信頼を維持できるのかきわめて疑問である。株価の高値維持も考慮
すれば、拙速な利上げは避けるべきである。それによって、バブルが発生するとは思えない。株価は企業業績から見たバリュエーションでは、今の株価水準は割高とはいえないだろう。ただし、ダウ平均は10月の強気シナリオの上限を突破し、さらに今年のレンジ上限にまで上げている。強すぎる感があるのも確かである。
繰り返すように、今年のナスダック指数も年末まで2割程度の上昇が期待できるパターンにある。10月開始のFRBによる資産圧縮が市場に大きな影響を与えなければ、さらに株高基調は強化されるだろう。PERはバブル期に比べるといまだに半分以下である。本当のバブルの水準に近づく過程では、株価は急騰し、割高になる。市場で割高といわれるようになってから、2年から3年程度株価は上昇するだろう。そして、本当のバブルになる。真のバブル発生はこれからであり、まだ始まったばかりである。まずは、2019年から2020年までの
ハイテク株主導での上昇相場を確認したい。ナスダック指数は現状から2倍から2.5倍程度になると考えている。
重要なことは、過去のデータと現在の市場状況を見ながら、「長期的視点に基づいた再現性のある投資戦略」を構築することである。目先の材料で判断しているうちは、良い結果は得られない。米国株は上昇し始めると17年間はそのトレンドが続く傾向がある。今回の上昇トレンド入りは2012年であり、まずはここから8年間上昇し、2019年にピークをつける可能性がある。そこでいったん調整し、再び9年間の上昇に入り、これが2028年から29年まで続くことになるだろう。ダウ平均の年率騰落率は平均で8.75%であり、このペース
で上昇すれば、2029年には58800ドルになる計算である。「ダウ平均6万ドル」に向けた歴史的大相場が始まっているという意識を持って市場を見ていきたい。米国株投資で10年以上保有できれば、最低でも2倍のリターンは確保できるのが過去の実績である。このようなリターンを得ることができるのが米国株の特徴である。米国株を長期的に見ながら、押し目を着実に拾っていくのが株式投資の王道である。とにかく、米国株は手放さずに、辛抱強く保有していれば、大きな果実を得ることができるだろう。
【ダウ平均株価:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ19310ドル~23185ドル(17年末22870ドル)/弱気シナリオ16050ドル~20195ドル(17年末17850ドル)
【ダウ平均株価:10月の想定レンジ】
強気シナリオ21395ドル~22800ドル/弱気シナリオ16830ドル~18350ドル
【S&P500:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ2182~2660(17年末2627)/弱気シナリオ1823~2302(17年末1987)
【S&P500:10月の想定レンジ】
強気シナリオ2460~2605/弱気シナリオ1823~2078
【ナスダック指数:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ5228~6858(17年末6762)/弱気シナリオ3911~5748(17年末4301)
【ナスダック指数:10月の想定レンジ】
強気シナリオ5987~6528/弱気シナリオ3911~4873
【米国債トレード戦略】
10年債はショートを継続。金利の低下余地は乏しいことと、米国株のヘッジである。
【日本株の市況解説・分析】
昨日の日経平均は上昇。14連騰となった。57年ぶりとのことである。当時と今と比較するメディアもあるようだが、環境はかなり違っている。とはいえ、14連騰である。中身はどうであれ、すごい相場であることだけは間違いない。何かが変わったと考えるべきであろう。今の上昇を支えているのは、外国人投資家である。ここ数週間で大幅な買い越しとなっている。一方の日本勢は個人や年金は売り越しである。本当のバブルにまで発展するには、個人投資家や年金を含めた「全員参加型」の相場になる必要がある。そこに行くには、まだ相当の距
離があるだろう。目先は高値警戒感があるものの、週明けから本格化する主要企業の9月中間決算発表を控えており、業績期待を支えに底堅い展開が続くだろう。22日投開票の衆院選は自公圧勝。市場はひとまず安心するだろう。しかし、これで材料出尽くしとなり、15連騰はならないかもしれない。それは目先のことである。外国人投資家はまだ買い遅れている。与党の過半数議席獲得や良好な決算内容への期待を背景に、過熱感を抱えながらも過去最長の連騰記録を超えるようだと、さすがに売り手の個人投資家も買いに回る可能性があるだろう。
