米国 40年ぶりのタイプの景気後退
経済情報
2022年4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率-0.9%。2四半期連続のマイナス成長。(1-3月期は同-1.6%)。
但し、9月29日に予定されている修正や、17年1-3月期から22年1-3月期までのGDPデータの年次改定では、底堅いものになる可能性がある。
パウエル議長の言いぶりからも、今回発表のデータは過度に重視すべきではないだろう。とは思うが、市場は大きく反応した。
但し、9月29日に予定されている修正や、17年1-3月期から22年1-3月期までのGDPデータの年次改定では、底堅いものになる可能性がある。
パウエル議長の言いぶりからも、今回発表のデータは過度に重視すべきではないだろう。とは思うが、市場は大きく反応した。
また、今回のデータでも明らかになったが、住宅投資は同-14.0%と予想以上に減少した。金利上昇により住宅販売と建設活動が大幅に鈍化したことがうかがえる。
今回のデータを重視することはないだろうが、22年10-12月期にはより広範な景気悪化が始まると考えている。
(1)経済の基調的な需要の強さを測る指標であるGDPから純輸出と在庫を除いた実質国内最終需要は、今回は前期比年率-0.3%だった。
(2)40年ぶりのタイプの景気後退
パウエル議長がFOMCの後の記者会見で何と言っていたか思い出してみよう。
『経済活動が減速しているにもかかわらず総需要は強いままだ。供給制約は予想より大きく長引いている。価格上昇圧力は明らかにモノやサービスの広範囲に及んでいる。最近、一部の商品価格は下落したが、ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油などの価格高騰がガソリンや食品価格を上昇させている。
労働市場は極めて逼迫している。失業率は約50年ぶりの低水準で、求人倍率は歴史的な高水準にあり、賃金上昇率は大きい。過去3カ月の平均雇用者数は37万5000人と今年前半よりは減速したが、それでも堅調だ。労働需要は非常に強いが供給は低迷しており、労働参加率は1月からほぼ変わっていない。強い労働市場の継続は総需要が底堅いことを意味する。』
これが景気後退している状況か?雇用は堅調で、給与も力強く上昇している。消費も堅調だ。
では、いったい何が起きたのか?
名目GDPを見ると、7.85%も拡大している。この水準は決して小さくない。否、かなり高い水準だ。経済は拡大している。名目GDPが2%以上の時に、実質GDPがマイナスになるのはおよそ40年ぶりである。今回の景気の状態は40年なかったことだ。ディスインフレに慣れ切った殆どの人には想像もできないようだ。
次のグラフの方がわかりやすいかもしれない。雇用は堅調で所得も増え、金は使っている。消費が抑えられているわけではない。しかし、そのお金で買える量が減っているのだ。今回の景気減速は強いインフレによってもたらされているだけだ。売る側から見れば、売る量は減っているが、金額は増えている。単価が上がっている。原材料費が上がり、賃金を上げているので単価を上げざるを得なくなっているのだ。需要不足で景気悪化しているのではない。
米国の個人消費
消費(赤線、金額)は旺盛なのだが、物価上昇により買える量(実質消費)は伸び悩み。
景気は堅調なのか、減速なのか?
景気は堅調なのか、減速なのか?
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