そうなれば、大きなうねりに発展するだろう。
【日経平均先物のトレード戦略】
ロングを継続。衆院選の結果を受けて、上昇で始まるだろう。もっとも、今日で15連騰となれば、史上初である。そうなれば、これは株を買わないといけないということになる。報道も過熱するだろう。今回はそれでよい。歴史が変わろうとしているのだから、早く参加したもの勝ちだろう。とにかく、この数年で株式投資を始めたような多くの投資家が見たことがない株価水準であり、上昇の勢いである。これまでのように、「上げてもどうせ下げるだろう」という悲観的な考えでは、この歴史的上昇相場に乗れないまま、あと数年間、指をくわえて過
ごすことになるだろう。今起きていることは、これまでの日本株の「情けない動き」からの脱却である。とにかく、いまはなぜか証券業界自身が疑心暗鬼である。昔のように、上げるとすぐに強気になる向きも、いまは絶対的に少なくなっている。むしろ、これまで何度も騙されてきたことから、警戒心だけは強くなっている。また、コンプライアンスの問題もあるだろう。以前のように、強気で株を買わせ、下げたらごめんなさいではすまされない状況である。したがって、腰が引けてしまっている。中途半端な時に強気で、重要な時に乗り遅れる。最悪
である。このようなやり方や考え方がしみ込んでしまっている以上、日本の投資家主導での株価上昇はまだかなり先になりそうである。その間に、外国人投資家は安いところをせっせと買い上げ、たっぷりとポジションを仕込むだろう。日本の投資家が出てくるのは、もしかすると外国人投資家が十分に買い終わってからになるかもしれない。そうなれば、どのような結末を迎えるかは目に見えている。資産バブル期には、実際にはバブルが崩壊していた時でさえ、一般の人が株価や株式投資について語っていた。しかし、いまはかなり質が違う。ネットの
世界で、様々な情報を得ながら、プロまがいの個人投資家も数多くいる。しかし、それはやはりごく一部である。日本人の多くが絶対数として株式市場に参加し、実際に投資をするまでは、まだまだ終わりとは言えない。その意味では、まだ何も始まっていないといっても良いかもしれない。
まだ買い遅れている投資家が多い。割高に買われるまでは、上昇は許容範囲である。大型株中心に買われているうちは、まだ相場は若い。部色の対象が中小型に移るまでは、心配はいらない。物色が広がり、株価全体が上がってくれば本物である。海外投資家の大口買いが主導しているうちは、まだ始まったばかりである。日本の個人投資家からやれやれの売りが出ているうちは、初動である。短期的にはいつ下げてもおかしくないが、基本は押し目買いであり、下げたところは逃さずに買い増していきたい。日経平均のポジションだけでも買い余力は十分
にあるだろう。もちろん、上げ続ける相場はない。上げて、休んで、また上げる。これが基本である。とにかく、企業業績対比で上昇余地があるかどうか次第である。第3四半期の業績はよさそうである。割高な水準になるまで保有するのが基本だが、天井で売ることはできないし、底値で買うことはできない。しかし、割高になったと判断すれば、ある程度のところでは売却できる。そうすべきである。しかし、それはいまではないだろう。とにかく、割高なものを買わなければ、いずれは値を戻していく。いまは先物主体に取引する海外勢およびヘッジ
ファンドの買いが主体であり、一方向に動きやすい。昨年のトランプ相場のときと同様である。いずれにしても、海外からきわめて強い買い圧力が掛かり始めている。衆院選の結果に対する楽観的な見方も支援材料である。外国勢は政治の変化を嫌がることはよく知られている。海外ではアベノミクスはある程度評価されている。現政権の継続は買い継続につながりやすい。これで企業業績が堅調であれば、上昇基調が肯定される。割高感もなく、年末23000円到達のシナリオ通りが現実のものになるのだろう。一歩引いてみれば、このような見方にな
る。
ところで、全く違う話になるが、東京大学出身の研究者らが日銀の金融政策決定会合後に開催される黒田総裁の記者会見の映像を、人工知能(AI)モデルを使って分析したという。そして、黒田総裁の表情と金融政策の変更との間に相関関係を確認したとしている。これは世界初の試みとされており、将来的に日銀が次の会合で金融政策を変更するかどうかの予測に応用できる可能性があるとみられている。これは非常に興味深い報道である。研究は東大大学院の新領域創成科学研究科で学んだ水門善之氏(野村證券金融経済研究所)と勇大地氏(米マイ
クロソフト)で、論文の主執筆者である水門氏が東京大学で開催された人工知能学会(JSAI)の金融情報学研究会で発表したという。同研究では、インターネット上に公開されている日銀金融政策決定会合後の総裁記者会見の映像を、0.5秒ごとにスクリーンショット撮影して作成した画像データを分析対象としたようである。それをマイクロソフトが開発した感情認識アルゴリズム「エモーションAPI」を用いて、喜び、中立、怒り、驚き、嫌悪感、軽蔑、悲しみ、恐怖の8つに分類される感情のスコアを計測し、人間では正確に計測できないよ
うな細かい変化をスコア化したという。今回の研究では、会見中の黒田総裁の感情スコアの総合計に占める各感情スコアの割合を算出し、結果を解析した。全体的には「中立」の感情が大部分を占めたが、日銀が金融政策変更を発表した会合の1つ前と直後の記者会見で「怒り」、「嫌悪」、「悲しみ」の感情スコアに特徴的な変化が確認できたという。そして、政策変更前は「怒り」と「嫌悪」が上昇し、変更後は「悲しみ」が低下していたという。解析対象となった期間は15年10月から17年1月で、金融政策変更は2回だった。昨年1月のマイナ
ス金利政策、9月のイールドカーブ・コントロール(YCC)政策の導入である。このうち、それぞれその1回前の決定会合終了後に行われた記者会見では、「怒り」と「嫌悪」の感情スコアが顕著に上昇した。一方、それらの政策変更を決定した会合終了後の会見では、「悲しみ」のスコアが目に見えて低下したという。非常に面白い結果である。この研究結果がもっと早く出ていれば、黒田総裁流の「サプライズ演出」にも大きな影響があったであろう。これをぜひイエレンFRB議長やドラギECB総裁についても行ってほしいと思う。ちなみに、既
に運用会社から問い合わせが寄せられているという。この研究の価値が実証されれば、相当のニーズがあるだろう。金融だけでなく、スポーツにも応用できる。さまざまな広がりが期待できるといえる。これまではマクロデータを読み解いたり、金融当局が発表する声明を分析するしかなかった。その結果も担当した人間の考えに大きく左右されていた。これでは再現性は担保されない。その意味でも、今回発表された研究は相当利用価値が高いといえる。今後の進展に注目しておきたいところである。
ちなみに、日経平均先物だけでなく、「オプション取引」についても別のメルマガで助言している。下記にも案内がある「日経225オプション」のトレード戦略だが、今年のリターンは非常に良い結果となっている。ちなみに、10月限は25.6%、9月限は13.2%のリターンだった。8月限は小幅にマイナスとなったが、7月限のオプションは26%のリターン、6月限は11%、5月限は17.2%、4月限は11.1%、3月限は15.3%、2月限は23.4%、1月限は25.2%のリターンと、安定して収益が出ている。これで今年の
リターンはすでに100%を大幅に上回っている。このような比較的大きなリターンを短期間で得ることを目指すオプション取引は、上手くいけば効率よく収益を上げることができる。オプション取引は非常に魅力的な戦略であり、理論を一度覚えてしまえば、永久に実戦に利用できる。もちろんリスクもあるが、そこにはリターンの源泉がある。ぜひ検討していただければと思う。
【日経平均株価:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ18335円~23400円(17年末23020円)/弱気シナリオ14970円~19915円(17年末15620円)
【日経平均株価:10月の想定レンジ】
強気シナリオ20870円~22500円/弱気シナリオ15160円~17160円
【TOPIX:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ1473~1860(17年末1833)/弱気シナリオ1215~1574(17年末1270)
【TOPIX:10月の想定レンジ】
強気シナリオ1680~1809/弱気シナリオ1235~1370
〔CURRENCY MARKET〕
ドル円は上昇。トランプ政権による税制改革への期待が高まったことから、113円台半ばに上昇した。米上院が前日に18年度(17年10月~18年9月)予算の大枠である予算決議案を僅差で可決したことが大きく影響した。トランプ政権の税制改革を実現する上で重要な予算決議が通ったことで、大型減税などの実現に向けて前進したとの見方が広がっており、これが投資家のリスク選好意欲を高めている。こうなると、安全資産である米国債に売りが出て金利が上昇するため、結果的にドルが買われて円が売られることになる。市場ではいまだに
「安全資産の円が売られた」との説明があるようだが、それは誤った考えであり、説明である。債券売りが活発になって米長期金利が上昇するからこそ、ドルが買われて、結果的に円が売られるのである。このロジックを理解しておかなければならない。一方、次期FRB議長人事に関する報道で、一時はドル売りが進む場面もあった。トランプ大統領の11月3日のアジア訪問前には決まる見通しだが、それまでは報道内容に翻弄されることになるだろう。しかし、市場は米国で税制改革に向けた動きが進展すれば、財政の後押しにより米国経済の成長が
加速すると考えており、これをドル買いの材料にしている。しかし、過去の共和党政権下では財政収支の悪化はドル安につながっている。いまはまだよいが、いずれドル安圧力が強まるときが来るだろう。予算決議が認める減税が実施された場合、今後10年間で財政赤字は最大1兆5000億ドル拡大する可能性がある。結果的にこれがドル安を加速させる要因になるだろう。
【通貨トレード戦略】
ドル円は新規でロング。重要なポイントだった113.20円を超えており、一時的に上げていく可能性が高まっている。114円程度を目指す動きになっている可能性があり、まずはロングで様子をみたい。株価が連騰すれば、円安傾向が強まりやすい。一方で、利食い先行で下げるとおそらく一緒に下げるだろう。今のドル円は株価に左右されやすくなっている。この点には注意が必要である。また、再び113.20円を割り込めば、下向きの力が働くことになるだろう。下げると111.50円、111.20円、110.75円といった具合にサ
ポートを試すことになろう。あとは、ドル円の理論値である110円から離れ始めている点だけである。上げていくと、ますます遠ざかることになるため、警戒しながらのロングになる。
ユーロ円はロングを継続。上昇基調が続いており、134.41円の高値更新の可能性も出てきている。方針を変える必要はない。中期的なサポートである131.25円を維持しているうちは、ポジションを変える必要はない。基本は押し目買いであり、長期的には126.10円割れまでは押し目買いが有効である。
ユーロドルはロングを継続。ドル高で上値を抑えられているが、基調は維持されている。1.18ドルを割り込んだが、1.1650ドルを割り込むまでは問題ない。さらに言えば、1.1540ドル前後まで押せば、むしろ買いが有利である。基本はドル安であり、これを理解しておけば長期的にポジションを持つことができる。
ポンド円はショートを解消。上向きに転じている。長期期にはまだショート有利だが、短期的には直近高値を超えており、上昇余地もあるため、様子をみたい。長期的には152円を超えるまでは戻り売りが有効である。
ポンドドルはショートを維持。最初のターゲットである1.3150ドルを割り込んでから戻しており、反発に転じる可能性もある。これを割り込むとさらに1.3025ドルまで下げるだろうが、戻したことからいったん手仕舞いでもよいだろう。長期的には1.3775ドルを明確に超えるまではショートが有利である状況は変わらない。
豪ドル円はロングを継続。買われすぎではあるが、トレンドは上向きである。88.80円を超えると90円を目指すだろう。基本はロングであり、長期的には86円を維持していれば基調は上向きと判断できる。
豪ドル/米ドルは見送り。下げに転じている。0.79ドルを超えられないところをみると、いまは下げ圧力が強いようである。0.78ドルを割り込むと下げが大きくなりそうである。そこを確認してからショートを検討したい。長期的にも0.79ドルを超えるまではロングにはしたくないところである。
南アランド/円はショートを継続。ただし、ポイントとみていた8.25円で下げ止まって切り返しており、目先の下値を付けた可能性もある。トレンドはまだ下向きであり、8.35円を超えるまではショートを維持して様子を見たい。長期的にも8.5円を明確に超えるまでは戻り売り有利である。
【ドル円:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ115.25円~129.85円(17年末128.35円)/弱気シナリオ103.60円~118.75円(17年末104.70円)
【ドル円:10月の想定レンジ】
強気シナリオ123.05円~127.85円/弱気シナリオ103.74円~109.25円
【ユーロ円:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ119.80円~134.85円(17年末133.70円)/弱気シナリオ107.95円~124.75円(17年末109.65円)
【ユーロ円:10月の想定レンジ】
強気シナリオ122.85円~127.90円/弱気シナリオ108.65円~116.75円
【ユーロドル:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ1.0270ドル~1.1700ドル(17年末1.1550ドル)/弱気シナリオ0.9480ドル~1.0695ドル(17年末0.9730ドル)
【ユーロドル:10月の想定レンジ】
強気シナリオ1.0980ドル~1.1415ドル/弱気シナリオ0.9585ドル~1.0130ドル
【ポンド円:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ140.50円~156.25円(17年末154.20円)/弱気シナリオ125.65円~146.85円(17年末127.05円)
【ポンド円:10月の想定レンジ】
強気シナリオ143.60円~150.00円/弱気シナリオ127.60円~137.50円
【ポンドドル:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ1.2080ドル~1.3710ドル(17年末1.3535ドル)/弱気シナリオ1.1230ドル~1.2510ドル(17年末1.1435ドル)
【ポンドドル:10月の想定レンジ】
強気シナリオ1.2910ドル~1.3450ドル/弱気シナリオ1.1255ドル~1.1895ドル
【豪ドル円:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ83.20円~96.10円(17年末94.80円)/弱気シナリオ74.45円~87.00円(17年末77.70円)
【豪ドル円:10月の想定レンジ】
強気シナリオ89.05円~94.30円/弱気シナリオ74.45円~81.70円
【豪ドル/米ドル:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ0.7070ドル~0.8200ドル(17年末0.8080ドル)/弱気シナリオ0.6480ドル~0.7355ドル(17年末0.6625ドル)
【豪ドル/米ドル:10月の想定レンジ】
強気シナリオ0.7630ドル~0.8065ドル/弱気シナリオ0.6535ドル~0.6970ドル
〔COMMODITY MARKET〕「金は下落、原油は反発」
【貴金属市場の市況解説・分析】
金相場は下落。米上院が予算決議案を可決し、減税への道筋が開かれたことを受けて、米国株や米金利が上昇し、ドルも買われたことが売りにつながった。米上院は19日に予算決議案を賛成51、反対49で可決。今後10年間で最大1兆5000億ドルの減税実施への関門を突破したことになる。市場では、減税を背景に米国経済が堅調に推移するとみており、これをドル買い材料としている。また、次期FRB議長人事について、トランプ大統領がパウエルFRB理事の任命に傾いているとの報道が聞かれたが、日々報道内容が変わっており、正式決
定まで市場は振り回されることになろう。世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は10月13日には853.13トンだった、20日まで変動がなかった。米国株高で安全資産である金からの資金流出の可能性が想定されたが、投資家は金を売却せずに、保有し続けたといえる。COMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは、10月17日時点で20万0724枚の買い越しとなり、前週から612枚増加した。買いポジションが5390枚増加した一方、売りポジションも4778枚増加した。前週まで
は買いおよび売りポジションがともに減少し、取組高が減少するパターンだったが、先週は一転して買い方・売り方がともにポジションを積み上げる結果となっている。ただし、週末に掛けて安値圏で推移したことから、売り方の動向が注目される。金相場は今後も堅調な推移が続くと考える。上値追いにはやや材料不足の面もあるが、1275ドル前後での下値の堅さがみられる。市場では来年2月に任期満了となるイエレンFRB議長の後任人事に注目が集まっているが、トランプ大統領は議長候補とされている5人との面談を終え、アジア歴訪に出発
する11月3日までに指名を発表する見通しである。直近ではトランプ大統領が次期FRB議長として、タカ派的なスタンフォード大のジョン・テイラー教授に好感を抱いているとの報道がある一方、イエレン議長を「歴式的な低金利の政策運営を担った」と評価し、景気回復で株価が最高値圏で推移する中、実績を「尊敬している」ともしている。続投すれば政策の方向性は維持される可能性が高く、利上げペースは緩慢となり、これがドル安を誘うだろう。その場合には、金相場にはポジティブに作用すると考えられる。また、26日にはECB理事会
が開催され、来年1月から資産買い入れ額を現在の月額600億ユーロから400億ユーロに縮小する見通しである。そうなれば、欧州でも金融引き締めにかじを切ることになり、これがユーロ高・ドル安につながり、金相場にはポジティブに作用するだろう。いずれにしても、押し目買い意欲も強く、直近高値の再び1310ドル水準を明確に超えると、上昇に勢いがつくことだろう。
【貴金属のトレード戦略】
金、銀、プラチナ、パラジウムはロングを継続。基本方針は変わらない。やはり堅調である。押し目が来たら、すぐに買われている。この流れが変わっていない。きわめて堅調である。下値では実需の買いが入りやすい地合いにあり、深押しはないだろう。しかし、この動きをみて、何かを判断する必要はない。金はいかなる理由においても、保有しておくことが肝要である。この考えかたが重要である。金を株式のヘッジとして保有しておくことが投資運用の基本である。金を相場として見るのではなく、あくまで資産保全として金の保有を検討したい。
長期的に見ればドル安基調は変わらない。したがって、金を含む貴金属は安いときに買っておけばよい。上昇しても下落しても金は手放してはいけない。この考えを投資判断の中心に据えたうえで、対処することが肝要である。とにかく、安い時に少しでも買っておくことである。これが投資の本質である。金はあくまでリスクヘッジツールであり、相場商品としてとらえてはいけない。株式と金を同時に保有するのが基本である。ここに相場感は関係ない。「金は保有しておく必要がある資産」との認識を持ったうえで対処することが肝要である。金は相
場水準で投資タイミングを計るものではない。金を中心に貴金属は2020年までは確実に保有しておきたい銘柄であり資産である。今後も堅調な地合いは続き、2019年までに大相場には発展するだろう。基本的な低金利状態は変わらないため、今後も金にとってきわめて良好な市場環境が続くことになろう。結果として、「株高・金高」という状況が続くことになる。いまは2019年までの大相場に向かう過程であり、短期的な視点はきわめて危険である。より大局的に見ていくことが肝要である。下落場面では金を買いたいと考えている新興国の
中銀や投資家は少なくない。資産を保全するという考えに基づき、金を常に保有しておきたい。スイスのプライベートバンクは、顧客である富裕層に最低でも資産の5%相当の金を保有することを勧めている。彼らが長年生き残っている所以である。しかし、保有比率は10%でもよいと考えている。金を含む貴金属への長期的な投資方針が変わることはない。常に金を保有して危機に備えておくのが、金に対する基本的な考え方である。保有コストを下げるためには上値を買わずに、下げたところを買いだけである。そして、じっくりと上昇を待だけであ
る。
【ドル建て金価格:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ1117.65ドル~1373.40ドル(17年末1329.50ドル)/弱気シナリオ1036.65ドル~1187.20ドル(17年末1059.00ドル)
【ドル建て金価格:10月の想定レンジ】
強気シナリオ1229ドル~1332ドル/弱気シナリオ1047ドル~1124ドル
【円建て金価格:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ4204円~5022円(17年末4892円)/弱気シナリオ3733円~4511円(17年末3864円)
【円建て金価格:10月の想定レンジ】
強気シナリオ4487円~4753円/弱気シナリオ3775円~4217円
【非鉄市場の市況解説・分析】
非鉄相場はまちまち。LME在庫はニッケルが1524トン増だったが、その他は減少した。アルミは反落したが、銅は辛うじて下げ渋っている。しばらくは、最近上昇に対する日柄調整が続くだろう。その方が長期上昇にはよい。ニッケルは小幅安だが、下値は堅い。一時急伸する場面もあったくらいである。亜鉛は下げているが、3080ドルのサポートを維持した。鉛は下げているが、何とか値を保っている。崩れても、2420ドルを維持すれば、基調も維持される。全体としても堅調さを維持している。
【非鉄のトレード戦略】
アルミ、銅、ニッケル・亜鉛、鉛はロングを継続。基本的な考えは変わらない。しばらくはおとなしい動きになりそうだが、それも将来の上昇には必要な動きだろう。何も気にする必要はない。最近の株高が一時的に調整されたときに影響を受ける可能性はあるだろう。しかし、それも一過性のものである。上下動を繰り返しながら、相場はさらに強くなっていくだろう。そして、需給のひっ迫を背景に、非鉄相場は歴史的上昇を続けるだろう。重要なことは長期的な視点である。このことを理解しておく必要がある。押し目があれば、しっかりと拾ってお
きたい。これからが本当の上昇相場であり、「歴史的な上昇基調」への移行が着々と進んでいることを理解しておきたい。コモディティは2020年を目指して再び強い動きになる。特に非鉄は需給サイクルがみえており、3年後の供給不足が確実である。新規開発が遅れ、供給増がない中で需要が増える。価格が上昇する典型的なパターンである。今回の上昇は相当の大幅なものになる。このような将来が見えている中で、非鉄市場に目を向けるべきである。19年までは、現在の安いロングを維持しながら、押し目を買ってポジションを徐々に付してい
きたい。非鉄相場への長期的な期待感はきわめて大きい。とにかく、長期的に見てくことが肝要である。そして、大きく下げたときに押し目買いを入れるのが鉄則である。下げたときにしっかりと買い、保有コストを下げながら保有し続けることが肝要である。非鉄銘柄は長期的には2020年までの有望銘柄である。
【銅価格:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ5266ドル~7704ドル(17年末7522ドル)/弱気シナリオ4520ドル~5812ドル(17年末4672ドル)
【銅価格:10月の想定レンジ】
強気シナリオ6566ドル~7333ドル/弱気シナリオ4608ドル~5070ドル
【エネルギー市場の市況解説・分析】
原油は反発した。一時急落する場面もあったが、大幅安は避けられており、潜在的な強さが出始めている。イラク北部クルド自治区情勢の緊張による原油輸出量の急減が支援材料になったようだが、一方で米国内の石油掘削リグ稼働数は3週連続の減少となり、この2カ月間継続しているリグ稼働数の減退が顕著になっている。これに対する市場の反応が鈍いことに驚く。一方、トルコのジェイハン港を経由したクルド自治区の原油輸出量は、通常の日量60万バレル前後から平均21万6000バレルに落ち込んでいるようである。イラク中央政府の石油
省は、イラク軍が制圧したキルクーク州の主要油田2カ所が22日に操業を再開するとの見通しを示している。続報を確認したいところである。またOPECのバーキンド事務局長は、産油国が協調減産期間を延長する方向で調整しているとしている。18年末までの延長が協議のたたき台になるとしている。原油在庫の過剰感はまだ完全には解消されていないため、産油国は11月30日の次回会合で減産期間の延長を検討する方針である。また、サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相とロシアのノバク・エネルギー相は、プーチン大統
領の提案をきっかけに11月の会合前に合意を形成するため、協調減産に参加する他の産油国にも働き掛けているとしている。OPECと非加盟国は原油価格の引き上げに真剣に取り組んでいる。この「歴史的取り組み」に対する市場の反応はあまりに鈍いと言わざるを得ないだろう。
【エネルギーのトレード戦略】
WTI原油・ブレント原油はロングを継続。WTI原油は下値が徐々に堅くなってはきているものの、まだまだ上値は重い。52ドルを固め、54ドルを超えないことには何も始まらない。米国の石油掘削リグ稼働数の減少傾向も材料視されていない。また、原油価格はフェアバリューからみれば、まだ相当安いといえる。そのため、徐々に適正水準に戻していくだろう。OPECの減産延長はほぼ確実である。原油相場が今の水準のままでは、主要産油国は継続的な国家財政の運営ができない。そのような状況は長続きしない。それがコモディティ市場の
特徴である。米国シェールオイルに対する過度な期待が重石となっているが、世界の石油需給は着実に改善している。米国内の在庫も、輸出などで徐々に調整されるだろう。現在のWTI原油の水準は依然として安い。コモディティにはバリューがある。そのバリュー以下を売り込むのが投機筋である。しかし、それは最終的には「残念な売り」になるだけであり、今回の下げ局面での売りもそうなるだろう。原油相場は著しく割安に押し下げられている。OPEC加盟・非加盟国の減産は需給調整の進行に確実につながる。米国のシェールオイル増産が続
いているが、一方で生産コストは上昇し、リグ当たりの生産性はすでにピークアウトしている。また現状の価格水準が長期化すれば、持続的な生産は不可能である。最終的には世界の石油需給の引き締まりが確認されることで、これが原油相場の上昇基調への転換につながることになる。この「常識的な考え」を変えるつもりは全くない。もちろん、価格見通しについても全く同様である。また、金や銅、ユーロとの比較において、WTI原油は異常に割安である。これらから見たWTI原油の適正レベルは65ドルから75ドル水準である。最低でも60
ドル台に戻すのが常識的である。この見方も全く変わらない。さらに、高値から2割以上下落した後の戻りは大きくなりやすく、今回のケースでは戻りのめどは過去平均のデータでは64ドル程度である。ここまで戻すのが過去の平均的な動きである。この点も併せて理解しておきたい。
【WTI原油価格:2017年の想定レンジ】
強気シナリオ50ドル~74ドル(17年末70ドル)/弱気シナリオ35ドル~58ドル(17年末38ドル)
【WTI原油価格:10月の想定レンジ】
強気シナリオ63.43ドル~74.08ドル/弱気シナリオ43.95ドル~52.05ドル
◇グローバルマクロ戦略について
本メルマガでご紹介する投資戦略は、ヘッジファンド業界では「グローバルマクロ戦略」のカテゴリーに属します。
これは、世界のヘッジファンドのもっとも得意とする手法で、いわゆるヘッジファンド運用の「王道」です。
この戦略では、あらゆる市場に目を配り、投資機会を探しながら収益の獲得を狙います。
市場価格の上昇・下落に関係なく、価格の変動が見込まれれば、それにベットする(賭ける)戦略です。
ボラティリティが高いほど収益が見込まれますので、投資機会があれば果敢に攻めます。
世界情勢が不透明な中、為替や株式、金利、コモディティなど主要市場の価格変動は一段と大きくなっています。
そのため、それぞれの市場の予測がきわめて困難になっています。
このような市場環境では、マクロ的な見地からより幅広い市場で運用を行う「グローバルマクロ戦略」が有利です。
もちろん、個々の市場でも十分に戦えるように、具体的な取引タイミングも示していく所存です。
「ヘッジファンド戦略の王道」である「グローバルマクロ戦略」で、共に市場で戦いましょう。
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11月30日(火)サンワード貿易さま・オプションセミナー(東京)
(上記以外にも、個別セミナーも実施しております。ご興味がある方はお問い合わせください。)
*テレビ出演予定
10月26日(木)13:30~13:45ストックボイスTV「東京マーケットワイド」(東京MXTV)
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11月9日(木)13:30~13:45ストックボイスTV「東京マーケットワイド」(東京MXTV)
http://www.stockvoice.jp/
11月30日(木)13:30~13:45ストックボイスTV「東京マーケットワイド」(東京MXTV)
http://www.stockvoice.jp/
*ラジオ出演予定
10月27日(金)16:00~16:20 ラジオNIKKEI「GO!GO! ジャングル・マーケット」(ゴゴジャンさま提供)
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11月24日(金)16:00~16:20 ラジオNIKKEI「GO!GO! ジャングル・マーケット」(ゴゴジャンさま提供)
http://blog.radionikkei.jp/trend/
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